放射性物質の動植物への影響(2)

東です。

 

 

 

 

 

 

   
今日は、昨日の続きです。

 
●福島原発周辺で「動植物異常」相次ぐ チョウやニホンザルなどに異常、研究者が被曝影響と指摘
http://news.livedoor.com/article/detail/7558754/?utm_source=m_news&utm_medium=rd
 
(昨日の続きの記事です)
 
■被曝した個体で生存率が低下
 
外部から放射線を照射した実験(外部被曝の検証)では、放射線を多く照射した個体ほど羽根が小さくなる傾向が見られ、生存率が低くなっていた。また、汚染されたカタバミを幼虫に食べされた内部被曝に関する実験でも、比較対照群である山口県宇部市の個体と比べて福島県内の個体で異常が多く見られ、生存率も大幅に低くなっていた。

内部被曝の研究では驚くべき結果も出た。

「沖縄のエサを食べた個体と比べ、福島県内の個体は死に方でも明らかな異常が多く見られた」と、大瀧准教授は写真を用いて説明した。さなぎの殻から抜けきれずに死んだり、成虫になっても羽が伸びきれない事例などショッキングな写真を紹介。「(生体の)微妙なバランスが狂ってしまうと死亡率が上がるのではないか」(大瀧准教授)と指摘した。

続いて東京大学大学院農学生命科学研究科の石田健准教授は、「高線量地帯周辺における野生動物の生態・被ばくモニタリング」と題して講演した。
 
■通常のウグイスなら、見たこともない「おでき」が…
 
石田准教授らは、福島県阿武隈高地の中でも特に放射線量が高く、現在、「帰還困難区域」に指定されている浪江町赤宇木地区(福島第一原発から約25キロメートル)で2011年8月に野生のウグイス4羽を捕獲したところ、「うち1羽から今までに私自身、ウグイスでは見たこともないおできが見つかった」(石田准教授)。これまで350羽あまりを捕獲した経験のある石田准教授が驚くほどの病状で、このウグイスには血液原虫も寄生していた。また、捕獲したウグイスの羽毛を持ち帰って放射線量を測定したところ、セシウム134と137を合わせて最高で約53万ベクレル/キログラムもの汚染が判明した。

石田准教授はその後も自宅のある埼玉県横瀬町と福島を15回にわたって行き来し、鳥類の定点観測や自動録音による野生動物のモニタリングを続けている(なお、研究成果の一部は、中西友子・東大大学院教授らの編纂した英文書籍で、シュプリンガー社から3月に出版された。電子ファイルは誰でも無料で自由に読める。(こちらからご覧いただけます)
 
■ニホンザルの白血球数が減少
 
そして4人目の講演者として登壇したのが、羽山伸一・日本獣医生命科学大学教授。「福島県の野生二ホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況と健康影響」と題した講演をした。

28年にわたってサルの研究を続けている羽山教授は、ニホンザルが北海道と沖縄県を除く全国に生息している点に着目。「世界で初めて原発の被害を受けた野生の霊長類」(羽山教授)として、ニホンザルは被曝による健康影響の研究対象としてふさわしいと判断した。

羽山教授は、約3000頭近くが生息する福島市内(福島第一原発から約60キロメートル)で農作物被害対策のために個体数調整で捕獲されたサルを用いて、筋肉に蓄積されているセシウムの量を継続的に調査。性別や年齢、食性との関係などについて検証した。

■福島と青森のサルを比較すると…
11年4月から13年2月にかけて福島市内で捕獲された396頭のサルと、青森県で12年に捕獲された29頭を比較。土壌中のセシウムの量と筋肉中のセシウム濃度の関係を検証した。その結果、「土壌汚染レベルが高いところほど、体内のセシウム蓄積レベルも高い傾向があることがわかった」(羽山教授)。また、木の皮や芽を食べることが多く、土壌の舞い上がりが多い冬期に、体内の濃度が上昇していることも判明したという。なお、青森県のサルからはセシウムは検出されなかった。

「注目すべきデータ」として羽山教授が紹介したのが、血液中の白血球の数だ。避難指示区域にならなかった福島市内のサルについては、外部被ばくは年間数ミリシーベルト程度の積算線量にとどまるうえ、内部被曝量も10ミリグレイ程度にとどまるとみられると羽山教授は見ている。にもかかわらず、ニホンザルの正常範囲より白血球数、赤血球数とも減少しており、白血球は大幅に減少していた。

「特に気になったのが2011年3月の原発事故以降に生まれた子どものサル(0~1歳)。汚染レベルと相関するように白血球の数が減っている。造血機能への影響が出ているのではないかと思われる」(羽山教授)という。

シンポジウム終盤の討論で羽山教授はこうも語った。

「本日の講演内容がにわかに人間の健康への研究に役に立つかはわからない。ただし、現在の福島市内のサルの被曝状況は、チェルノブイリの子どもたちとほぼ同じ水準。チェルノブイリの子どもたちに見られる現象がニホンザルにも起こったことが明らかにできればと考えている」

    
記事は以上となります。
こうした動植物とヒトとは、個体としての大きさも違いますし、その影響の度合いも異なってくることは確かでしょう。
ただ、昨日も書いたように、今回の放射性物質の影響は、事故直後に「終了」しているわけではありません。
事故直後からみれば、その量は大幅に減少したとはいえ(数百~数千分の1)、例えば東京都で見ても、今年の2月時点で一平方キロあたり25メガベクレル(25000000ベクレル)もの放射性物質が1カ月の累積で降下しているわけです。
南の地域においては、そうした放射性物質の降下が同じ1カ月の累積で不検出であることを考えると、「異常」な状況が「継続」していることは確かでしょう。
もちろん、その「異常」が、健康や生命に及ぼす影響で考えれば、「今は異常ではない」かもしれません。
しかし、今回の記事のように、放射性物質による動植物への影響が見られ始めている、と仮定した場合、その影響が「ヒト」に現れないとする「断言」は、チェルノブイリの原発事故における数年後からの健康への影響データから考えると、できないように思います。

昨年の春以降から、アトピー性皮膚炎の方の「症状」が少し変化しているように感じます。
その変化は、実は悪い変化ではなく「症状が軽くなっている」傾向があります。
医学的な統計をとっているわけではありませんが、アトピー性皮膚炎の患者数に大きな差異はないのですが、症状が悪化する「度合い」が減少しているように感じます。

最近は、いろいろな感染症が増加している傾向がありますが、記事の「サルに白血球の減少傾向がみられた」とあるのと同様な影響が、もしヒトへの免疫力にも見られた場合、アトピー性皮膚炎に対しても、継続した影響は避けられないかもしれません。
もっとも、もし今の「症状が軽くなる」といった傾向が「正しい」とすれば、患者にとっては、「悪い変化」ではないかもしれませんが・・・・
しかし、体内の免疫の活動を支配しているのは内分泌と自律神経です。
免疫の活動に変化がみられる、ということは、こうした内分泌や自律神経への変化が同時に考えられる、ということでもあり、バランスの乱れが大きく揺れ動いた場合、「悪い変化」をもたらすことも否定はできません。

特に、感染症に対する免疫力の低下が見られるような場合の免疫のバランスは、アレルギーに対する免疫は、通常、高まりますから、アトピー性皮膚炎などアレルギー症状は悪化しやすくなっても不思議ではありません。
しかし、アレルギー症状までも抑えられている場合、Th1やTh2に影響を与えているその他のヘルパーT細胞、あるいはサイトカインの「影響」も考えなくてはならないことになり、その問題はより複雑化してくるとも言えるでしょう。

いずれにしても、不確定な状況の中、推測だけで右往左往することは良くないことは確かですが、こうした「動植物への影響の報告があったこと」は、認識しておいた方が良いかもしれません。

    
おまけ★★★★博士のつぶやき

今回、東君が紹介した動植物への異常については、反論する意見もある。
例えば、蝶は環境因子に大きく左右されやすいので、放射性物質を含む「えさ」を食べれば、異常が起きやすくなって当たり前であり、ヒトに対して同様の影響がみられることは非常に稀である、などの意見じゃ。
問題は、こうした「環境下」で生活しなければならない私たちが、どのように取り組むかじゃろう。
放射性物質の影響は、低量性被曝の影響は、一律に出るものではない。
また、仮に影響があった場合でも、その軽重の問題もある。
そうしたことを踏まえると、低量性被曝の影響は、ほとんどの場合、生命に影響がみられる深刻な問題はなく、一定の健康への影響が一部の人に見られる、確率的な影響とも言えるじゃろう。
じゃが、その確率は「ゼロ」でなかった場合、軽重の問題を含めて、あとは確率的な問題として認識しておくことも「自己防衛」の一つとして必要なのかもしれんの。