【Q&A】リバウンドについて(2)

今日は昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       
二つ目の質問じゃ
          
・何十年も使うと、肌の状態はどんどん悪化していくのか?
                 

アトピー性皮膚炎の方に使われるステロイド剤には、主に「外用剤(軟膏など)」と「内服」の二つのタイプがある。
「内服」が使われるようなケースは、入院を勧められるような著しいかゆみが連続して起きておる「重症」の状態とも言え、頻度が高く使われておるわけではない。
(逆に、内服はアトピー性皮膚炎に対しての効果も高い代わりに、副作用が現れる可能性も高くなるから、安易に使われることは少ない)

それに対して「外用剤」の治療は、日本皮膚科学会が「アトピー性皮膚炎治療のガイドライン」で示しておるように「アトピー性皮膚炎に対する標準治療」として行われておる。
そして「外用剤」の場合、皮膚に直接塗布することから、皮膚の病変部位に対する「薬剤が持つ直接の副反応」は現れやすくなる。
例えば、毛細血管を拡張させるという副反応が軟膏にはあるわけじゃが、こうした副反応を反復継続させることで、皮膚自体の異常が生じることがある。Wさんが感じておる異常も、そうした外用剤が持つ直接の副反応の一つといえるじゃろう。
これは、相応の効果(かゆみを抑える)を得るために「仕方のない」マイナス面といえるわけじゃが、連用期間が長引けば長引くほど、リスクの出現率も高くなることは否めない。

「内服」の場合、内分泌機能や血液内での影響は見られても、病変部位のみを標的とした異常は現れづらいが、「外用剤」の場合、逆に内分泌機能や血液内への影響は弱いが、塗布した箇所に直接現れる影響は、使用期間に比例して生じやすくなる、ということじゃ。

じゃが、「外用剤」は、内分泌機能や血液内への影響が弱いといっても、影響がゼロではない。
そのため、反復継続した使用が続けば続くほど、そうした間接的な影響は生じるリスクは少しずつ高くなってくる。
例えば、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎のかゆみに対して有効なのは、免疫を抑制することでかゆみの元となる「炎症」を抑えるためじゃが、この免疫抑制効果は、肌を外敵から守る防御能力(免疫上の)も弱めることで、感染症へのリスクが高まる。
また、ステロイド剤を連用していくと、サイトカイン(インターロイキン4)が増加することがわかっておるが、IL-4の増加はGal-3というIgEの受容体の関係からB細胞をsIgE+B細胞にかえることで、IgEそのものを増強させていくようになる。
つまり、ステロイド剤を使用してIgEの反応を少なくさせようという効果の働きが、逆の副反応の一部としてIgEそのものを体内に増やしていく要因につながり、ステロイド剤を使えば使うほど、「症状」であるかゆみを継続して抑えられても、アトピー性皮膚炎という「病気」そのものは悪化させていくことがある、ということじゃ。

こうした「マイナスの影響」つまり副反応は、使用した患者に同じレベルで等しく生じる、ということではない。
ヒトの体は元々のさまざまな影響に対する防御機構を持っており、こうした薬剤によるマイナスの影響にも対抗しようとする力を持っておる。
しかし、短期間の使用であればまだしも、使用期間が長引けば長引くほど、マイナスの影響も継続して受けることになり、体が対抗しようとする力を越えた時には、そのマイナスの影響は自覚される状況として現れることになるじゃろう。

このように、ステロイド剤を何十年も使い続けることで、肌の状態(健康な肌の状態を通常とするならば)を異常な状態に向かわせる「リスク」は、使用期間や使用頻度などに比例して高まってくる、ということじゃ。
Wさんがすでに10年の使用で、肌の異常な状態を感じるようになっておるのであれば、今後、その異常な状態が強まっていく危険性は相応のリスクとして潜在しておると言えるじゃろう。

明日は、最後の質問にお答えしたいと思う。

               
おまけ★★★★博士のつぶやき


もっとも、最後の方で書いた「Wさんが今後、ステロイド剤を使用することで皮膚に生じる可能性のある相応のリスク」は、昨日述べたような理由から、今の医師にとっては、未然に防ぐべき「リスク」とは考えておらんことが多い。
これは、病気を治療するのか、症状を治療するのか、という治療の根本的な部分に関わっておることになるわけじゃが、病院での治療は基本的に「症状の治療」が中心であり、「病気の治療」そのものは、体がもつ自然治癒力に委ねておることが多いことを忘れてはならんじゃろうの。