生活保護、医療「保護」?

月一ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 
ここしばらく、お笑い芸人の生活保護に関する話題が、マスコミでもよく出ているが、生活保護の中に占める医療費の割合から、現在の「医療制度」のあり方を考えてみたい。
厚生労働省のホームページを見ると、

●生活保護制度の現状等について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/s0420-7c.html
 

生活保護費の50%以上が、実は「医療費」で占められていたことが分かるだろう。
2010年度の医療費総額は36兆6,000億円だったが、生活保護費に占める医療費の割合は医療費全体から見ると約5%程度となる。
そして、現在、生活保護を受けている人は約200万人だが、日本の総人口から見ると約2%弱だ。
もちろん、「生活保護」を受ける理由として「働けない」=「病気がち」という面もあるため、どうしても医療費の割合が増える傾向はあるのだろう。
だが、日本の平成24年度の会計をみると、歳入は約90兆円だ。

日本の「お財布」の中の約4割が医療で占められていること、その中のさらに5%は生活保護関連費用として計上されていることになるが、ここまで国費からの負担が大きいと、医療とは民間業務ではなく行政業務にした方が、「コスト」が軽減できるように思ってしまうほどである。

生活保護者に「過剰医療」を行い、診療報酬を得ようとする医療機関の問題は、過去、何度かニュースでも取り上げられているが、今回の問題を受け、ようやく厚生労働省も見直しを検討し始めたようだ。

 
●生活保護:厚労省が見直し案…不正受給の罰則強化
http://mainichi.jp/select/news/20120605k0000m040053000c.html
 
厚生労働省は4日、生活保護制度の見直し案を盛り込んだ「生活支援戦略」の骨格を国家戦略会議に報告した。不正受給に対する罰則の強化や、親族に扶養義務を果たしてもらうための仕組み、基礎年金に比べて有利とされる保護費の見直しを検討するとしている。今月中に中間報告をまとめ、秋に最終取りまとめを行う。

過去最多を更新中の生活保護受給者数は、今年2月時点で約210万人に達する。保護費の今年度予算は国と地方合わせ3兆7000億円に上り、その半分を医療費(医療扶助)が占める。そこで見直し案では、当面の対応として、電子レセプト(診療報酬明細書)の点検を強化、多重受診や生活保護受給者の診療が突出して多い医療機関を把握し、指導に乗り出すとした。

また、金融機関の本店で全国の支店の口座状況も分かる「本店一括照会」を導入し、資産調査を強める。いずれも法改正はいらず、準備が整い次第、実施する。

 

本来、医療とは「人の生命」に直接関わる分野であり、多くの「医療を受ける側」は、医療とは「公的」な側面を強く求めている。
ところが、実際に「医療を行う側」は、現状では利益を生まなければ医療機関としての存続が危うくなるため、「企業(法人)の活動」としての側面を持たざるを得ない。
あまり知られていないが、多くの総合病院では、各科の責任者が集まって「営業会議」が毎週行われている。
保険適用が受けづらい医療をできるだけ少なくするように言われ、人件費とコストが「適切」な医療を施すように求められる。
一部の診療科を除き、多くの医療については、残念だが、そういった「利益」を追求していかないと、医療機関が存続できない状況になっているのが現状なのだ。
実際、アトピー性皮膚炎でみても、アレルギーの検査において、アレルギーの判定がより正確に行えるパッチテストは、検査時間がかかること、保険点数が低いことから敬遠されやすく、手間暇が少ない血液検査を選択する医療機関が多い。
感染症に対しても、一つの病院がアトピー性皮膚炎に対して感染症の本来の治療薬(抗生物質や抗ウィルス剤など)を出し過ぎると、レセプトを関係機関に提出した際に「受け付けてもらえない」ため、レセプトが通りやすい「ステロイド剤」の処方を求められた、という話を聞いたこともある。

以前のブログでも書いたが、投薬を受けた患者の多くは、受けた投薬を完全に使い切らないことが多い。
もちろん、使い切らなかった薬剤の何割かは、「税金」である。
生活保護を受けている人の場合は、使い切らずに処分した薬剤は全て「税金」となる。

ある意味、こういった「無駄」が、製薬業界、医療業界を支えている部分はあるのかもしれないし、製薬業界、医療業界が発展することが、経済を発展させている側面もあるかもしれない。
しかし、それを事実上支えているのは、「私たち(税金)」であることも確かだ。
「医療」を「医業」と考えているのは、医療を施す側であることを理解して、必要な医療を適切に受けることを、患者自身も考えなければならないだろう。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

医療を「医業」として捉えると、利益を生まない行為(治療)が行いづらくなるのは確かじゃし、そういった話も実際に聞く。
じゃが、人の命を守り支えているのも「医療」じゃ。
利益を生まない「医療」は残念ながら「医業」として生き残ることは難しいが、健康と命を守る「医療」は、例え「医業」がつぶれても、技術や方法として受け継がれていく。
原発問題で、電気に関わる業務は水道と同じように行政が管理すれば、余計な利潤を生む必要もなくなり良いのでは?、という意見もあるようじゃが、医療も本当に命に関わる部分については、「医療」を守るために、従来の「医業」から公的な業務として切り離して行っても良いのかもしれんの。
とはいえ、医療制度の問題は難しい問題じゃな。