アトピー克服のカギ(ステロイド剤・1)

今日は、先週の続きで、現在行われているアトピー性皮膚炎の「治療」について考えていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず最初は、アトピー性皮膚炎に対して病院が行う最も普遍的な治療と言える、ステロイド剤の治療についてじゃ。
はじめに、ステロイド剤とはどのような薬剤なのかについて簡単に説明したい。

ステロイド剤は、ヒトの副腎(腎臓の上にある臓器)で産生されている「副腎皮質ホルモン」の一つを合成した薬剤じゃ。

本来、副腎皮質で作られるホルモンは、「糖質代謝ホルモン」「塩類代謝ホルモン」「性ホルモン」の3つがある。
アトピー性皮膚炎に使用されるステロイド剤は、この中の「糖質代謝ホルモン」を化学合成して作られておる。

糖質代謝ホルモンには、主な生理作用として「糖質代謝」「抗ストレス」があり、薬理作用として「抗炎症作用」がある。
この薬理作用の「抗炎症作用」を期待して使われておる、というわけじゃな。

アトピー性皮膚炎で最も「不快な症状」といえば「痒み」じゃ。
この「痒み」とは、皮膚下に生じた炎症により、各種の化学伝達物質などを通じて「痒み」として知覚されておる。
アトピー性皮膚炎の方は、ステロイド剤を「痒み止め」という認識で使用しておるようじゃが、実は、「炎症止め」というのが正しい。

ステロイド剤には、「強さのランク」に応じて5段階に分かれておる。
この強さのランクとは、「副腎皮質ホルモン」の含有されておる「量」ではなく、皮膚から吸収がされやすいかどうか、によって変わってくるのじゃ。
実際、強いランクのステロイド剤は、含有する副腎皮質ホルモンの量はわずかじゃが、吸収力が良いため、ランクが上がることになる。
ここで一つ気をつけなければならないのは、体の部位によっても、吸収力には差がある、ということじゃ。
例えば、顔に塗るのと胴体部に塗るのでは、同じランクのステロイド剤を使用したとしても、その影響は(良い影響も、悪い影響も)差が現れる可能性がある、ということじゃな。

ステロイド剤が持つ「抗炎症効果」は、速効性も高く、炎症を抑える=痒みを抑える、という点を見れば、効果が高く優秀な薬剤と言えるじゃろう。
効果が高い理由としては、本来、副腎皮質ホルモン自体は、1億~10億分の1gで効果を有するとされており、例えば一般的な5g入りの軟膏の場合、1%配合で0.05g、0.1%配合でも0.005gとなり、医師が推奨する指の第一関節部分までの長さをしっかり塗る量を考えると、本来効果を有する量の数千~数万倍の量を使用するのじゃから、当然と言えば当然かもしれん。

このように、「炎症から生じる痒み」を抑えることができるステロイド剤じゃが、アトピー性皮膚炎の人が実際に「治療」で使用していく場合に、いくつかの問題点が生じることになる。

明日は、ステロイド剤の問題点について、取り上げていきたい。

  
おまけ★★★★中田のつぶやき

ステロイド剤は、副腎皮質ホルモンの中の「糖質代謝ホルモン」を合成した薬剤ですが、同じ抗炎症を持つ「塩類代謝ホルモン」と同じ作用を体内で行うのが「グリチルリチン酸(甘草)」です。
グリチルリチン酸はステロイド剤(糖質代謝ホルモン)ほどの抗炎症効果は有していませんので、「効果が弱い」=「副作用(マイナスの効果)も弱い」ということではありますが、化粧品で使用している場合、特に、肌に傷があり、吸収しやすい状況の人は(グリチルリチン酸は高分子のため健常な皮膚では吸収されづらい)、長期連用による影響(中断時のリバウンド症状など)が報告されていますから、注意が必要でしょう。