ステロイド剤がアトピーの悪化の原因になる?(2)

今日は昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

昨日は、体内でインターロイキン4が関与することで、ガレクチン3や表皮IgE+B細胞の分化を増強し悪循環を生みだすこと、そして遅延型(Ⅳ型)のアトピー性皮膚炎がやっかいなのは、この悪循環にあることを説明した。

なぜこの悪循環がやっかいなのか、というと、連続した反応の中では抗原そのものは関係なく、IgEとB細胞の関係のみで行われるからじゃ。
簡単にいえば、いったん抗原(アレルゲン)が体内で反応を示した場合、その後、炎症(痒み)を引き起こす原因となるIgEそのものが、抗原がなくても増強されてしまう恐れがある、ということになるからじゃ。

Ⅰ型(即時型)のアレルギーの場合、抗原となるアレルゲンが「体内にある間」のみ、抗原抗体反応が生じておることになる。
ところが、このガレクチン3が関与する遅延型のIgEの反応は、抗原がなくなっても、IgEを連鎖的に生み出し、それが体内の炎症反応につながってくることになるのじゃ。

ここで整理しておこう。

遅延型アレルギーとしてのアトピー性皮膚炎の問題が、

1.通常存在するsIgE-B細胞が、アトピー性皮膚炎の人は、sIgE+B細胞に分化(変化)する
2.このsIgE+B細胞に分化させるのがIL-4(インターロイキン4)というサイトカイン(タンパク質)である
3.IgEの第3の受容体であるガレクチン3は、IL-4を増強する。
4.IL-4は、ガレクチン3を増強し、sIgE-B細胞をsIgE+B細胞に分化(増強する)させる。

ということにあるのは、分かってもらえたじゃろうか?
いったん、体内でsIgE+B細胞が生み出される連鎖反応が生じることになると、結果的にIgEそのものも増強され、炎症が継続して続く原因にもなっている可能性がある、ということじゃ。

そして、ようやく今回の本題じゃ。
ステロイド剤がなぜ炎症を生じる原因になるのか?ということじゃが、ステロイド剤だけではなく免疫を抑制する薬剤は、体内のIL-4(インターロイキン4)を増強する性質を持っておるからじゃ。
当然、IL-4が増加する=sIgE+B細胞を増加させる=IgEを増強する、ということにつながってくる。

実は、以前から免疫抑制剤を使用した患者の一部にIgEが増加する傾向がみられることが報告されておったそうじゃ。
これも、このガレクチン3を中心としたIgEの受容体が関与して起きているものじゃろう。

アトピー性皮膚炎患者で、ステロイド剤の使用により短期に症状が落ち着くケースもあれば、ステロイド剤の使用にも関わらず症状が引かず、逆に少しずつ悪化していくケースもある。
おそらく、前者はアトピー性皮膚炎の原因そのものが軽微で自然解消されやすい、という特性の他に、この体内でのアレルギー反応として、遅延型よりも即時型の反応の方が強く、ステロイド剤によるマイナスの影響を受けにくかった、そして、後者は遅延型のアレルギー反応が強くステロイド剤で炎症を抑えると同時に炎症を生み出す「元」も作ってしまっていたため、結果的に炎症反応が解消されず・・・ということも考えられるかもしれんの。

誤解して欲しくないのは、ステロイド剤がいかなる場合も、アトピー性皮膚炎を増悪させる、ということではない、ということじゃ。
一部のアトピー性皮膚炎の反応(ガレクチン3が関与する遅延型のアレルギー反応)に対して、マイナスの影響をもたらす、ということと考えられる。

いずれにせよ、ステロイド剤の使用が継続することで、そのこと自体がアトピー性皮膚炎そのものの悪化要因になりうることが考えられる(必ず悪化要因になる、というのではなく悪化要因になるケースがある、ということ)ことは知っておいた方が良いかもしれんの。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

推測じゃが、アトピー性皮膚炎の反応として、このガレクチン3がいかなる場合も関わっている、ということではないから、ブログ中で述べたように、即時型の反応が強く出ている方(強く反応するアレルゲンが特定されている方など)は、もしかするとステロイド剤のマイナスの影響は短期においては見られにくい、ということもあり得るかもしれんの。
免疫抑制剤とIL-4の関係などは、論文があるのじゃが、できれば、こういったガレクチン3を前提においた研究も行って欲しいところじゃ。