温泉の入浴と健康について(1)

東です。

 

 

 

 

 
連日、ブログを担当します。

あとぴナビでは、アトピー性皮膚炎に対して、温泉湯治を中心とした「入浴療法」と「スキンケア」、そして「生活及び生活環境の改善」という三つの柱を中心に考えています。
この中で「温泉湯治」とい部分について、昨日と同じ日経新聞のオンラインで面白い記事が出ていました。
記事が長いので、二日に分けて紹介したいと思います。

 
●40代後半から免疫力低下 健康なうちに始める湯治
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1200T_S3A210C1000000/

「温泉」というと旅館に1泊2日宿泊して楽しむものと思うシニア層が多いのではないだろうか。しかし、身体の免疫力を高めるような目的で温泉につかろうとするならば、2泊以上の滞在が望ましい。温泉教授として知られる札幌国際大学観光学部の松田忠徳教授は「これからは、できれば1週間の休みを取って湯治を楽しみましょう」と提案する。

■江戸時代には「箱根で1カ月湯治」の習慣

――江戸時代には温泉地で長い期間過ごし、身体を癒やす「湯治」がブームだったそうですね。

松田 現代の日本人は時間に追われる生活をずっと続けていますが、江戸時代にはもっとゆっくり過ごしていました。江戸っ子は1カ月休みを取って、箱根で湯治をしていました。往復、歩いて4、5日。箱根湯本から一番奥の芦之湯までの“箱根七湯”を、3週間くらいかけて順番に巡っていたのです。

――いろいろな温泉を巡るのですか。豪華ですね。

松田 そういう余裕が日本人にはありました。「湯治」は日本人の文化的なDNAにしっかり記憶されていると思うのですが、現代の日本人は忙しくて、なかなか湯治に行こうという踏ん切りがつかないようです。フランス人が1カ月もバカンスを取るようになったのは近年になってからですが、我々日本人は、約400年前の江戸時代から1カ月の休みを取って湯治に行っていたわけです。世界でも最もぜいたくな過ごし方ではないでしょうか。そういう習慣が日本人にあったということはぜひ、知っておいてほしいです。

■温泉のない生活考えられない

――だいたいが1泊2日ですね。そして、最近でこそ、個人で温泉に行って、ゆっくり湯につかるのが主流になってきましたが、高度成長のときは団体旅行で温泉に行くことが多く、温泉をゆっくり楽しむ間もなく、宴会場に向かっていました。

松田 それで旅館の風呂場も必要以上に大きくなりました。

――松田さんは、いつごろから温泉に興味を持たれ始めたのですか。

松田 2008年に「洞爺湖サミット」が開かれた北海道の洞爺湖温泉が私の産湯です。混浴の共同浴場に入りながら育ちました。

――もうどのくらいの数の温泉に入られているのですか。

松田 温泉の数で言うと4700カ所以上に入りました。いまは札幌市の郊外にある定山渓温泉のすぐ近くに住んでいます。温泉のない生活は全く考えられません。

■温泉は生もの 鮮度が生命線

――小グループの温泉旅行が主流になり、泉質に注目が集まり始めるなかで、温泉の偽装問題が起きました。2004年6月に長野県の白骨温泉で、一部の旅館が入浴剤を入れて温泉を白濁させていたということが明るみに出ました。同年8月には群馬県の伊香保温泉の一部の旅館が水道水を温泉と偽って営業していたことも明らかになりました。松田さんは、温泉を「ホンモノ」「ニセモノ」「マガイモノ」と区別していますね。

松田 温泉偽装問題が起こったのは夏休み中だったので対応できましたが、海外も含め、80件くらいの取材を受けました。

温泉は生ものなんです。温泉が生まれるのは地下数キロから数十キロのところです。地下に浸透した雨水が密閉状態で5万気圧にもなるところで、マグマだまりの1000度前後の熱で温められて、地表に湧出してきます。生ものにとって一番困るのは空気に触れ酸化することです。魚を釣って放置しておくと腐っていくのと一緒で、温泉が酸化すると成分が老化します。ホンモノの温泉とは常に湧き出ていて新しいお湯が浴槽からあふれ出ている状態にある温泉です。温泉の生命線は鮮度なんです。

日本には温泉法があります。温泉法上は「温泉」と認められるものでも、浴槽のお湯を抜かないで置いておくと菌が増えるので、塩素系の薬剤を入れて殺菌します。すると温泉は酸化、つまりサビた状態になります。またお湯を循環して使うことも多いのですが、私はこうした「温泉」をマガイモノと呼んでいます。温泉法上は「温泉」でも鮮度がなくなった酸化された「温泉」です。

ニセモノというのは温泉法でも「温泉」と認められないものです。

ホンモノの温泉は「源泉(100%)・かけ流し」といわれます。この言葉は若い人たちや本物志向の人たちの間で、市民権を得ました。この4、5年は女性たちが「源泉・かけ流し」に非常に敏感に反応するようになりました。

――温泉偽装問題の後から、温泉地では加温・加水しているか、循環装置を使っているか、入浴剤を入れているかなどをきちんと表示するようになりましたね。

松田 2005年から温泉法施行規則が改正され、そうした項目の掲示が義務づけられました。

――ホンモノの温泉と言う場合、ある程度の加温、加水は許されるのですか。

松田 冷泉などを加温することはあります。それをかけ流しで使うならばホンモノの温泉ではないでしょうか。加水も源泉が入浴できる温度でない場合などは、20%くらいの加水ならば許されるのではないでしょうか。同じお湯を循環させて何度も使いまわすのは、お湯が酸化されていきますから、ホンモノの温泉とは言えないでしょう。

地下から湧き出る温泉は還元力があります。還元とはサビを取ってぴかぴかにすることです。還元力のある温泉につかれば、皮膚も若返ってきます。

■秀吉や家康も温泉好きだった

――そうした温泉につかるということが江戸時代から、ブームになっていたということですが、当時は時の武将も湯治に注目していたそうですね。

松田 歴史上有名なのは豊臣秀吉です。記録に残っているだけで、いくさの前後に9回有馬温泉を訪ねています。織田信長を招きたいと道路を普請するのですが、本能寺の変で実現しませんでした。

秀吉はねねにも湯治を勧めます。ねねに手紙を送って、自分も一緒に行きたいけれど、忙しすぎて行けないとわびて、温泉の入り方を細かく指導しています。

徳川家康も征夷大将軍になった翌年の慶長9(1604)年、義直、頼宣の2人の子供を連れて、1週間熱海で湯治します。これが熱海の湯が天下に知れ渡るきっかけになりました。それまでは源頼朝と北条政子がよくあいびきしたといわれる伊豆山温泉の方が有名でした。熱海は、諸大名が参勤交代のたびに立ち寄るのでどんどん有名になっていきました。

(以下、明日に続く)

 
あとぴナビで、最初に取り扱った「箱根の源泉」は、記事の冒頭にでてくる「箱根七湯」の一つ、箱根湯本の温泉です。
取り扱いを始めた当時は、近隣の宿泊施設などでもいろいろな話をお聞きすることができました。
特に、箱根は「湯治」としては江戸時代から続いている場所でしたので、その中には記事にあるような武将の話もありました。

記事にある「かけ流し」というのは、温泉地にとっては、かなり大きな「問題」にもなります。
あとぴナビが運営する九州HRCは、湯量も豊富で療養を第一の目的としているため、個室、個別での入浴が基本になりますから、大浴場以外の浴槽は、部屋のお風呂も含めて全て源泉100%で入浴できます。
しかし、例えばあとぴナビが所有している「箱根の源泉」は、箱根地区全体が湯量が枯渇しないように、各井戸ごとに湯量制限を受けていますが、湯量が豊富な源泉で単純泉のように刺激が少ない源泉は、温泉大国日本でも、それほど多くはありません。
特に、観光地となっているように大人数を集客しなければならない旅館では、各部屋ごとに温泉を100%で引けるところは、かなり限られています。

いずれにしても、「温泉湯治」として行う場合には、こうした「温泉の使い方の質」というのは関わってくるのは確かでしょう。

明日は、後半部分です。

  
おまけ★★★★小田のつぶやき

箱根の源泉は、現地での入浴施設はありませんが、私がいる九州HRCでは、「吉井の源泉」に現地で入浴することができます。
この吉井の源泉も、箱根の源泉と同様に、宅配を行っていますが、やはり現地での入浴は、「とろみ感」など体感が違うように感じます。
そういった点では、温泉は「生もの」ということは言えるかもしれませんね。