食物アレルギーの問題について(2)

今日は、昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

                    
食物アレルギーに対して、制限を行うのはどうすれば良いのかを考えてみたい。

まず、食物アレルギーに対して制限を行わないこととは、どのような意味合いなのかというと、これは最近、研究が進められておる「称特異的経口耐性誘導療法(SOTI)」に関しておるのじゃろう。

これまで、アレルゲンに対する医師の対応の基本は、「アレルゲンを避ける」ということじゃった。
しかし、最近は「避けない」方法も模索され、それが「称特異的経口耐性誘導療法(SOTI)」「経口減感作療法」と呼ばれる方法じゃ(英語の正式名称は「Specific Oral Tolerance induction (SOTI)」)
簡単に説明すると、アレルゲンを微量から摂取しはじめ、炎症反応などを見ながら、少しずつ摂取量を増やし、一般的な摂取量(牛乳なら200ml程度)まで量を増やして「慣らしていく」という方法じゃ。
もちろん、アレルゲンを摂取するわけじゃから、炎症反応が強くでる恐れもあるため、この方法は基本的に専門医の指導のもと、行う必要があるのじゃが、実際に食物アレルギーのあった乳幼児の方を見ていると、こうした方法により食物アレルゲンが「解除」できた例は多い。
当然、3才時頃に食物アレルギーが自然解消される傾向は調査により分かっておるわけじゃから、実際に少しずつ食べた結果、アレルゲンが解消できたのか、あるいは時期的に「正しく免疫機能、消化吸収機能が成長した」結果でアレルゲンが解消できたのかは、定かではないが、こうした少しずつ食べる方法によって解消できる可能性があることは確かじゃ。

アレルゲンを摂取しないことで生じる「アレルギーを引き起こす」ことがどのようなケースなのかは、詳しい研究結果が見つからなかったので、なんともいえない部分はあるが、アレルゲンを摂取しない=アレルギーを引き起こす免疫が体の中にない、というわけではないことが関係しておるのじゃろう。

つまり、アレルゲンを摂取しなければ、アレルギーによる炎症反応は起きないわけじゃが、体内では、「アレルゲンが体内に入ってくれば、炎症を作り出す反応はいつでも準備できている」状況に変わりはない。
イメージでいうと、火が燃え上がるガソリンはあっても、火種がないから、火災(炎症)が生じていないだけ、ということじゃ。
問題は、火種は一つだけではないということじゃろう。
つまり、体内の免疫活動は、日々、変化しておる。
今までアレルゲンと認識していなかったものでも、さまざまな条件が変化してくることで、アレルゲンと認識することがある。
分かりやすい例でいえば、「花粉症」などもそうじゃ。
今まで、アレルギーの症状がなかった人が、ある年から突然、花粉に「反応する」ようになるのも、体内の免疫活動が生活要因(睡眠不足、運動不足、脂質の過剰摂取、ストレスなど)で変わってくることが原因の一つとされておる。

このように、アレルゲンを遠ざけることは、「遠ざけたアレルゲンに対するアレルギー」は抑制できていても、体内の「アレルギーを引き起こせる状態」そのものにかわりがなければ、「アレルギーを引き起こしやすい状況」にあることが考えられ、アレルゲンを遠ざけ続けることで、他のアレルギー反応が生じる可能性が考えられるのではないかと思われる。

この場合も、対応が必要になるのは「体がアレルギーを引き起こす状態」でなくなるようにすることであり、そのためには、上記に書いたように「アレルゲンを避けない」対処により、自らの体が「アレルギーを引き起こす免疫機能を正しく抑制できる状態」にしていくことが必要、ということなのじゃろう。

アレルギーの反応度合によっては、重度なアレルギー症状を引き起こす恐れもあるため、アレルゲンの解除を目指す方向性が必ずしも正しい、とはいえないことは確かじゃが、「解除できるアレルゲン」まで解除せずに放置しておくことは、違うリスクを生じる可能性が考えられるのかもしれん。

食物アレルギーのある方は、「制限すること」「制限しないこと」、それぞれによりもたらされる「恩恵」の部分と「弊害」の部分を、しっかり考えていくことは必要なのじゃろう。

                     
おまけ★★★★博士のつぶやき

最後の方で「アレルゲンを解除せずに放置しておくこと」が、何らかのリスクが生じる、と書いたのじゃが、忘れてはならんのは、アレルゲンを解除することは「慣らす」ことのみが方法ではない、ということじゃ。
アレルギーを生じないように「抑える力」は誰しもが持っておる。
アレルギーの疾患がある方は、この「抑える力」が正しく機能していないことも、アレルギー症状がみられる原因の一つになっておるのじゃから、こうした「抑える力」を「正しく成長させる」ことも大切になってくると言えるじゃろう。
いつも言っておることじゃが、十分な睡眠、バランス良い食事、適度な運動、ストレスの解消を、生活習慣の中で構築できるようにしておくことも、重要な要因の一つと言えるじゃろう。