今日は昨日の続きじゃ。
ダニとアレルギーの関係を考えた場合、悪いのは「ダニ」よりも、そういったアレルギー反応を示す「身体」の方にあることは昨日、述べた通りじゃ。
(とはいえ、同じく昨日書いたように、「健康」といった点から見れば、アレルギー反応を示している人の方が「健康」な場合もある、ことを忘れないようにして欲しいと思うの)
では、ここでダニに反応しないようにするためには、どのような考え方が大切なのじゃろうか?
テレビでダニを取り上げる際には、そのほとんどが「掃除」や「ダニ対策グッズ」などで、ダニの方を駆逐することを優先することが多い。
じゃがこれは、花粉症の人が外出時にマスクをするのと同じ、物理的な対策に過ぎん。
花粉症と違うのは、ダニは通年、家の中におり、たまたま秋はアレルゲンと認識されやすい死骸や糞が多い、ということに過ぎん、ということじゃ。
また、仮に家の中だけを何らかの方法で無菌状態にしても、学校や職場、通勤の電車やバス、立ち寄った店舗など、ダニはさまざまなところに存在しており、そもそも生活環境から事実上、完全に取り除くことは不可能と言えるじゃろう。
そして、ここでもう一つ考えたいのは、ダニはアトピー性皮膚炎や喘息の「発症要因」であったとしても「発病要因」ではない、ということじゃ。
これは、同じ環境下に暮らしていても、症状が現れる人と現れない人がおるように、ダニは特定の条件下にある人にのみ、その影響をもたらす、ということじゃな。
分かりやすい例で言うと、スポーツで膝を悪くした人がいるとしよう。
その人は、強いスポーツは無理にしろ、普段の生活に支障はないが、低気圧がくると膝が痛むような状況にあったとする。
ここで「低気圧」の存在じゃが、低気圧が「膝を悪く」しているのではない。
あくまで「最初から悪い膝」が痛む「原因」になっているだけ、ということじゃ。
ダニでアレルギーが現れる人は「喘息」や「アトピー性皮膚炎」という疾患そのものは既に発病しておったが、症状がたまたま現れておらんかった、というだけに過ぎない、ということじゃな。
まとめると、ダニによりアトピー性皮膚炎や喘息が見られる人の場合、ダニは痒みや咳など「症状」を現わす、あるいは元々現れていた症状を悪化させる要因であったとしても、アトピー性皮膚炎や喘息を、体にもたらした「病気の原因ではない」ということじゃな。
つまり、こういったダニのアレルギーに関するテレビを見ておると、ダニをいなくすることが大切、と考えがちじゃが、根本的な病気そのものを解決するためには「ダニをなくする」だけでは足りない、ということじゃ。
もちろん、症状がなくなる=病気が治る、と考えてしまうことは必ずしも誤りとも言えんから、ダニをなくすることに意味は十分にあるじゃろう。
じゃが、ダニをなくして症状が出ない状況が、引き起こしていたアレルギー疾患そのものの解決に至った、と考えることは落とし穴があることも確かじゃ。
その原因は、身体の免疫機能の異常状況の結果、現れておるわけであって、反応する「物質」がダニの死骸や糞だけ、とは限らん。
いつでも身体が「反応できるアレルゲン」に出合えば、症状が現れることになる。
先週も少し書いたが「病気を治す」ことと「症状を治す」ことは必ずしも一致しておるわけではないし、「病気を治したい」のであれば「病気を治す」ための方策を探る必要がある、ということじゃな。
ああいったダニ対策の報道を見て、ダニを除去することで「何ができるのか」、そして「何が出来ていないのか」は正しく把握しておくようにしたいものじゃの。
おまけ★★★★大田のつぶやき
アレルギーの症状が現れている状況を考えた場合、本人にとって最も辛いのは、その症状が現れていることに違いはありません。
したがって、「症状が出ない」治療を行うことは十分に意味がありますし、行うべきでもあるでしょう(但し、症状の治療にリスクがある場合は、リスクとベネフィットを考えることも大切)
ただ、症状が出ない治療のみを行って、病気を治す治療を行わなければ、いつでも身体は条件が整えば症状を常に「再発できる」状況にあることも確かですから、病気そのものを治すためには、症状の治療以外に病気の治療も必要であることは承知しておいて欲しいと思います。