遺伝的要因と環境要因

アトピー性皮膚炎は、「アレルギー体質」が深く関わっておる、と言われておる。

 

 

 

 

 

 
そして、この体質的な要因は遺伝子により決まる、とされておる。

実際、アトピー性皮膚炎の場合も、関係しているであろうと推測される遺伝子は複数報告されておるようじゃが、逆に、そういった遺伝子を持つ方が全てアトピー性皮膚炎を発症している、というわけではない。
アトピー性皮膚炎の患者を調べていくと、特定の遺伝子を持つ人が多い、というだけのことじゃ。

ある特定の遺伝子があればアトピー性皮膚炎になる、なければアトピー性皮膚炎にはならない、という遺伝子は今のところない。

おそらく、今後もこうした遺伝子が見つかる可能性は極めて低いものと思っておる。
なぜならば、アトピー性皮膚炎は、免疫機能の異常状態にしろ、皮膚機能の異常状態にしろ、後天的な要因に大きく左右されるからじゃ。

例えば、睡眠不足が長期間に継続した場合、食事で脂質の摂取に相当に偏った場合、運動を全く行わなかった場合、ストレスが常に溜まった状態が長期間続いた場合、こういった日常生活内でアトピー性皮膚炎に関わる要因はいくつも考えられるのじゃが、同時に、これらの要因は他の状態で、体に異常をもたらす可能性も多い。

アトピー性皮膚炎は、受け身的に体が反応して疾患を形成しておるわけではない。
どちらかというと、そういった体に対する負荷要因に対して、体が「作り出している」疾患じゃ。
そういった点を考えると、同じ負荷を受けた場合、「アトピー性皮膚炎を出しやすい人」「アトピー性皮膚炎を出しにくい人」という別れ方はするじゃろうし、そこには遺伝的要因は関わってくるのかもしれん。
じゃが、そういった場合であっても、そこに関わる遺伝子は単独の遺伝子ではなく、複数の遺伝子の組み合わせとなるじゃろう。

仮にA、B、Cの三つの遺伝子が関わっていると仮定して、Aという遺伝子だけを持つ人は、睡眠、食事、運動など全ての要因が絡んだ場合にアトピー性皮膚炎が発症し、A,B、Cの三つの遺伝子を持つ人は睡眠だけでアトピー性皮膚炎が出る、イメージすると、こういった感じと言えるじゃろう。

こうしたアトピー性皮膚炎に関わる遺伝子は、実は、ほとんどの人が持っておると言っても良いじゃろう。
これは、特定の遺伝子を共通して全ての人が持っておる、というのではなく、アトピー性皮膚炎に関わる多くの遺伝子のどれかを持っておる、という意味合いじゃ。

体質的な要因がアトピー性皮膚炎の発症に深く関わっておる、という仮定を立てた場合、その要因が「発動」するための「環境」は人により異なる。
おそらく、その組み合わせは、無数にあると言っても良いのではないじゃろうか?

その分、アトピー性皮膚炎を発病する要因、そして症状を悪化させる要因は複雑化し、これがアトピー性皮膚炎の原因を特定できなくしておると思うのじゃが、一つだけ言えることは、そうした要因は、基本的に「生活行動」そして「生活環境」の中に潜んでおる、ということじゃ。

アトピー性皮膚炎は、決して体質的、遺伝的な要因が決定的な要因ではない。
決定的な要因は生活の中にこそ、あると言えるじゃろう。

アトピー性皮膚炎を発病させないための生活、アトピー性皮膚炎を悪化させないためのい生活を積み重ねていくことが、最終的には、アトピー性皮膚炎という病気そのものの要因を取り除くことにつながることで、アトピー性皮膚炎は克服することができるじゃろう。

逆に言えば、アトピー性皮膚炎は「毎日の生活」の中にこそ、重要なカギが隠されておる、ということじゃろうの。

  
おまけ★★★★大田のつぶやき

アトピー性皮膚炎の関わり方に近いイメージでいうと、花粉症が該当するように思います。
去年まではなんともなかったのに、今年になって急に花粉症になった、こういったケースの中で、花粉の飛散量の過多よりも、昨年までの生活の状況に思い当たることが多いケースを良くみます。
去年は受験で睡眠不足が続いた、家族の介護で疲れがたまっていた、通っていたスポーツクラブを止めた、など体に対する負荷が「継続」したケースを良く見かけます。
花粉症の場合も、アトピー性皮膚炎と同様に、一つの遺伝子で決定されているのではなく、さらに、ほとんどの人が該当する遺伝子を持っている、と考えてよいのではないでしょうか?
先天性の疾患を除けば、その発病要因の多くは、「生活環境」にある、ということでしょう。