【Q&A】入浴の感染症対策について(2)

今日は昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

                     

入浴時における感染症はどのような条件が整うと良くないのか、また対策はどうすれば良いのかについて述べたいと思う。

まず、条件についてじゃが、入浴時に限って言えば、やはり「長期間の放置」が問題となる。
最近のお風呂は、浴槽自体の性能があがって、魔法瓶効果を持たせた浴槽などは、冬の寒い時期以外は、ふたをしっかりしておけば、夜、お湯を温めて入浴した場合、翌朝、そのまま入れるぐらい保温しておることがある。
こうした浴槽の場合、浴水を交換する頻度が長くなるほど、浴水中の雑菌は増えてくることになる。
もっとも、菌やウィルスは、空気を好む菌や好まない菌などの特徴もあり、浴水中に増えやすい菌は大腸菌など、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる皮膚の感染症につながる菌ではあまりない。
とはいえ、浴槽の水面に近い部分の浴槽自体には、皮膚の蛋白質など(垢など)が付着しておると、そこで菌やウィルスが繁殖することはあり得るがの。

もう一つの条件は、「皮膚の状況」じゃ。
健常な皮膚であれば、皮膚を「表皮ぶどう球菌(黄色ぶどう球菌、ではなく)」が覆うことで、有害になりうる菌が繁殖できないようになっており、仮に菌やウィルスが付着しても、皮膚が持つ他の防御力もあって、すぐに感染した状態になることはないし、また発病することも当然ない。
じゃが、Hさんのようにアトピー性皮膚炎の状態が悪い場合、皮膚の防御力は低下しておるため、菌やウィルスが付着した場合、それを「自らの力で取り除く」力が十分に働かないことで、「感染」した状況が生じる可能性は出てくる。

つまり、皮膚の状態が悪ければ、感染症がアトピー性皮膚炎の悪化要因となるうるリスクは高まる、ということじゃな。

こうした「環境側の条件」と「体側の条件」の二つが整うと良くないわけじゃが、最初に述べたように、浴水に「存在しやすい菌」という部分を考えると、一般的な家庭の入浴環境(1~2日で取り替える)で考えれば、問題となる可能性は相当に低いと言えるじゃろう。

それでも心配な場合には、毎日、浴水を取り替えて、浴槽を洗う、ということで、ほとんど感染症のリスクは低くなるはずじゃ。
どうしても心配な場合は、家族の方に、体を洗ってから浴槽に入ってもらう、ということをすれば、よりそのリスクは低くなるじゃろう。
したがって、家族が特定の皮膚の感染症で「発病」した状態(とびひ、水虫など)でない限りは、家族の入浴後にアトピー性皮膚炎の方が入浴することで、症状を悪化させる感染症が発病する可能性は、さほど心配しなくても良いじゃろう。

じゃが、一つだけ例外がある。
それは、Hさんが現時点において、すでに強い感染症を併発しておる場合じゃ。
カポジ(ヘルペスウィルスの感染症が悪化した状態)や黄色ブドウ球菌などにより、皮膚に腫れや痛みを伴う強い感染症が生じておるときは、他の日和見菌に対しても、防御力が弱い状態が続いておるため、注意が必要となる場合もある。

まとめると、

・家族の方には体を洗ってから入浴してもらう
・浴水は毎日、交換する
・浴槽も、交換のたびに洗浄する

ことで、家族の方の入浴による感染症のリスクは、相当に低くなるじゃろう。
ただし、家族の方で水虫やとびひなど、伝染性の強い皮膚疾患がある場合や、アトピー性皮膚炎の方自身が強い感染症に罹っている場合には、その時期のみ、浴水をこまめに変えるなど、気をつけた方が良いこともある、ということじゃ。

なお、水虫やとびひなど、伝染性の強い皮膚疾患の場合、浴槽内よりも実は洗い場での感染の方が高いとも言われておるので、家族の方に、お風呂からあがる際、シャワーの温度を高めにあげて、洗い場を軽く洗い流してもらうようにしてもらっても良いじゃろう。

いずれにせよ、入浴中の家族の方からの感染症のリスクは、それほど高いものではないので、少しの工夫で十分、対応は可能じゃから、あまり心配しすぎなくても良いじゃろう。

Hさんが、いち早く回復されることを祈っておる。

                            
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎のご相談の中には、自分の状態が悪いとき、逆に家族に感染症をうつすのでは?というものもある。
特に、体液や皮膚の落屑が多い場合、アトピー性皮膚炎の方が入浴後、お風呂のお湯が濁った状態になるケースもある。
気持ちの問題もあると思うから、そうした場合は、アトピー性皮膚炎の方が最後に入浴して、お湯を入浴するようにすると良いじゃろう。
なお、アトピー性皮膚炎の方が通常かかりやすい感染症は、健常な人に「うつりやすい」ことはないからの。