いろいろな治療法にできること、できないこと(1)

アトピー性皮膚炎の治療は、さまざまなものがある。

 

 

 

 

 

 

 
病院が行う治療だけみても、薬剤(ステロイド剤やプロトピック軟膏、非ステロイド系の抗炎症剤など)の治療、アレルゲン除去、漢方薬など、いろいろな方法が患者に提示されておる。

先日、あとぴナビへのご相談で、Kさんから次のような内容があった。

幼少のころからアトピー性皮膚炎で、ステロイド剤の治療を続けてきたが、高校生になって、ステロイド剤が効かなくなり、脱ステを始め、独学で入浴療法を行ってきたが、約10年近く経っても、口周りと首の炎症が残っていて、今後、どういったことに気をつけていけば良いのか・・・

という内容じゃった。
そこで今日は、治療法に対する考え方について少し考えてみたいと思う。

まず、Kさんが幼少の頃から行ってきたステロイド剤治療じゃから見ていきたい。

●ステロイド剤治療で、できること

まず、ステロイド剤治療で「何ができるのか」を考えた場合、すぐに思いつくのは「痒みを抑える」ということじゃろう。
実際には、痒みを抑えておるのではなく、痒みを生じさせている元である「炎症」は、体内の免疫反応の結果、起きていることがあり、その免疫反応をおきないように「免疫を抑制する」働きをステロイド剤はおこなっておるのじゃが、使っている患者にとっては、最後の結果である「痒みが抑えられた」という部分に目がいくのも仕方はないじゃろう。
ただ、逆に考えると、ステロイド剤にできることは「痒みを抑える」ことだけといっても良い。
最も、痒みを抑えることで、得られる副産物は多い。
例えば、掻かないことで皮膚の修復が進み、バリア機能が改善、結果的にアトピー性皮膚炎そのものの炎症の改善につながることもある。
あるいは、痒みで眠れないことが悪化要因となっていた人であれば、痒みを抑えることで眠れるようになり、睡眠をしっかりとれることで内分泌機能、自律神経機能が改善されれば、それはアトピー性皮膚炎の原因そのものに対してもよいアプローチとなるはずじゃ。
ただ、そういった利点は、あくまで等しく全ての人が享受できるものではない。
アトピー性皮膚炎の原因、症状から考えられる病態などは、個人差も大きく、また、ステロイド剤は免疫を抑制することで、免疫が関わる痒みには対応できるが、皮膚の乾燥から来る痒みの神経線維が関わる痒みに対しては、一次的に抑えることはできん(最初に痒みが現れ、掻くことで炎症が生じ、そこから生まれる二次的な痒みには対応できる)。
したがって、こういった利点は、ステロイド剤治療が必ずできること、ではなく、人によって副産物として得られる、少し意地悪な言葉でいえば「おまけ」とも言えるじゃろう。
 

●ステロイド剤治療で、できないこと

次に、ステロイド剤治療ででないことについて見ていきたい。
まず、最も基本的な部分であるのは「アトピー性皮膚炎を治すことができない」、ということじゃ。
先のステロイド剤治療でできることで説明したことと矛盾を感じる人もおるかもしれんが、痒みを抑えることで二次的に得られる副産物はステロイド剤が強制的に等しく与えられる「効果」ではない。
あくまで、その人の「条件」に合った場合のみ得られるものじゃ。
これまで何度もブログでは述べてきたことじゃが、「病気の治療」と「症状の治療」は、受けている患者は同一に感じるかもしれんが、根本的に異なるものじゃ。
アトピー性皮膚炎の症状(痒み)の原因は、免疫活動から生じる炎症が関わっておるから、ステロイド剤が持つ免疫抑制効果が免疫活動そのものを低下させれば、痒みと言う症状を抑えることはできる。
ところが、免疫機能が関わる「アトピー性皮膚炎の病気の原因」は、免疫を抑制することで解消できるものではない。
例えば、代謝不足が自律神経や内分泌系に影響を与え、結果的に免疫機能に異常が生じ、アトピー性皮膚炎が現れている場合、ステロイド剤は代謝不足を解消できるわけではない。
睡眠不足が原因の人も、ステロイド剤で痒みを抑えることで眠れることで睡眠不足が解消されることはあるじゃろうが、そこに必要なのは「寝るという行為」であって、ステロイド剤が直接、睡眠の代わりを行ってくれるものではない、ということじゃな。
 

このように、ステロイド剤によってできることは、症状を抑えることで、できないことはアトピー性皮膚炎を治すこと、ということになる。
そこで何が問題かと言うと、アトピー性皮膚炎を治すためには、ステロイド剤治療以外の「アプローチ」が必要になってくる、ということじゃ。

Kさんが次に行った入浴療法を含めて、続きは明日じゃ。

 
おまけ★★★★大田のつぶやき

病院が行う治療で考えると、アレルゲン治療や漢方薬なども、それぞれ行えること、行えないことはあります。
行えることがぴったりはまって、行えないことが自分に関係しない場合、その治療の有効性は高くなりますが、アトピー性皮膚炎の場合、影響を与えている要因が複合的なことも多く、さらに要因そのものが移り変わることもありますので、広い視野で考えていくことは大切でしょう。