夏場の脱保湿?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                          
今日は、先日いただいたご相談について紹介したいと思います。

                               

                
●Aさんからのご相談

私は、幼稚園の頃にアトピーになって、小さい頃のことはあまり覚えていませんが、親に聞くところによると、ずっと薬を使い続けていたそうです。
おそらくステロイド剤だったのだと思いますが、中学、高校でそれぞれ2回ずつ入院経験もあり、高校卒業後、就職もなかなかできない状況で、脱ステを決心しました。
今年の春から脱ステを始めましたが、知人から紹介された脱ステの病院では脱保湿も必要といわれ、今、頑張っているところです。
ただ、黄色い体液とひどい乾燥状態が、入れ替わる状態で続いていて、かなり辛いです。
7月から8月にかけては、乾燥状態はあまりなかったのですが、今月に入ってから、また乾燥状態になり、むずむず、ちくちく、じっとしていられない痒みが続いています。
他の医師からは、スキンケアは行った方が回復が早い、とも言われたのですが、今、診ていただいている先生に聞くと、この辛い状態を何年かかってでも自分で乗り越えないと治らない、ということで耐えるしかない、と言われています。
脱保湿の方が良いのでしょうか?それとも保湿はきちんと行った方が良いのでしょうか?

                           
過去のブログで脱保湿のことも何度か取り上げていますが、まず脱保湿の考え方から見てみましょう。

皮膚は自ら汗と皮脂を乳化させスキンケアを行う「力」を持っています。
そこに、外からスキンケアアイテムを補うと(保湿剤や化粧品、UVアイテム、ファンデーションなど、お肌につけるものは全て)、外部からのスキンケアに体が頼ってしまい、自らスキンケアを行うための「力」が弱まる、そのため、自らの力で保湿が行えるようにお肌には何も使わない方が良い、というのが脱保湿を推奨する多くの方の考え方のようです。
同時に、皮膚につけるものは、どれだけ身体との親和性が高くても、「異物」であること自体に違いはなく、反応の大小の差はあれ、こうした化粧品やスキンケアアイテムが、人体(皮膚)に対して何らかの影響をもたらすことは確かです。
皮膚に対する刺激を減らす、そして自らの力で保湿が行えるように機能を育てる、という考え方から見ると、脱保湿も「意味はある」ことは確かでしょう。

ただ、問題は、脱保湿による状態改善の前提が「自らの力で保湿が行えるようになる」というところが必要になる、ということです。
アトピー性皮膚炎の原因は主に、「免疫機能の異常状態」と「皮膚機能の異常状態」の二つが関わりますが、前者はアレルギー的要因が関わっているのに対して、後者は皮膚(角質層)の乾燥状態による痒みを知覚する神経線維が角質層内に侵入、アレルゲンなど免疫的な要因とは別に、角質層内に伸びた神経線維が外部からの皮膚への刺激を痒みと知覚しやすいことが挙げられます。
角質層内の水分保持量が低下した段階で真皮から角質層内に侵入した痒みを知覚する神経線維は、再び角質層内の水分保持量が十分になることで真皮内に戻っていきますが、角質層内の水分保持量が十分でないと、いつまでも角質層内にとどまり、外部からの刺激で痒みを感じやすい状態が改善されにくいことになります。

通常、こうした状態は、角質層内の水分量を高められるような適切な保水、保湿のスキンケアを行うことで改善されることになりますが、脱保湿を続けている間、自らの力で「スキンケア」の機能が取り戻されない限り、痒みを感じやすい状態は続くことになります。
当然、痒みが続けば、掻き壊しによりバリア機能が低下、外部の刺激だけではなく、アレルゲンの侵入による免疫機能からくる痒みも加わることもあり、掻き壊しがひどくなる悪循環に陥ると、皮膚の水分保持能力はさらに低下する恐れがあります。

では、この悪循環がどうすれば断ち切れるのかと言うと、それは自らの体がスキンケアの機能を取り戻す必要がある、ということです。
自らの力で行うスキンケアは、汗と皮脂が乳化して作られる皮脂膜が大きく関わりますから、簡単にいえば、「汗をかけること」が、スキンケア機能を取り戻す上で大切になってくると考えてよいでしょう。

長くなるので、続きは明日にしたいと思います。

                 
おまけ★★★★南のつぶやき

アトピー性皮膚炎で考えた場合、スキンケアの必要性は、角質層の水分保持をどのように保つのか、というところにあります。
もちろん、掻き壊しが強ければ、皮膚の保護などプラスしなければならない要素も出てきますが、皮膚の機能を考えた場合、その基本は角質層の水分保持にあると考えてよいでしょう。
一昨日のブログでも書いたように、お薬をお使いの方は、お薬そのものが持つスキンケアの働きだけに頼ってしまうと、結果的に「角質層の水分不足」が生じ、その結果、皮膚機能の異常状態から生じる痒みが改善されないために、症状が一進一退を繰り返す、というケースをよく聞きます。
お肌の状態にとって、どのような「環境」が望ましいのか、そして自分にとって、その「環境」を整えていく上で、何が足りないのかを正しく把握するようにしましょう。