保湿はした方が良い?しない方が良い?(2)

こんにちは。南です。

 

 

 

 

 

 

 

 
今日は、昨日の続きを書きたいと思います。
脱保湿の考え方については昨日、述べた通りですが、皮膚の機能で考えた場合、「脱保湿」という方法は、大きな課題を抱えています。
その一つが「痒みの神経線維の問題」です。

アトピー性皮膚炎の原因は大きく分けると二つが考えられています。
一つが、アレルゲンが関わることで生じるアレルギー的な要因からくる痒み、「免疫機能の異常状態」による痒みです。
もう一つが、角質層が乾燥状態に陥ることで、通常は真皮内にとどまっている痒みを知覚する神経線維が角質層内に侵入することで、外部からの刺激を直接痒みとして認識してしまう「皮膚機能の異常状態」です。これは、アトピー性皮膚炎以外でも、一般的に「乾燥による痒み」が該当します。

この角質層の乾燥による痒みの主たる要因と言える、角質層に伸びた「痒みを神経線維」は、角質層の水分が保持される状態、つまりお肌の乾燥状態が改善されれば、真皮内まで戻っていくことが分かっています。
しかし、脱保湿=ステロイド剤やプロトピック軟膏も使わない、ということを意味しています。
なぜなら、ステロイド剤やプロトピック軟膏の基材として用いられているのはワセリンやクリームであり、そのものがスキンケアアイテムということでもあるからです。
脱保湿が行われる場合の多くは、「脱ステロイド」の一貫の中が多く、痒みが強い、掻き壊しによりバリア機能が低下している、肌が乾燥している、という状態からスタートするケースが多くなります。
当然、肌が乾燥しているわけですから、痒みを知覚する神経線維は角質層内まで侵入しており、「乾燥による痒み」も現れているケースがほとんどです。

痒みがある→皮膚を掻き壊す→バリア機能が低下する→外部から免疫反応を示す異物(アレルゲン)の侵入を許しやすくなる→免疫反応が生じて炎症が現れる→炎症から痒みが生じる(最初に戻る)・・・・という悪循環が、リバウンド状態では生じていることが多くあります。
皮膚を掻き壊す=バリア機能が低下する、という状態そのものが、角質層内で水分保持が難しい状況を招いているため、特に大気が乾燥するこれからの季節においては、その状態から「皮膚の乾燥」が強まりやすくなります。

皮膚が乾燥する→痒みを知覚する神経線維が角質層内に侵入する→外部の刺激を直接、痒みとして知覚しやすくなる→痒みが生じることで皮膚を掻き壊す→バリア機能が低下する→皮膚が乾燥する(最初に戻る)・・・という「乾燥」を元にした痒みの悪化要因が加わると、悪循環の輪がより「太い」ものになりやすくなります。

この悪循環を打ち切るためには、「肌が乾燥しなくなる」という状況が必要なのですが、脱保湿の場合、「自分の体で保湿を行える状態になる」まで、「耐える」ことが必要になってきます。
しかし、自分の体で保湿を行うためには、まず「皮脂膜」を作り出せる状況になることが必要になります。
そして、皮脂膜を作り出すためには、「汗をかく」ということが必要になります。
ところが、アトピー性皮膚炎の方の多くは、「汗がかけない」状態にあります。
リバウンド状態などで、睡眠不足に陥りやすくなって、自律神経の乱れが生じていると体温調節がうまくいかず、汗がかきにくい状況になりますし、またお肌を掻き壊しているダメージそのものが汗腺の機能を阻害していることも原因として考えられます。

つまり「汗をかける状態」になるためには、「痒みが少なくなる」「お肌の乾燥が和らぐ」という条件が必要なことが多いのですが、痒みと乾燥の緩和のためには皮脂膜が必要であることを考えると、ここに大きな矛盾が生じていることが分かるでしょう。

このように、脱保湿を行うためには、「汗をかける状態にあること」という前提が必要になってきます。
汗をかけない状態の方は、汗をかくために皮膚のダメージを減らし、痒みが少なくなることが必要ですから、その状態で脱保湿が成功するためには、多くの偶発的な要因が必要です。

脱保湿は、以前は医師も良く行っていた治療法なのですが、事実上、あまり行われなくなった要因として、「どのようなアトピー性皮膚炎でも有効」という考え方があったため、挫折する患者が増加したことが挙げられます。
「脱保湿」は昨日、述べたように、決して誤っている考え方ではありません。
でも、脱保湿は全てのアトピー性皮膚炎の方にとって「事実上」有効な方法ではない、ということです。

「汗がかけない」「お肌の乾燥が強い」「痒みが強い」という状態にあるのであれば、まずスキンケアをしっかり行って、乾燥から生じる痒みだけでも減らすことが大切でしょう。
諸々の条件が整って、脱保湿にチャレンジするのはもちろん良いと思います。
でも、やみくもに「脱保湿」ということで行うと、失敗するケースもあることを考えておくようにしましょう。

  
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎の治療は、治療を開始してから終わるまで、常に同じ方法でなければならん、ということはない。
なぜなら、皮膚の状態、体の機能の状態は、行われる行動によって常に変化しておるからじゃ。
脱保湿も、絶対に良い、絶対に悪い、と丸かバツか、という選択で決めるのではなく、脱保湿が有効な状態なのかを見極めて考えることが大切じゃろうの。