インフルエンザと予防接種の有効性

月一ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

 

 
昨日は、東君がRSウィルスの流行について、ブログを書いていたが、アトピー性皮膚炎患者の相談でよくあるのが、「予防接種は行った方がよいのか?」という内容だ。

アトピー性皮膚炎患者の場合、皮膚に症状が出ていると、皮下注射による予防接種が受けられないこともある。
また、ワクチンの予防接種では、確率的にはかなり低いとはいえ、副反応と呼ばれる副作用の問題も生じる。
実際、先日、岐阜県で日本脳炎の予防接種を受けた男児が死亡、厚生労働省が調査を始める状況になった。

 
●予防接種「死亡例」も 厚労省が事実確認 小学5年男児死亡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121018-00000553-san-soci

岐阜県美濃市のクリニックで17日、日本脳炎の予防接種を受けた小学5年の男児(10)が死亡した問題で、厚生労働省は18日、予防接種との関連も含め事実関係の確認を始めた。
 
厚労省結核感染症課によると、日本脳炎の予防接種は通常、3歳時に2回、4歳時に1回、9歳時に1回の計4回が推奨されている。ごくまれに接種後に強いアレルギーが起きることがあるほか、ADEM(急性散在性脳脊髄炎)という脳神経系の病気との因果関係が疑われたことから、平成17年6月~21年3月末には積極的に接種しないよう呼びかけられていた。現在は別のワクチンが普及しており、23年度には年間約500万件の接種が行われた。
 
一方、予防接種後に脳炎やけいれんを起こして死亡する例は、9、10年にそれぞれ1例、12年に2例が報告されている。

 
死亡に至らなくとも、こういった副反応の報告はあり、何らかの障害が残るケースもある。
もちろん、日本脳炎の予防接種を受ける人数から考えると、2009年以降の4年間で4例と、相当に低い確率ではあろう。
また、予防接種を受けないことでその疾患に罹患した場合の予後と比較して、予防接種が必要な場合もある。

とはいえ、予防接種を受けた場合と受けない場合で、罹患率などに大きな変化が見られない、ということならば、摂取を受けることで生じるリスクを考えると、慎重な対応が必要な場合もある。
その代表的な例がインフルエンザだろう。

1979年の初冬、群馬県前橋市の医師会がインフルエンザの予防接種を中止、その後、5年間にわたって追跡調査を行ったところ、予防接種を行わなかったにも関わらず、周辺の自治体と比較して、インフルエンザの流行状況に大きな差異がなかった、という報告がある。
いわゆる「前橋レポート」である。
この報告をきっかけに、1994年にはインフルエンザの集団予防接種は任意摂取に切り替わったという経緯がある。

前橋レポートについて詳しくは、ネットで検索すると出てくるので興味のある方は調べていただければと思うが、興味深いのは、予防接種を受けずに自然感染した場合、免疫がつくが、その免疫が年数を経るごとに自然減衰するものの驚くほど良く保持されていたそうだ。
ワクチンによる「疑似感染」による免疫力と、「自然感染」による免疫力には差が生じる、ということであろう。

もちろん、インフルエンザのワクチンによる予防接種が全く無意味、ということはないのだが、予防接種を受けた際のメリット、デメリット、自然感染した際のメリット、デメリットは、いずれも存在するわけであり、そのメリット、デメリットの「内容」がどれくらい重要なのかは、考えた方が良いかもしれない。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

インフルエンザの予防接種で考えると、「万一」ということを考えた場合、「万一、インフルエンザに自然感染した場合」「万一、予防接種を受けて副作用が出た場合」ということが問題になるじゃろう。
そこには年齢、体調、生活環境など、さまざな要因が関わってくる。
抵抗力が弱い状況にあるお年寄りの場合、自然感染のリスクが高いと考えれば、予防接種は「有用」と判断されることもあるじゃろうし、抵抗力が強い状況の若い成人の場合、予防接種による「万一」のリスクを心配することも、どちらも「正論」といえると思う。
一般の患者がその判断を行うことは、かなり難しい状況にあるかもしれんが、後で「後悔」せぬよう情報は得ておくようにしたいものじゃの。