白血球が炎症を作り、白血球が炎症を治す

東です。

 

 

 

 

 

 

 
アトピー性皮膚炎の原因の一つ、「免疫機能の異常状態」とは、無害な抗原に対して抗原抗体反応を生じさせ、その結果、皮膚で炎症が現れ、その炎症により「痒み」を知覚する、という流れです。
この場合、免疫は「炎症を作り出す悪者」ということが言えますが、先日、アレルギーの炎症を作り出す免疫が、その炎症を「治す免疫」の役割も担っていることが記事になっていました。

 
●アレルギー:炎症「火付け役」の白血球、実は「火消し役」
http://mainichi.jp/select/news/20130222k0000e040155000c.html
 
アトピー性皮膚炎やぜんそくなどのアレルギーを悪化させる「火付け役」と考えられていた原因物質が、逆に炎症を抑制する「火消し役」に変わる仕組みを、東京医科歯科大の烏山(からすやま)一教授(免疫アレルギー学)のチームがマウスの実験で発見したと発表した。アレルギー疾患の新たな治療法の開発が期待できる。21日付の米科学誌イミュニティ(電子版)に掲載された。

アレルギーは、本来有害ではない花粉などを敵だと思い、白血球などの免疫反応が過剰になって炎症が起こる現象。しかし、アレルギー性炎症を抑制・終了させる仕組みは十分解明されておらず、治療の大半は対症療法となっている。

チームは、慢性アレルギー炎症を起こしたマウスの耳の細胞で、さまざまな種類の白血球の動きを調べた。その結果、細胞内で炎症を起こす白血球の「炎症性単球」が別の白血球の指令を受けて、アレルギー物質を取り込んで壊す「火消し役」に変わっていることが判明した。

 
このことが、今後、詳しく解明されていくと、アトピー性皮膚炎にとって、新たな治療の道がみつけられるかもしれません。
ご存知の通り、アトピー性皮膚炎に対して医療現場が行う主たる治療法は、ステロイド剤やプロトピック軟膏など、免疫を抑制する薬剤です。
アレルギーの炎症を引き起こす免疫そのものを最初から働かないようにすることで、炎症が生み出す痒みを抑制しよう、というものです。
しかし、これらの免疫抑制はアレルギーに関わる部分だけではなく、感染症など外敵に対する免疫も抑制することで、皮膚の防御力、バリア機能が低下して、感染症を誘発することで症状が慢性的に反復継続して現れる、というリスクが考えられていました。

一方、ステロイド剤の治療において、大半の方は、その治療が単発的な位置づけで終わることが可能で、そういった反復継続した炎症、症状が現れる方は、全体の中でごく一部であることも確かなことでした。
ただ、ステロイド剤などの免疫抑制剤が「使えない」状況の人がどういった分類ができるのかは、分かっておらず、「長期連用」がそのリスクの主なものと考えられていました。
しかし、実際には、長期連用していないにも関わらず、ステロイド剤の使用後、症状が急激に悪化する例もあり、それは、「アトピー性皮膚炎そのものが増悪した」「ステロイド剤の基材に使われているワセリンなどにかぶれた」などが挙げられていましたが、そういったケースにおける共通要因として確固なものはありませんでした。

今回の記事で、アレルギーの炎症を引き起こしている免疫が、その後、その炎症を「治す」役割も同時に担っている、ということになると、アレルギーの炎症を引き起こす「免疫」をステロイド剤で抑制することで、その後「炎症を治す」力も失うことを示しています。

アトピー性皮膚炎の痒みの原因は、免疫機能の異常状態でけでなく、乾燥など他の要因も考えられ、そういった他の痒みの要因が生じている場合、その痒みにより生じた炎症を治癒させることも、こういったアレルギーを生じさせる免疫の「後始末」的な役割だった場合、その後始末ができない状態にあることが、掻き壊しによる症状の悪化を、増強させているのかもしれません。

いずれにしろ、今までとは角度が違う新たな発見であることは確かだと思いますので、今後、新たなアトピー性皮膚炎の治療に向けた展開は期待できるように思いますね。

  
おまけ★★★★博士のつぶやき

炎症を引き起こす白血球が、同時に炎症を治しておるとは、体の仕組みは複雑なようで、実は単純なのかもしれんの。
免疫を抑制する薬剤は、炎症を治す力も抑えることになるわけじゃから、そこがキーポイントになってくるのではないじゃろうか?