掻くことの皮膚へのダメージとその軽減

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 
さて、乾燥時期、アトピー性皮膚炎の方にとって、アレルゲンが関与する免疫上の痒みの他に、皮膚の乾燥からくる痒みが加わってくることがあります。
アトピー性皮膚炎患者の方は、よく分かっていることですが、痒みとはヒトが知覚する感覚の中で我慢しづらい感覚の一つです。
そのため、周りからは逆に理解されにくく(我慢ができないことを)、その分、辛い思いをされておられる方も多いでしょう。

この「掻く」という行為は、皮膚にとっては、角質層にダメージを与え、バリア機能、保湿機能を(一時的に)失うことにつながり、その後の乾燥状態を悪化させたり、外部からのアレルゲンの影響を余計に受けやすくなる、という悪循環を生むことになります。

病院で行うステロイド剤など、薬剤の治療においては、最大のメリットを考えるならば、やはり「痒みを抑える」ことで、皮膚へのダメージを少なくして、この悪循環の輪を断ち切る、ということにあるでしょう。
もちろん、長期連用におけるIgEの増加など悪化要因となるリスクはありますが、この「皮膚へのダメージを少なくする」という点だけを考えるならば、速効性の面を含めてみても、薬剤の治療は「有用」であることは確かです。

そこで、普段の「お肌のケア」で考えて欲しいのは、ステロイド剤やプロトピック軟膏など薬物以外の方法による「物理的に痒みを軽減できるケア」という部分です。
有効性は、その方の肌状態にも左右されますから、薬剤ほどの汎用性はありませんが、チュビファーストのような包帯による皮膚の防護は、特に感染症などを併発しているときには有用でしょう。
また、「適切なスキンケア」も、肌のバリア機能を高める、角質層の水分保持機能を高める、という点で考えれば、間接的に痒みを軽減できるケアと言えます。

生活面で考えると、睡眠不足は皮膚とってマイナスの要因ですし、汗をかくことは、かいた汗によるかぶれなどマイナスの面はありますが、同時に、皮脂の増加=バリア機能の上昇、という点ではプラスの要因もあります。
食事の内容も、「痒み」という点に関わる部分は多くあります。

こうして考えると、毎日の生活の「中身」で、痒み対する「ケア」をなにかしら工夫することができるのではないでしょうか?

薬剤のような速効性は期待できないかもしれませんが、毎日の中でこうした「自分にあったケア」をしっかり構築できれば、それは、薬剤が抱える副作用の問題もなく、またその後の「再発」に対する「予防」効果も高いと言えるでしょう。

自分にあった「ケア」、そして自分の「今の肌状態に必要なケア」をしっかり考えてみるようにしましょう。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

「掻く」という行為について、一つ注意して欲しいのが「掻く」代わりに「叩く」という行為じゃ。
掻くと皮膚にダメージを負うから、ということで痒みがあるときに肌を叩く人がおるが、叩くと毛細血管がつぶれるので、叩いている間は痛みもあって一時的に痒みを「感じにくく」できるが、その後、血液が修復のために集まることで、余計に痒みが増しやすくなる。
また、顔を叩くと、網膜はく離などの眼障害も心配じゃ。
絶対に、痒みの対処として「叩く」という行為は行わないようにして欲しいの。