【Q&A】ステロイド剤はいつまで蓄積するのか?(2)

今日は、昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

まず、Hさんのご質問の本題、どれくらいの期間、ステロイド剤は皮膚や皮膚下で残留しておるのか、ということじゃが、残念ながら、具体的な期間について調査した論文は見つからなかった。
一応、脱ステを行っておられる医師、ステロイド剤治療を行っている専門医の方にも尋ねてみたのじゃが、ステロイド剤が皮膚に貯留するような論文はあるが、そういった貯留する期間に関する研究や論文はみたことがない、とのことじゃった。

脱ステを行う医師の見解としては、過去に、脱ステ後、10年以上経過して、さらにいったんアトピー性皮膚炎が完全に落ち着いた状態になってから、再度、リバウンドのような状態に陥ったケースが時々あるが、リバウンドのような状態は、アトピー性皮膚炎そのものの悪化状態、あるいは感染症を併発した状態でも同様の症状を示すため、そういった方が、ステロイド剤のリバウンドが再び現れた、と判断することは難しい、とのことじゃった。

ステロイド剤治療を行う専門医の見解としては、ステロイド基を持つ薬剤、ということで考えると、貯留性は一時的なものであり、汗や皮脂(特に皮脂)で代謝されるはずであり、その期間は、長くても月単位までにとどまるのでは、とのことじゃった。

先日、初回した論文も2週間の経過観察に過ぎんし、皮膚の細胞そのものも少しずつ新陳代謝で「新しく」なっていくことから考えると、「貯留」そのものは、年単位で行われているものではないと思うの。

そういったことから考えると、Hさんが脱ステしてから10年以上、経過している、ということならば、以前、使っていたステロイド剤の「リバウンド」が再び現れているとは、考えづらいと言えるじゃろう。

では、Hさんのケースは、どういったことが考えられるのじゃろうか?

一つは、もし、脱ステ後、いったんはアトピー性皮膚炎が克服できた状態(薬物を使用せずに、痒みや炎症が年単位で現れていなかった場合)であれば、今回、現れてきたアトピー性皮膚炎の症状は、イメージとして「新たなアトピー性皮膚炎に罹った」と考えた方が良いかもしれん。
アトピー性皮膚炎の原因は、個人差が大きいことは過去のブログでも述べた通りじゃが、10年前は10年前でアトピー性皮膚炎の原因があり、今回は別の原因からアトピー性皮膚炎が現れてきた、ということも考えられる。

二つ目は、もしスキンケアアイテムを使っていて、その中にグリチルリチン酸が配合されていた場合には、グリチルリチン酸が持つ免疫抑制作用により、ステロイド剤で生じるような影響がみられた場合じゃ。
この原因は、意外と多くみられる。
特に最近のアトピー性皮膚炎向けの化粧品アイテム、洗浄アイテム(ボディーソープやシャンプーなど)には、炎症が抑えられることから、グリチルリチン酸が配合されたものが多いからの。
もっとも、グリチルリチン酸の場合、高分子のため健常な肌では吸収されづらく、効果がみられない=副作用も見られない、ということもあるし、そもそもステロイド剤ほど強い免疫抑制作用はなく、ダメージを受けた肌の方が連用したとしても、ステロイド剤ほど長期連用による影響がみられることはないがの。

三つ目は、ステロイド剤により受けたさまざまな肌の影響が、ダメージとして「残り続けていた」こともある。
これは、脱ステ後も、皮膚にダメージが残されている方に多くみられるのじゃが、肌のバリア機能が回復しきっていないため、ちょっとした悪化要因で症状が悪くなることがある。
特に角質そのものが、十分に回復しきっていないと、水分をため込む力も弱い状態が続き、痒みを知覚する神経線維が表皮内に侵入した状態が続きやすくなっておることがある。
こうした状態で、さらに「乾燥」がみられると、外部からの刺激が直接、痒みと知覚されやすく、いったん掻いてしまうと、そこで炎症が生じ、その炎症が二次的な痒みを生じさせる、という悪循環に陥ることがある。
また、こうしたお肌の回復が十分でない場合、感染症にも弱い状態といえるから、皮膚表面における「悪化要因」はかなり多くなることが考えられる。

では、Hさんの場合、どのように考え、どのような対策を行うことが良いのじゃろうか?
続きは明日じゃ。

  
おまけ★★★★博士のつぶやき

基本的に、ステロイド剤の直接の副作用とは、薬理的な直接の作用によりもたらされるものが多い。赤みが増えた、皮膚が薄くなった、などの状態じゃな。
外用のステロイド剤は、内服のステロイド剤のような、強い内科的な副作用は生じづらいものじゃ。
じゃが、一点、注意するとするなら、「免疫抑制による副作用」、すなわち「感染症」じゃ。
感染症にかかることで、皮膚機能が低下した状態が継続し、そのために皮膚のバリア機能が回復せず、アトピー性皮膚炎そのものを悪化させることがあるからじゃ。
ステロイド剤の副作用なのか、ステロイド剤により受けた影響が継続することで生じた悪化なのかは、その対策も変わるから、分けてみた方が良いかもしれんの。