アレルギーの炎症調節分子の発見

東です。

 

 

 

 

 

 

  
アレルギーの研究は、日々、行われており、その結果についても、ときどきニュースとして報道されています。
今回は、先日のニュースにあったアレルギーの炎症調節分子の発見に関する記事について紹介したいと思います。

 
●アレルギー疾患などの炎症調節分子を発見- 阪大の研究グループ
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/38571.html
 
アレルギー疾患などの炎症の強さを調節する分子を、阪大免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所の王静研究員と荒瀬尚教授らの研究グループが発見した。炎症の際に、「PILRα」と呼ばれる膜タンパク分子が、過剰な炎症の抑制にかかわっていることが判明したことから、アレルギー疾患など炎症性疾患の病因解明と治療薬開発に期待ができるという。

炎症は、感染などが起こった際、好中球などの白血球が集まり、病原体を排除しようとする生体応答。しかし、過剰な炎症によって、臓器障害やアレルギー疾患が起きるため、炎症を抑制する分子機構の解明が求められていた。

王研究員らは、好中球の局所への浸潤を抑制する分子機構を解明するため、免疫細胞に広く発現し、免疫応答の制御や感染防御に重要な役割を果たすペア型レセプターに着目。炎症応答で中心的な役割を担っている、人やマウスの好中球の細胞表面の分子を調べたところ、ペア型レセプターの一つで、抑制化の働きを持つPILRαが発現していることを突き止めた。

PILRαが同じ好中球上に発現している分子と結合することで、抑制化シグナルを好中球に伝達していることが解明され、このシグナルにより細胞表面タンパク質のインテグリンを介して好中球の浸潤を抑制することで、過度な炎症が起こらないように調節していることも明らかになった。

過度な炎症が自己免疫疾患やアレルギー疾患の一因となっていることから、研究グループは、「PILRαの機能を活性化する薬剤などの開発によって、過剰な炎症を抑えることができるようになる。逆に、PILRαの機能を阻害する薬剤などを開発することで、効果的な免疫応答を誘導でき、ワクチン開発などにも役立つと思われる」としている。

 

基本的に、炎症反応そのものは、免疫機能が持つ「自己防衛」の手段といえます。
もちろん、アレルギーの場合、その方向性が誤っている、ということはあるかもしれませんが、炎症を調節する因子の機能を増大させることは、ウィルスや細菌など外敵に対する炎症反応をも抑制する恐れがあり、従来の免疫抑制剤が持つ副作用(アトピー性皮膚炎の場合であれば、感染症の増強など)の問題点はつきまとうように感じます。
とはいえ、こういった免疫機能の仕組みが分かることは、長い目で見れば、次の新たな研究の礎にはなると思いますし、また今回の研究そのものが、何らかのプラスの要因を生み出してくれることも否定はできません。

今後の研究に期待したいところですね。

  
おまけ★★★★博士のつぶやき

こういった研究報告を見る限り、いつも思うのじゃが、どうも「結果」に対する研究が多いように感じるの。
例えば、アレルギー反応は「元の原因」があって、その結果、炎症反応→痒み、という症状を自覚するわけじゃ。
結果である「炎症反応→痒み」を抑制したとしても、元の原因が解消されない限り、その結果である「炎症反応→痒み」もいつまでも作られることになるわけじゃ。
原因の解消ができる研究も望みたいところじゃな。