痒みの治療、アトピーの治療(1)

昨日のおまけで少し書いたのじゃが、今日は、「痒みを抑える治療がアトピー性皮膚炎そのものの治療に直結しなくなってきたこと」について考えてみたい。

 

 

 

 

 

 

 

                

30年ほど前、アトピー性皮膚炎は、まだ広く知られておらず、一般的には「子どもの疾患で、大人になると治る」と言われておったときがある。
これは、アトピー性皮膚炎の症状、つまり炎症→痒み、を引き起こしているのが、体の「免疫機能」のズレた働きによるものが多かったため、免疫機能自体を子どもが毎日の生活の中で、上手に「成長」させることで、自然と消失していったわけじゃ。

外でしっかり遊び、夜は早く寝て、和食を中心に食事をとる、こうした毎日の生活の積み重ねが、身長や体重だけでなく、内分泌機能や免疫機能も「正しく育てる」ことで、ズレた免疫機能から生じるアトピー性皮膚炎のような疾患も、自分で正すことができた、というわけじゃ。

ところが、最近の子どもは、免疫機能を「正しく成長させる」ことが難しい社会環境下におかれておる。

夜は、テレビやゲーム、受験勉強、遊びなど、さまざまな理由により、大人と同じような時間まで起きていることが多くなり、毎日1時間程度、睡眠時間が少なくなってきた。
わずか1時間と思うかもしれんが、幼少期の1時間の睡眠不足は、5年たてば約1,800時間もの睡眠時間が累計で不足したことになる。
睡眠は、内分泌機能と自律神経機能に密着な関係を保っており、成人と小児では「必要な」量が異なってくる。
もちろん、生命維持だけで見れば、少なくても直結する問題は少ないかもしれんが、「健康」という観点からみれば、この差は実に大きな差といえるじゃろう。
先の例でいえば、1,800時間の睡眠で得られる内分泌の量や、自律神経の調整機能が「失われた」ともいえるわけじゃからの。

これは、食事や遊びでも同様のことがいえる。
本来、動物の幼体は、良く「動いている」ものじゃ。これはヒトも同様じゃ。
これは、「動く」ことで代謝機能を自然と高めることにつながるからじゃ。
しかし、今の子どもたちの生活環境は、ヒトが健康に「成長」していくために必要な代謝量を得られるための「行動」につながる「遊び」ができにくくなっておる。
毎日、暗くなるまで外で遊ぶ、昔の子どもたちはこうした毎日を送ってきたわけじゃが、今は、事故や事件が心配で、そういったことがなかなかできん。
また、ゲームなど室内で「楽しく遊べる」道具が増えてきたこともある。
受験勉強なども、「遊び」の時間を削っていると言えるじゃろう。
もちろん、こうしたことは「今の社会生活」の中では必要なことかもしれん。
じゃが、体にとっては、必ずしも「必要な」ことではないのじゃ。
睡眠で述べたように、外で遊ぶ時間が1日1時間なくなると、数年間で膨大な時間に積み重なり、本来得られていた「代謝」が得られなくなっておる。

食事も同様じゃ。
加工食品の摂取が多くなり、また和食から洋食に増えることで、脂質やたんぱく質の摂取が増えるようになった。
しかし、その摂取した栄養素に対して必要な代謝は、先に述べたように、逆に生活の中で失われつつある。

この他、生活環境内の化学物質の増加も、こうした身体機能の成長を妨げる要因につながっておる。
食品中の添加物だけではなく、大気中の排気ガスや工場の排煙、舗装された道路から舞い上がる粉塵など、いたるところで化学物質に接する機会は増えておる。
本来、こうした化学物質は、代謝により排泄されるわけじゃが、体を動かす機会が減ることで、排泄はされにくくなっておる。
これは、子どもに限った事だけでなく、成人も同様じゃ。
花粉症が毎年話題になるが、花粉症も、こうした代謝、睡眠、そして化学物質による体の機能への影響により現れている側面があるからの。

では、生活において「どうすれば良い」のじゃろうか?
長くなるので、続きは明日じゃ。

                       
おまけ★★★★博士のつぶやき

化学物質の増加は、アトピー性皮膚炎にとっては、かなり大きなウェイトを占めておると考えてよいじゃろう。
化学物質は「内分泌かく乱物質」と言われることもある。
こうした「内分泌機能」に、何らかの影響を与えれば、当然のことじゃが、内分泌機能の「支配下」(あと自律神経の支配下でもある)にある「免疫機能」は、少しずつその機能が「狂う」こともあるじゃろう。
難しい問題ではあるが、今後のアレルギー疾患を少しでも減らしていくためには、こうした化学物質の問題は考えていく必要があるじゃろうの。