放射性物質の動植物への影響(1)

東です。

 

 

 

 

 

 

 

  
東日本大震災から2年以上が経過し、ほぼ同時に発生した福島原発事故の影響は、報道も少なくなって、社会的な風潮としてはかなり「過去のできごと」になりつつあるように感じます。
しかし、現実問題として事故を起こした福島第一原発はいまだに事故の「終息」はしておらず、放射性物質が放出される現状も続いています。
そんな中、気になる報道がありました。
記事が長いので、二日に分けて掲載します。

 
●福島原発周辺で「動植物異常」相次ぐ チョウやニホンザルなどに異常、研究者が被曝影響と指摘
http://news.livedoor.com/article/detail/7558754/?utm_source=m_news&utm_medium=rd
 
福島市や全村民が避難を余儀なくされている福島県飯舘村など、福島第一原原子力発電所からの放射性物質で汚染された地域で、動物や植物に異常が多く見られることが研究者による調査で明らかになった。

3月30日に東京大学内で開催された「原発災害と生物・人・地域社会」(主催:飯舘村放射能エコロジー研究会)で、東大や琉球大学などの研究者が、ほ乳類や鳥類、昆虫、植物から見つかった異常について報告した。

原発事故による生物への影響についての研究報告は国内でもきわめて少ないうえ、4人もの研究者が一般市民向けに報告したケースはおそらく初めてだ。
■稲の遺伝子に異変
まず生物への影響に関してシンポジウムで最初に報告したのが、筑波大大学院生命環境科学研究科のランディープ・ラクワール教授。「飯舘村での低レベルガンマ線照射に伴う稲の遺伝子発現の観察」というテーマで研究成果を発表した。

ラクワール教授は、つくば市内の研究所で育てた稲の苗を、福島第一原発から約40キロメートルに位置する飯舘村内の試験農場に持ち込んだうえで、放射線の外部被曝にさらされる屋外に置いた。そして生長が進んでいる根本から3番目の葉をサンプルとして採取し、ドライアイスを用いて冷凍保管したうえで、つくばに持ち帰った。

その後、「半定量的RT-PCR法」と呼ばれる解析方法を用いて、特定の遺伝子の働きを観察したところ、低線量のガンマ線被曝がさまざまな遺伝子の発現に影響していることがわかったという。ラクワール教授らが執筆した研究結果の要旨では、「飯舘村の試験農場に到着してから初期(6時間後)に採取したサンプルではDNA損傷修復関連の遺伝子に、後期(72時間後)ではストレス・防護反応関連の遺伝子に変化が認められた」と書かれている。

「稲に対する低線量被曝の影響調査は世界でも例がない。今後、種子の段階から影響を見ていくとともに、人間にも共通するメカニズムがあるかどうかを見極めていきたい」とラクワール教授は話す。

動物に現れた異常については、3人の研究者が、チョウ、鳥、サルの順に研究成果を発表した。

チョウについて研究内容を発表したのが、琉球大学理学部の大瀧丈二准教授。「福島原発事故のヤマトシジミへの生物学的影響」と題した講演を行った。
 
大瀧准教授らの調査は、日本国内にごく普通に見られる小型のチョウであるヤマトシジミを福島第一原発の周辺地域を含む東日本各地および放射能の影響がほとんどない沖縄県で採集し、外部被曝や内部被曝の実験を通じて生存率や形態異常の有無を調べたものだ。大瀧准教授らの研究結果は昨年8月に海外のオンライン専門誌「サイエンティフィックリポート」に発表され、フランスの大手新聞「ル・モンド」で大きく報じられるなど、世界的にも大きな反響があった。
 
※原著論文は下記に掲載
http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/39035
 
※日本語の全訳は下記に掲載(研究室のホームページより)
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/bcphunit/kaisetsu.html
 
■飼育実験で被曝の影響を検証
 
大瀧准教授は研究の特徴として、1.事故の初期段階からの調査であること、2.事故の影響のない地域との比較研究であること、3.飼育実験により、子世代や孫世代への影響を評価していること、4.外部被曝実験および内部被ばく実験を実施したこと――などを挙げた。

事故から2カ月後の2011年5月および半年後の9月に福島県などからヤマトシジミを沖縄に持ち帰ったうえで、子ども世代や孫世代まで飼育を継続。一方で沖縄で採集したヤマトシジミにセシウム137を外部照射したり、セシウム137で汚染された野草(カタバミ)を、沖縄で採集したヤマトシジミの幼虫に食べさせた。ヤマトシジミの採集地点は東京都や茨城県(水戸市、つくば市、高萩市)、福島県(福島市、郡山市、いわき市、本宮町、広野町)、宮城県(白石市)の計10カ所で、研究に用いたヤマトシジミの数は5741匹に上った。

大瀧准教授の研究では、驚くべき結果が判明した。

2011年5月の採集で、ほかの地域と比べて福島県内のヤマトシジミでは、羽のサイズが小さい個体が明らかに多いことがわかったのだ。「地面の放射線量と羽のサイズを比較したところ逆相関が見られ、線量が上がっていくにつれて羽のサイズが小さくなる傾向が見られた」と大瀧准教授はデータを用いて説明した。

また、捕獲した個体の子どもについて、「福島第一原発に近い地域ほど羽化までの日数が長くなる傾向が見られ、成長遅延が起きていたことがわかった」(大瀧准教授)。「親に異常があった場合、子どもでも異常率が高くなる結果も出た」とも大瀧准教授は語った。ただし、「これだけの実験では、遺伝性(異常がDNA損傷に基づくもの)であると断言するには十分な証拠とは言えない」とも説明した。
 
(以下、明日に続く)
 
  

現在、復興に関する記事は時々見られますが、放射性物質がどのような状況にあるのかについての報道はほとんどありません。
しかし、現在も、放射性物質の降下は続いている現状があります。
原子力規制委員会が公表している全国の1カ月あたりの環境放射能水準調査結果を見ると、本日現在で最新となる今年2月のデータでは、福島県を中心とした東北地方の太平洋側、関東地方でセシウムが検出されています。
 
 
●2013年2月分の環境放射能水準調査結果
http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/7000/6817/24/195_feb_0327_14.pdf
 
 
原発事故直後の2011年4月の同じデータでは、事故直後ということもあり、全国で放射性物質の降下が見られました。
しかし、その一年後の2012年4月のデータでは、中部地方より南の地域は、ほとんどが不検出になっています。
 
 
●2011年4月分の環境放射能水準調査結果
http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/3000/2412/24/1060_04_gekkan.pdf
 
  
●2012年4月分の環境放射能水準調査結果
http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/6000/5369/24/194_4_0801_de.pdf
 
 
ただ、今年2月のデータでは、福島県における放射能の降下物は昨年4月よりも増加している状況です。
もちろん、季節的な要因などが加味されなければいけないのでしょうが、少なくとも、降下物自体が日ごとに大幅に減っている状況にはなく、その影響範囲はいまだに関東全域まで見られることが分かります。

では、こういった現状の中、私たちの健康への影響は、どの程度、考える必要があるのでしょうか?
続きは明日です。

   
おまけ★★★★東のつぶやき

現状、放射性物質の影響は、目に見えて私たちの生活に「問題」をなって現れているわけではありません。
しかし、ニュースとして取り上げられないと、こうした情報に接する機会は得られにくく、万一のリスクに対処したいと考えたい場合には、「問題」となって現れる前に考えておくことが必要になるでしょう。
いずれにしても、原発事故は「過去の問題」ではなく、「現在進行形の問題」であることを忘れてはならないでしょう。