アトピー慢性化の原因の研究

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
先日、テレビでも大きく取り上げられていましたので、ご覧になった方も多いと思いますが、佐賀大学の出原教授らの研究チームが、アトピー性皮膚炎の慢性化の仕組み関与するたんぱく質についての研究を発表していました。

 
●アトピー慢性化の仕組み解明=たんぱく質沈着が原因―佐賀大など
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120612-00000005-jij-soci

アトピー性皮膚炎がダニなどの原因物質を身の回りから取り除いた後もすぐに治らず、慢性化する仕組みを出原賢治佐賀大教授らの研究チームが解明し、米医学誌に11日発表した。
研究チームは、患者の皮膚を分析。アレルギーの原因物質が体内に侵入すると、免疫細胞が働いてかゆみが生じると同時に、たんぱく質「ペリオスチン」が大量に生成されることを突き止めた。
ペリオスチンが皮膚組織に沈着すると、免疫細胞がさらに刺激され、かゆみが生まれる悪循環が起きることも分かった。原因物質を取り除いてもペリオスチンの沈着が続き、症状が慢性化するという。
現在の治療法はステロイドの服用などで免疫を抑制しており、感染症にかかりやすくなる副作用がある。今回の発見で、ペリオスチンを狙い撃ちする副作用の少ない薬の開発が期待できるという。 

 
記事中にあるように、「ペリオスチン」というたんぱく質が、免疫細胞を刺激することで、アレルゲンなどに関係なく痒みが生じる、ということのようですが、詳細について、あ、アメリカでの発表した内容のサマリーをある先生からいただきました。

 
●タイトル:ペリオスチンはTh2サイトカインへ反応する慢性のアレルギ―性炎症性を促進させる

雑誌;Journal of Clinical Investigation

代表研究者:出原賢治教授、佐賀医大分子生命科学講座

◆サマリー

頻回なアレルゲンの曝露によって引き起こされるアレルギ―性の炎症は、アトピー性皮膚炎や気管支喘息といった慢性の炎症性疾患につながる。このアレルギ―性の炎症が慢性化する機序はまだ不明である。ペイオスチンは最近同定されたマトリックス細胞の蛋白で、色々な細胞の表面のインテグリン分子と反応し、組織の発達や改造もシグナルを送る。ここに、私達はペリオスチンは皮膚炎症のマウスモデルを使って、アレルギ―性の炎症の持続と増幅に決定的に重要なメデイエーターであることを示す。Th2サイトカインであるIL-4,IL-13は線維芽細胞を刺激して、ペリオスチンを産生させ、産生されたぺリオスチンはケラチノサイト上の機能的受容体のαVインテグリンと反応し、炎症促進性のサイトカインを産生を誘導し、その結果Th2タイプの、免疫反応を促進する。従って、ペリオスチンやαVインテグリンの抑制はアレルゲン誘導の皮膚の炎症の発達や前進を予防する。つまり、ペイオスチンは悪循環をセットアップし、それがケラチノサイトの活性化へのTH2タイプの免疫反応とリンクし、アレルギー性の皮膚の炎症の慢性化の増幅に、決定的に重要な役割を演じる。

 
気になる点は、「ペリオスチン」は、IL-4(インターロイキン4)によって産生される、とありますが、IL-4は、ステロイド剤など免疫抑制系の薬剤の使用により増強されることが別の論文での報告があります。
これは、B細胞に存在するIgEの受容体、ガレクチンー3が増強される仕組みとも同一であり、こういったB細胞に関連するサイトカインやたんぱく質へのステロイド剤の影響なども、今後、できれば研究の対象にして欲しいところです。

今回の研究が具体的な形になるのは、まだかなり先かとは思いますが、少しずつ新たな研究がおこなわれ、糸口が見つけられることは良いことだと思いますね。

 
おまけ★★★★大田のつぶやき

今回の研究の「対象」は、あくまで免疫系の仕組み対するものです。
アトピー性皮膚炎の原因は、皮膚の機能異常(乾燥しやすい状況)により、痒みを知覚する神経線維の問題もありますから、全てのアトピー性皮膚炎に対応することは難しいのでしょうが、一部のアトピー性皮膚炎の治療に進展がみられるのであれば、喜ばしいことでしょう。
あとは、研究されている先生がおっしゃっておられたように、ペリオスチンの抑制が、体の他の機能に何らかの影響(つまり、副作用)がないのかを慎重に研究して欲しいと思います。