症状の治療、病気の治療

大田です。

 

 

 

 

 

 

 
これまで、ブログで何度か、「症状」と「病気」の違いについて取り上げてきました。
しかし、実際のアトピー性皮膚炎の治療の現場において、患者自身が「症状の治療と「病気の治療」を混同して捉えているケースは多々見受けます。

一般的に、アトピー性皮膚炎という病気は、「皮膚が痒い病気」と考えられがちです。もちろんその認識で誤ってはいませんが、正確に表現するのであれば「皮膚が痒い症状を伴う病気」と考えるべきでしょう。

例えば、風邪でくしゃみや鼻水が出た場合、風邪という病気は確かに、「くしゃみや鼻水がでる病気」かもしれません。
そのため、本人が自覚している辛い症状、「くしゃみや鼻水」が「なくなる」ことが「風邪が治る」ことと同意義と考えがちになります。
しかし、風邪という疾患は、あくまで風邪のウィルスや細菌に感染したことが、病気の「本体」であり、感染したことにより体が防衛反応として現わしている症状が「くしゃみや鼻水」です。
つまり、いくら「くしゃみや鼻水」を抗ヒスタミン剤などで抑えても、抗ヒスタミン剤が風邪のウィルスや細菌を死滅させてはくれませんから、体の免疫力が「正しく」働かなければ、くしゃみや鼻水が出ない状態であったとしても、「風邪が治らない」状態が続くことになります。

アトピー性皮膚炎も同様と言えます。
「痒み」とは、アレルギー反応による炎症や皮膚の乾燥からくる痒みの神経線維に対する刺激などから生じた「症状」であり、アトピー性皮膚炎という病気の「本体」ではありません。
ステロイド剤で痒みが抑えられた=アトピー性皮膚炎が治った、と患者は考えがちですが、実は、そういったケースにおいては、ステロイド剤で痒みの反応を抑えている間に、自分の体が免疫機能を正常化に戻したり、角質層の乾燥状態が緩和して角質層内に侵入していた痒みを知覚する神経線維が真皮まで戻すことができただけです。
少し表現がが悪いかもしれませんが、そこに(免疫機能や皮膚機能の異常状態の改善に)何のアプローチも行っていなかったのであれば、それは「偶然」に過ぎない、といえるでしょう。
もちろん、ステロイド剤そのものがワセリンやクリームを基材に作られている関係で、多少の保湿効果があるため、皮膚の乾燥状態に対しては効果的に働いているケースはあるでしょうが、それは化粧品としてのスキンケアアイテムも同様です。
もっとも、多くのアトピー性皮膚炎患者、特に「初発」の場合、本来、そういった異常状態は軽微であることが多く、自然解消できる場合がほとんどであることは確かです。
しかし、長年、アトピー性皮膚炎で悩んでいる方の場合、これまで「自然解消」ができなかったから症状が続いてきた、ということでもあるため、症状に対するアプローチ(治療)が、病気そのものの治療につながることは難しい、という部分もあります。

いずれにしても、自分が行っているアトピー性皮膚炎の「治療」が、「病気」に対してのものなのか、「症状」に対してのものなのかを正しく把握することは、その治療がステロイド剤のようなデメリットを抱えている場合、長期連用しないように注意するためにも、大切であると言えるでしょう。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

基本的に、病気とは自分の身体で治すしかない。
ウィルスなど外敵の疾患に対する免疫力だったり、怪我をした際の再生力だったりするわけじゃが、自分ではない外部の力のみで治癒する疾患は少ないと言えるじゃろう。
手術なども、手術そのものは体にとって「怪我」を与えている状況であり、再生力や雑菌に対応する免疫力が失われている状況では、術後の予後が悪くなることになる。
そういった点において、自分のそういった「治そうとする力」、自然治癒力が最大限に働くための生活環境を構築することは、とても大切なことと言えるじゃろうの。