フィラグリンの化合物

東です。

 

 

 

 

 

 

 

                            
連日、ブログを担当します。
今日は、昨日、ニュースで取り上げられていたフィラグリンに関する記事を紹介したいと思います。
              
                  
●皮膚の保護促す化合物=アトピー治療薬に期待-京大
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013091700008
               
皮膚表面の保護機能を高めるたんぱく質を増やし、アトピー性皮膚炎の症状を改善させる人工合成化合物を、京都大大学院の椛島健治准教授らの研究グループが発見した。新たな治療薬の開発につながると期待される。論文は16日付の米医学誌電子版に掲載された。
             
アトピー性皮膚炎は、皮膚の保護機能が低下することで異物の混入を招き、免疫異常が起きて発症する。皮膚の保護では「フィラグリン」と呼ばれるたんぱく質が重要な働きをしていることが知られており、アトピー性皮膚炎のほぼ全ての患者でフィラグリンが低下している。
研究グループは1000以上の合成化合物を対象に、表皮細胞を使ってフィラグリンが増えるかどうかを調べた。見つかった化合物を実際の皮膚により近い細胞で試したところ、フィラグリンの増加を確認。アトピー性皮膚炎のマウスに飲ませると、6週間後に明らかな改善が見られた。
椛島准教授は「アレルギー反応を抑える現在の治療薬に対し、皮膚の保護機能を強化する新たなアプローチで新薬開発が期待できる」と話している。
                
                 
大変、興味深い研究だと思います。
フィラグリンについては、TGFβが皮膚の阻害に関わることとの関連の研究もあるように、アトピー性皮膚炎に対しては、皮膚機能の改善、という観点から考えると、重要な意味を持っていると思われます。

これに良く似た皮膚機能に関する研究としては、アトピー性皮膚炎の方の肌は、セラミドが少ないことも分かっていて、セラミドの摂取による水分保持機能の改善、皮膚機能の改善がありますが、皮膚機能に関する部分に対する効果は期待できると考えられます。

ただ、問題があるとすれば、記事中で「アトピー性皮膚炎は、皮膚の保護機能が低下することで異物の混入を招き、免疫異常が起きて発症する」と表現していますが、これは、アトピー性皮膚炎の一面に過ぎず、例えば食物アレルギーで痒みを引き起こす乳幼児の場合、皮膚の保護機能の低下による異物の混入は関係ありません。
もちろん、こうした食物アレルギーを持つ方が、掻くことで皮膚のバリア機能を低下させ、その結果、今回の記事の対象になることはあるかもしれませんが、根本的な食物アレルギーの部分が改善されない限り、皮膚への対応だけでは、症状を抑えることは難しいでしょう。

いつも述べていることですが、一般の患者は、こうした記事に接した場合、「白か黒か」という観点から見てしまうことが多く、フィラグリンの問題を解決すればアトピー性皮膚炎の症状は改善する、と結論づけてしまうような記事の書き方は、記事を発信する立場にある報道する側も気をつけて欲しいところです。

とはいえ、服用によるリスク(副作用)が少なければ、症状の緩和に対しては十分に期待できる治療法の一つとなってくるでしょうから、今後の研究に期待したいところです。

                          
おまけ★★★★博士のつぶやき

一つだけ注意して記事を読む必要があるとすると、今回の研究対象も、アトピー性皮膚炎という疾患そのものの治療ではなく、痒みという「症状」に対する治療である、ということじゃ。
風邪で考えれば、風邪のウィルスに対する治療ではなく、風邪により引き起こされた熱や鼻水、咳などに対する治療法を示しておる、ということじゃな。
少なくともフィラグリンを補うことで、症状の改善が見られたとしても、それがアトピー性皮膚炎という「原疾患」そのものを直接的に治療できるものではない(間接的な影響はあったとしても)ことを見落とすと、結局のところ「治療法が抱えるリスク」の問題が影響する可能性があることを忘れないようにしなければならんじゃろう。