安全?危険?、情報の受け取り方

西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

                           
最近はWebが発達したこともあり、いろいろな情報に簡単に接することが可能になった。
だが、情報は基本的に、「発信する側」「伝達する側」「受け取る側」、それぞれの立場で「加工」されることがある。
アトピー性皮膚炎の場合も、ステロイド剤に対する情報は賛否両論、Webでは読むことが可能だが、その情報の「正誤」と「真実」がどこにあるのかを、受け取る側が正しく判断することはかなり難しい場合が多い。

先日、福島原発事故についての記事で興味深いものがあった。
             
             
●「甲状腺がん」新たに6人診断、計18人に 県民健康調査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130821-00010005-minyu-l07
               
福島医大は20日の県民健康管理調査検討委で、原発事故当時18歳以下で2011~12年度に1次検査を受けた約17万7000人の甲状腺検査結果(7月31日現在)を報告し、詳細な2次検査で甲状腺がんと診断された人が前回(5月27日時点)より6人増え18人となった。
がんの疑いは前回比10人増の25人。がん、がんの疑いと診断された人は計44人(うち1人は手術で良性と確認)となる。がん診断の18人は全員、手術を受け日常生活に復帰している。検討委の星北斗座長は終了後の記者会見で「にわかに原発事故の影響があるとは思わない」と見解を示した上で「ただ(事故との因果関係は)分からない部分があるので今後しっかりと評価したい」と述べた。
       
        
この情報をまず読むと、放射能の影響を心配する人であれば「やはり問題が出てきた」と感じるだろう。
だが、通常、放射能による甲状腺ガンの影響は年齢が低いほど、早く出やすいことが分かっている。
つまり、年齢が高くなれば、短期間で出来たガンかどうかが疑わしくなる、ということだ。
同じ検討委員会のことを報じた記事でも、次のような記事もある。
            
        
●甲状腺がん診断確定18人に 原発事故の影響否定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130821-00000005-fminpo-l07
                       
東京電力福島第一原発事故を受けた福島県の県民健康管理調査の検討委員会は20日、福島市のグランパークホテルエクセル福島恵比寿で開かれた。前回6月の報告以降、東日本大震災当時に18歳以下で、甲状腺がんの診断が「確定」した人が6人増え18人、「がんの疑い」が10人増えて25人になったとする結果が報告された。
平成23年度検査で甲状腺がんと確定したのは9人、疑いが4人、24年度検査では、確定が9人、疑いが21人となった。星北斗座長(県医師会常任理事)は会議後の記者会見で「現時点で、原発事故による放射線の影響とは考えにくい」との見解をあらためて示した。
「確定」「がんの疑い」と診断された計43人の年齢層(二次検査時点)は8歳が一人、11歳が一人で、残りは13~21歳だった。放射線の影響を受けやすいとされる8歳以下はほとんどいなかった。会議で福島医大の鈴木真一教授は「がんの状態から2、3年以内にできたものではない」と述べ、原発事故との関連に否定的な見解を示した。
甲状腺検査は、震災当時18歳以下の約36万人が対象。平成23年度は、一次検査が確定した約4万1000人のうち、二次検査の対象となったのは214人。24年度は約13万5000人の一次検査が確定し、二次検査の対象は953人だった。
                      
                       
この記事を読んだ人は、放射能の影響を心配しない人であれば、「やはり放射能は深刻な被害はもたらさないのでは?」と感じるだろう。
このように、同じことを伝える記事でも、その記事の内容が詳しいか詳しくないかによって、つまり、「発信する側」の意図によって、受け取る側に取って異なる情報が伝わることがあるといえるだろう。
               
ただ、後者の記事も、他の情報を加味することで、客観的に放射能の影響を否定することができないこともある。

甲状腺のガンは、基本的に、0~19歳の厚生労働省の過去の統計データでは、2000年~2008年の9年間で、全国合計で、男性が126名、女性が375名、人口当たり100万人に1名程度、とされている。
ところが、今回は10万人で24.9人と、100万人で換算した場合には3ケタ以上の差が生じていることになる。
また、男女比も放射能の影響は男性が多くなりやすい傾向が出るらしいが、今回も、通常の男女比1:4から比べて大きく男性の割合が増えてきている。
こうした情報を加味して、放射能の影響を否定しているのは「情報かくし」と考える人もいるようだ。
これは、情報を「伝達する側」の意図によって、情報を受け取る側が左右させられると考えても良いだろう。

結果的に、放射能の影響が出ているのかどうかは、まだ数年しないと分からないのが正直なところだろう(チェルノブイリ事故のときには、4年経過以降で急激に増えた記録があるため)。
だが、今回の検査は全数検査しているから「数字」が多くなっている、という意見がいろいろと出ているようだが、以前のブログでも述べた通り、もし、本当に全数検査すれば明らかに100万にあたり100人単位で小児に甲状腺ガンが見つかり、また同時に、そのガンは治療を必要な場合がある、というならば、今回の福島県での検査結果が放射能の影響でないと強く考えるならば、提言として、全国的な小児の甲状腺ガンの検査を行うよう勧告すべきではないだろうか?
福島県の子どもたちには甲状腺ガンは多かった、でもこれは検査数が多いからの結果、そして検査の結果ガンと診断された子どもたちにはガン治療を行う、しかし全国の子どもたちは検査しない、ということは、いくら深刻なガンになりにくい甲状腺ガンといえど、深刻なガンになるケースがゼロではないことを考え、さらに今まで考えられていた一般的な小児がんの発生率を大きく上回っていて、その発生率が「新たな一般的」であるならば、全国の子どもたちに対する検査も考えていくべきだろう。

このように、情報を最終的に受け取る側は、今の時代、さまざまな他の情報も統合的に検討しながら判断していくことが求められているのではないだろうか?

                                  
おまけ★★★★西のつぶやき

アトピー性皮膚炎に関する情報は、「発信する側」からは多くのものが出されている。
ステロイド剤だけ見ても、治療を行う側は、皮膚科学会、製薬会社などステロイド剤を「販売している」側から、安全を強調するものが多く出ていて、そして、それを受け取る側、つまりステロイド剤を使用する患者側からは、リスクを強調するものが多い。
もちろん、ステロイド剤を安全に使用できた患者は、情報を発信する必要性すら感じないから少ない、ということもあるが、安全、危険の両極端な面で考えると、両者が混在していることも忘れない要しないといけないだろう。