【Q&A】リバウンドの症状について(2)

今日は、昨日の続きで、ステロイド剤の治療を続けながら症状が悪化した場合、それは「アトピー性皮膚炎の悪化」なのかどうかについて考えてみたい。

 

 

 

 

 

 

ステロイド剤によるアトピー性皮膚炎への効果(ベネフィット)は、簡単に言えば、免疫を抑制することで炎症を抑え、炎症による生じる痒みを元から抑えてしまう、というところにある。
いわゆる「免疫抑制」による効果じゃの。

ところが、この「免疫抑制」効果は、アトピー性皮膚炎に関わる免疫だけではなく、皮膚表面そのものの免疫活動に対しても、抑制の効果を現わすことになる。
そこで生じる「マイナス点」が、感染症にかかりやすくなる、という状況じゃ。
アトピー患者を調査したところ95%の人は何らかの感染症に罹っていた、というエビデンスがあるのじゃが、これも、掻き壊しによるバリア機能の低下から感染症に罹りやすくなった、というだけではなく、ステロイド剤により免疫を抑制したことで感染症を誘発しやすくなっていた、ということが考えられる。

皮膚には、外部からの異物に対して「免疫の働き」を行わせた方が良いかどうかを判断する仕組みがある。
その調整を「ランゲルハンス細胞」が行っておるのじゃが、ステロイド剤は、この免疫の仕組みの最初の出発点である「判断」を行う細胞そのものを、アトポーシスにより死滅させてしまうことが、最近の論文で発表され、分かったのじゃ。

つまり、掻き壊しがあってバリア機能が低下しておっても、免疫システムが正常ならば、ある程度の細菌やウィルスなどの外敵には対抗できる仕組みを、ヒトは持っておるはずじゃが、ステロイド剤を連用しておることで、この外部からの異物(細菌やウィルス)に対する免疫活動を行う判断を失ってしまうことで、感染症が広がりやすくなっておる、ということじゃな。

よく医師は、内服した場合や点滴した場合にはステロイド剤による内分泌の働きを低下させてしまうことはあっても(ネガティブフィードバック)、塗り薬としてのステロイド剤では、最強ランクのステロイド剤を大量に使用しない限り、そういった内分泌機能の低下は起きないから、ステロイド剤による副作用とは皮膚表面に対して生じるものがほとんどで(皮膚を薄くする、など)、体全体への影響は考えられない、したがって、ステロイド剤の塗り薬を中断したことによるリバウンドとは、単にアトピー性皮膚炎が悪化した状態である、という説明を行うことがある。

確かに、軟膏として使用したステロイド剤が内分泌に影響を与える度合いは、さほど強くないかもしれん。
じゃが、ステロイド剤中断によるリバウンド症状は、実は内分泌機能(ホルモン産生機能)を低下させることで生じるものよりも、こういった免疫を抑制する作用の結果、生じるものが多い、となると話は別となるじゃろう。

ステロイド剤の中断による、皮膚の黒ずむ、そして体液の流出の一部については、わずかな内分泌機能の乱れが関わっておる可能性があるが、基本的な全身症状の悪化については、炎症反応が増大した結果、生じておるものじゃ。
そして、その「炎症反応」そのものが、アトピー性皮膚炎からくるものと、感染症から生じておる炎症反応が混在しておることが、リバウンド症状の大きな障害の一つである可能性が高い、ということじゃな。

酸性水やイソジン消毒など、「殺菌」を目的とした治療法が、アトピー性皮膚炎の症状そのものを軽快させることがあるのは、実は、アトピー性皮膚炎の症状と思われていた症状そのものが感染症により生じていた、というパターンの場合なのじゃ。
したがって、一定期間、そういった殺菌の治療を行うと、その治療そのものが効果が薄れてくることがあるのじゃが、それは、殺菌できる対象とは違う菌やウィルスが新たに繁殖した場合、あるいは本来のアトピー性皮膚炎の炎症が広がった場合、などのケースじゃ。

したがって、ここで気を付けた方が良いのは、こういった「皮膚表面に現れた症状」を「特定の原因」のみが関わっておる、という判断に偏らないことじゃ。
感染症の判断に偏れば、感染症の治療で「対応できない原因」には効果がないことになるし、アトピー性皮膚炎の悪化、という判断に偏れば、感染症には対応できん。
つまり、多岐にわたる原因の中で、「今の自分に起きている状況」をできるだけ正しく判定し、その原因に最も有効な「対処」を行うようにすることが大切、ということじゃな。

このように、リバウンド症状とは、

1.アトピー性皮膚炎が悪化した状態
2.感染症が悪化した状態
3.体内の機能(自律神経や内分泌機能)の一部が低下した状態

の3つが混在して生じておる、ということじゃが、では、どのように対応すればよいのじゃろうか?
明日は、今回ご質問いただいた中野さんの例を元に、対応方法を説明したいと思う。

 
おまけ★★★★東のつぶやき

今日、博士が書いていた「ランゲルハンス細胞」とステロイド剤の関係の医学論文は、次号(9/10号)のあとぴナビで紹介する予定です。
あとぴナビ情報Webでも、9月中に掲載しますので、興味のある方は、ぜひご覧ください。