アトピーの完治とは何か?(3)

今日も昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

昨日は、一般的な患者が考えるアレルギーなど内的な疾患に対する「完治」という言葉が指し示すものは、「病気」に対してではなく「症状」に対してであることを述べた。
そこで、「症状」ではなく「病気」に対して「完治」を考えた場合、この「完治」という言葉が実は実態にあっていない、という要因がある。

なぜならば、アトピー性皮膚炎は「再発をしない」疾患ではないからじゃ。
風邪など外的な要因を元とする疾患の場合、生活の不規則性などに一切関わらず、その原因となるものを完全に排除できれば、「その疾患」に罹ることはあり得ない。
風邪もウィルスを完全に排除した生活ができれば風邪にかかりようがないわけじゃしの。

ところが、内的な要因を元とする疾患の場合、そういった内的な要因は自分の体が「生きていく中で」作ってしまう要因とも言える。
睡眠不足、運動不足、食事の過不足、ストレスを受ける、そういったことは本人の行動次第により、生活の中で蓄積されている要因といってよいじゃろう。

したがって、仮にアトピー性皮膚炎を病気としても完全に治癒させた状態、つまり角質層の水分がしっかり保持され乾燥状態が見られない状態、さらに免疫機能の異常状態もなくなりIgEの異常な増強もなくなった状態、を作れたとしても、それらの異常状態を「新たに作り出す」ことは、同じように生活の中に要因があると言えるじゃろう。

そして、こうした「再発」しない状態を維持させることは、厳密に言うならば、「アトピー性皮膚炎を新たに作り出さない状態」でもあり、「一定の制約」を受けることが多くなる。

早く寝るために残業ができない、毎日運動するための時間を作らなければならない、食事を手作りにするための時間を作らなければならない、このように「時間をどのように作るのか」ということが最大の障壁となる。
もちろん、アトピー性皮膚炎の原因は、こうしたことのみにあるわけではないのじゃが、こうしたことが要因となっているケースはかなり多いことも確かじゃ。

アトピー性皮膚炎の「症状」を再発させない生活を送ること、これはある程度、コントロールすることは可能じゃ。なぜなら体にとって機能の「プラス」を生む生活をめざせば良いからじゃ。
散歩を心がける、早く寝ることを心がける、といった具合に、今の体の機能に上積みがある生活を考えれば良いからの。

これに対してアトピー性皮膚炎という「疾患」を再発させない生活を送るためには「マイナス」の生活を排除しなければならんため、大変になる。
なぜなら本人にとって生活をするために必要な理由で「犠牲にする生活面」も、体にとっては、「健康」という観点からみれば、何の譲歩も行ってくれんからの。
睡眠が減れば、減った時間に合わせて体の機能も変化するし、運動を行わなければ、代謝も減る。

そこで、実現できる完治の状態、ということを考えると、まず目指すことは「症状が出ない」状態が維持できる、「症状の完治」、「症状の再発を防ぐ」といったことになってくるわけじゃ。
つまり、体には「アトピー性皮膚炎」という疾患そのものは、その強さの強弱は別にしても残っていても、症状が出ない状態を維持できれば良い、とする考え方じゃ。

これが病気の「寛解」という状態にあたるものじゃ。

そして最後に、Dさんの質問に対する答えじゃが、

アトピー性皮膚炎は完治する疾患じゃが、その「完治」とは病気に対してを指すものではなく、「症状」を指すものであること、そして、アトピー性皮膚炎という「病気」の原因の一つに「体の歪み」があったとしても、体の歪みだけがアトピー性皮膚炎の原因ではないので、他の原因を元とするアトピー性皮膚炎が新たに「発症」することを体の歪みを治すだけで防ぐことはできない、ということじゃな。

Dさんのアトピー性皮膚炎がいち早く良くなることを祈っておる。

  
おまけ★★★★南のつぶやき

医師が目指す「完治」の状態とは、博士が言うようにアレルギーに対して見れば、患者がイメージする「治った」=「再発しない」ものではなく、一時的に症状が抑えられた状態=寛解状態、と言えます。
本来なら、この違いを医師が患者に説明することで、患者側が受けている治療に対するベネフィットとリスクを把握しやすくなるのですが、今の治療の現場においては、症状の完治状態を病気の完治状態と患者側に認識させてしまっていることも、実態上は多いようですね。