【Q&A】リバウンドについて(3)

今日も続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
最後の質問を考えてみたい。
              
・仮に、今、ステロイド剤の使用を中断した場合、リバウンドを乗り越えることができるのか?
            
結論から先にいうと、リバウンド自体を乗り越えることは十分に可能じゃ。
じゃが、リバウンドを乗り越える際、もっとも大きな問題となるのが、「時間」と「悪化度合い」じゃ。
Wさんが期待している、あるいは想像している「時間」と「悪化度合い」でリバウンド時期を乗り越えられるかは、いくつかの要因によって、大きく左右されることになるじゃろう。

今、Wさんがステロイド剤を中断して、リバウンド症状が現れた場合、

1.感染症の度合いはどれくらいなのか
2.皮膚そのもののダメージがどのくらい蓄積されているのか
3.睡眠に対してどれくらいの影響が見られるのか

これらの状況の推移によって、リバウンドを乗り越えられるまでの時間と、リバウンド症状の「強さ」が異なってくることになる。
特に1については、カポジ水痘様発疹症のように病院での治療が不可欠な感染症が現れることがあるが、炎症が強く現れるため病院での治療としてステロイド剤が再度選択される可能性は比較的高くなるじゃろう。
本来、感染症に対して、免疫抑制効果のあるステロイド剤は、薬剤の添付書に明記されておるように「禁忌」なのじゃが、炎症が強く出ている場合、炎症を有効に止めるためにステロイド剤を用いることは、実際には多いと言えるじゃろう。
これも、感染症に対するステロイド剤を用いた場合の「リスク(感染症をさらに増悪させる)」と、「ベネフィット(炎症を抑え、肌の状態を落ち着かせる)」を比較して、ベネフィットを優先させるからじゃが(リスクに対しては、抗ウィルス剤の併用により対応することが多い)、こうした対応は、その後、繰り返し症状が現れるなど、マイナスとなることもある。

また、基本的に今の医師の見解では、リバウンド症状は、それまで薬で抑えていた炎症が薬がなくなることで抑えきれずに悪化した状態だから、できるだけ早期に炎症を抑える治療(ステロイド剤などでの治療)が必要、という状況じゃから、基本的に、リバウンド状態に対しては、ステロイド剤やプロトピック軟膏による、炎症に対応する治療が選択されることになる。

問題は、結局のところ、こうした炎症を抑える薬剤の治療が繰り返されることで、ステロイド剤を中断することが難しくなる、ということじゃ。

もちろん、急激に悪化した炎症を一時的に(あるいは緊急避難的に)抑える治療が選択される必要性が高い場合もあるじゃろう。
じゃが、ステロイド剤を中断したもともとの目的が「薬物治療からの脱却」にある場合(その選択肢が必ず正しいか、は別にして)、こうした薬剤での治療を再開することは、目的の達成から遠ざかることになる。

ステロイド剤は、エビデンスにより、

・ステロイド剤を吸収する受容体が、連続使用により減少する
・吸収されたステロイド剤は、一定期間、その効果を持続する

ことが分かっておる。
つまり、連続使用することで、ステロイド剤が吸収されにくくなる=効かなくなる、という現象が生じ、また同時に一定期間、その効果を持続する、ということは効果=副反応(副作用)も、同様に一定期間持続する恐れが生じる、ということじゃ。

また、IgEをsIgE+B細胞とGal-3受容体の関係で増強する働きもあるわけじゃから、炎症を抑えながら、ダメージ(皮膚への直接のダメージと、アトピー性皮膚炎そのものを悪化させる、というダメージなど)も受けることになり、使えば使うほど、リスク(マイナスの影響、リバウンド症状が生じる可能性、リバウンド症状を悪化させる可能性、など)が高まることになる。

そうしたことを総合的に考えると、Wさんがステロイド剤の使用を中断した場合、リバウンドを乗り越えることは物理的には可能であっても、「Wさんが納得する形で乗り越えるため」には、いくつかの条件を整えることが必要なるじゃろう。

長くなるので、続きは明日じゃ。

                   
おまけ★★★★博士のつぶやき

リバウンドによる症状は、ステロイド剤を中断したことのみで現れるわけではない。
例えば、何らか特定のアレルゲンが強くアトピー性皮膚炎の症状に関わっていて、そのアレルゲンが特定できていない方が、たまたまステロイド剤を中断したときに、そうしたアレルゲンを継続的に摂取した場合には、当然じゃが症状は悪化する。
花粉症などが良い例じゃが、そうした「他の原因」に気がつかないと、感染症や皮膚のダメージ以外の要因を見落とすことで、症状が悪化した状況が続く、ということもありうるじゃろう。
こうした場合、事実上、ステロイド剤の中断によるアトピー性皮膚炎の悪化、つまり現在の医師の説明が該当しておるとも言える。
難しい問題ではあるが、多様性を示すアトピー性皮膚炎の場合、症状がなかなか回復しない場合には、いろいろな要因を検討する必要はあるじゃろうの。