痒みとは、どのような状態?(2)

今日は、昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痒みとは、ヒトが自ら作り出しておるもので、ヒト自身にとっては不快ななくしたい「状態」、つまり「症状」であることは確かじゃが、ヒトにとって、痒み自体は、自らの体を痛めつけるために無意味に作り出しておるものではない。

では、どのような「意味合い」を持っておるのじゃろうか?

まず、皮膚表面の働きでいえば、バリア機能を失った肌に異物が付着、その異物の侵入を防ぐため、「掻く」ことで、異物を排除させようという働きを持っておる。
しかし、これは肌が壊れた状態のときに起きる、いわゆる「二次的な防御反応」とも言えるじゃろう。
健常な状態の肌に、アトピー性皮膚炎が発症するきっかけは、いつの場合も肌に何らかの傷が生じ、そこに異物が付着した状態から始まるのではないからの。
どちからといえば、健常な皮膚のまま、アトピー性皮膚炎は発症し、その後、痒みにより掻き壊すことで、皮膚のバリア機能が低下するパターンの方が多いじゃろう。

では、なぜ健常な皮膚の状態で、皮膚に痒みが生じるのじゃろうか?

いくつかの説はあるのじゃが、最も有力なのは、「痒みは体の警告信号」という働きを持っておるからじゃろう。

例えば、分かりやすい例で言えば、お酒の飲み過ぎで肝臓に障害が生じた人が、肝臓に異常を抱えたまま、再度、お酒を飲むと、皮膚に蕁麻疹が現れることがある。
これは、痒みを出すことで、体に何らかの異常が生じていることを示すサイン、つまりこれ以上、お酒を飲むと肝機能がさらに低下させることを自覚させるために体が警告している「防衛反応」とも言えるじゃろう。

アトピー性皮膚炎の場合、では何の警告信号かといえば、それは、初期信号のことが多い。
先の例で取り上げた肝臓の場合、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるぐらい我慢強い臓器じゃ。
したがって、痛みや腫れなどの症状が現れた場合、異常状態はかなり進んだ状態であることが多いが、体としてみれば、できればそういった異常状態は早期に解決して欲しいと思っておるはずじゃ。
そういった、体に生じた小さな異常状態を示す「警告信号」、それも初期状態の「警告信号」として現れておることが、アトピー性皮膚炎の場合は多いと言える。

睡眠不足、代謝不足、食事の状態が体に与える悪影響など、毎日の生活の積み重ねの中で生じた「小さな異常状態」が、このままその状態を放置すれば、やがて、体にとって、深刻な状況をもたらす恐れがある場合、早めに知らせる「サイン」としての役割がある、ということじゃ。

なぜなら、そういった睡眠不足や代謝不足などの積み重ねは、自律神経や内分泌系に異常を「積み重ねて」いくことになり、そういった異常状態の末期は、「生活習慣病」として体に現れれてくることがあるからじゃ。

ただ、残念なことに、今の医療体制において、アトピー性皮膚炎の治療は、病気のきっかけとなった「生活の改善」がメインではなく、皮膚に現れた「痒み」の症状を抑えることに特化しておる状況じゃ。
先日の風邪の例で言えば、風邪で発熱した人に解熱剤だけ処方して、その他の生活面の行動を大きく制限、あるいは改善することなく治療しておるようなものじゃ。
もちろん、生活面の簡単な注意は行うじゃろうが、風邪のように「絶対安静」といった「強い制限」「強い改善」を行うことはない。
病院でアトピー性皮膚炎の治療を受ける際に、仮に仕事が忙しくて睡眠不足が続いていることを話して、「まずは毎日、必ず早く寝てください。そのためには一時的に仕事も休んでください」と言われることはないじゃろう。
ところが、風邪の場合は、仕事が忙しくても、必ず休むように言われるじゃ。

もちろん、アトピー性皮膚炎の原因が睡眠に関わっている特定されるわけではないから、これはあくまで一例にすぎんが、いずれにせよ、アトピー性皮膚炎の治療では、「症状の治療」はしっかり行えても、「病気の治療」が欠けておることは確かじゃろう。

このように「痒み」とは、決して体に対してマイナスの働きを行っている、ばかりではない、ということじゃな。
少なくとも、間違った方向性であるかもしれんが(不快に感じるため)、何らかの「意味合い」を持っておる、ということじゃ。
少し極端にいってしまえば、「痒み」も「自然治癒力」としての働きを「一部」有しておる、といえるかもしれんの。

「痒み」が、なぜ生じたのかを考えることは、アトピー性皮膚炎を克服していく上では、大切な第一歩であることは確かじゃろう。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

病気と症状の治療は、根本的に異なることが多いが、だからといって症状の治療が一切不必要、ということではない。
症状を治療することが、間接的に、病気の治療につながってくることもあるからの。
ただ、「症状の治療」が「病気の治療」につながらないこともあるということを忘れないようにして欲しいものじゃ。