【Q&A】薬剤で抑えること、休職することの選択(3)

二日間、ジョシュア君がブログを担当したのでお休みしたが、今日は、水曜日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

  

前々回は薬物治療のメリット・デメリットを、前回は脱ステのメリット・デメリットを述べた。
二つを並べて比較してみると、薬物の治療は症状を「抑える」でけで、アトピー性皮膚炎は治せず、さらに薬物治療がアトピー性皮膚炎の悪化要因になること、そして脱ステは悪化した状態は抑えられないものの、薬物治療による「重し」はなくなること、さらに悪化した状態はエンドレスではなく、それを抑える(治す)力は自分の体が持っていること、などを考えると、薬物治療よりも脱ステの方が「正しい」ように思えるかもしれんが、そうとは限らないのが実情じゃ。

それがなぜかというと、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は「生活」の中にも「生活環境」の中にも潜んでおり、さらに、毎日の生活を送ることそのものに支障をきたした場合にどうするのか、という「現実の問題」があるからじゃ。

例えば、脱ステを行って、症状が悪化し、夜の睡眠がほとんどとれない状況になったとしよう。
夜の睡眠がとれなければ、唯一、体が痒みや炎症に対抗できる「効果的な」手段といえる体内で作り出す副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド)の産生が低下する(午前4時~7時に産生のピークを迎えるが、その前に一定時間の睡眠量が必要なため)。
体内で作られる副腎皮質ホルモンが少なければ、炎症を抑える薬理作用まで回されず、夜の痒みがなくらない。
夜の痒みがなくならないと、夜眠れずに・・・・という悪循環の中から、抜けづらくなる。
もちろん、「痒み」、つまり炎症を引き起こしている原因が「アレルゲン」など特定できる場合には、アレルゲンから遠ざかることで、炎症が症状ない=痒みがなくなる、ということもあるのじゃが、長年、薬物治療を行ってきた方の場合、初日に述べたように、行ってきた薬物治療がサイトカインなどを通して、IgEを増強させ、炎症の原因となっておることが多く、そういったケースでは、表皮IgE陽性B細胞そのものがなくなる状況にならないと、ガレクチン3など、IgEの受容体を通して連鎖的に起こされている反応の中で、炎症が消え去ることが難しくなる。

では、そうした体内の免疫反応を正しい方向性に導くために何が必要なのか、というと、そこに関わってくるのが「時間」という問題じゃ。
もちろん、代謝や腸内の活動、睡眠、食事など、生活内のさまざまな要因がその解決に向けてプラス要因にはなってくれるじゃろう。
じゃが、体内で一定量作られた表皮IgE陽性B細胞(sIgE+B細胞)が、アトピー性皮膚炎ではないヒトのように表皮IgE陰性B細胞(sIgE-B細胞)になるためには、陽性B細胞が消費される時間をまたなければならない。
その消費される時間はILー4などを生み出す生活内の要因により異なり(IL-4が表皮IgE陽性B細胞を作り出す一因のため)、個人差がかなり大きいと言える。

リバウンドと呼ばれる症状が、ヒトによって回復までに期間が異なるのは、アレルゲンの問題の他にも、こうした生活内で体内の免疫活動にマイナスの影響を与える要因も関わっておる、ということじゃな。

さらに、最初に述べた「現実の問題」もある。
それは、置かれた環境によっては、「仕事を休むことが難しい」場合じゃ。
仕事ができなければ「収入」もなく、生活そのものを維持することが難しくなる。
もちろん、収入がない状況で行政の補助を受ける、ということもできるが、医療費の負担もなくなる反面、病院での治療を行うことを迫られることになるじゃろう。
つまり、ステロイド剤で治療して、アトピー性皮膚炎を「良くして」から仕事を行うようにしましょう、ということじゃ。
こういった、生活を行う上での「現実の問題」もあるじゃろう。

こうした部分を加味した上で、考えていく必要はあるじゃろう。
では、どのように考えていくことが良いのじゃろうか?
続きは明日じゃ。

  
おまけ★★★★南のつぶやき

実際の相談を受けていると、博士が書いていた「現実の問題」とは、多くの人が抱える問題になっていると感じます。
そういった問題を踏まえて解決の道筋を考えていくのは大変な部分もありますが、道筋は一つではないので、あきらめないで取り組んで欲しいと思います。