食品の放射性物質の新しい基準値

西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
今月は4回目となるが、明日から、食品の放射性物質の新しい基準値が適用になるため、少し触れておきたいと思う。

 
●「食品中の放射性物質の新しい基準値」のチラシについて(平成24年3月15日版)[PDF:239KB]
http://www.caa.go.jp/jisin/pdf/120315_1.pdf
 

原発事故以降、放射性セシウムの暫定基準値は、1kgあたり、食品で500ベクレル、飲料水関係で200ベクレルだったのだが、これを明日からは、食品で100ベクレル、飲料水で10ベクレルに引き下げる、というものだ(乳児用は別基準)。

放射性物質は低いレベルでは、影響を受ける人は確率的にもかなり低くはなるので、基準そのものが「緊急時」のものから「平時」のものになることは良いことと言えるだろう。

ただ、問題があるのは、そのレベルをどのように「管理」していくのか?ということにある。

 
●水産物の放射性物質測定不十分
http://megalodon.jp/2012-0315-2012-10/www.nhk.or.jp/lnews/sendai/6003716631.html

宮城県は、主な漁港がある県内5つの市と町に水産物の放射性物質を測定する機器を貸し出していますが、ほとんどの自治体で測定が行われていなかったり、測定結果が公表されていなかったりと、十分な対応がとられていないことが分かりました。
宮城県は、魚や貝などの水産物に含まれる放射性物質を測定するため、およそ300万円の機器を5セット購入し、去年11月、主な漁港がある気仙沼市、石巻市、塩釜市、南三陸町、それに女川町の5つの市と町に貸し出しています。NHKが各自治体での運用の実態を調べたところ、女川町は、地元の漁港で水揚げされた魚介類の放射性物質を測定し、その結果を町のホームページで公表していました。
一方で、石巻市と南三陸町は測定は行っているものの、結果は公表していませんでした。
さらに気仙沼市と塩釜市は、この機器による測定自体を行っていませんでした。
このうち塩釜市は、「気温や湿度が安定した場所が確保できず、測定ができない」と話しています。また、結果を公表していない石巻市は、「県が公表の基準などを定めた指針を策定するまでは、何をどう公表すればよいか分からず、控えている」と話しています。
これについて宮城県水産振興課は、「指針の作成が遅れ、自治体の対応にばらつきが出ていて申し訳ない。国や県による調査は行われているが、市や町でも測定が行われ、結果が公表されるように対応を急ぎたい」と話しています。

 
このように、「暫定基準値」で検査体制が厳しい状況であったはずの段階ですら、自治体が測定を行っていなかったり公表していなかったり、という状況があった中、基準値が厳しくなり、より広範囲の検査が必要とされる中、どこまでその体制が作られるのかが気になる。

 
●セシウム検査対象拡大 国の指針に宮城県は苦慮
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/03/20120326t13018.htm

食品に含まれる放射性セシウムの新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)が導入される4月を目前に、県が検査体制の構築に苦慮している。精密検査を行う目安が250ベクレルから50ベクレルに下がった上、国が今月示した指針によって検査対象の全体像が読み切れなくなったためだ。県は「きめ細かな対応は当然だが、国は地域の実情に見合った対応をしてほしい」と困惑している。

国が新指針を示したのは12日。過去に出荷制限の対象となるなどした17都県に、1キログラム当たり50ベクレルを超えた品目の重点調査を要請した。
このうち出荷制限が複数品目あった宮城など6県には、他県で50ベクレル超が検出された品目についても、それぞれの県内の主な産地となる市町村ごとに週1~3検体を調べるよう求めた。
県が過去に精密検査した農林水産物1132検体のうち、新基準値の100ベクレルを超えたのは47検体。県は4月以降、出荷制限中の露地物原木シイタケや土壌の放射性物質濃度が高い地域を軸に、生産量の多い品目の検査に力を入れる方針だった。
新指針で重点調査の対象が広がったことで、県は「検査が必要な数の全体像が把握できない」(食産業振興課)状態になり、体制の見直しが必要になった。
ただ、指針は重点調査の対象地域を「主要な産地」とし、明確な線引きはしていない。21日に国が開いた自治体向けの説明会でも、十分な回答はなかったという。
県は県産業技術総合センターのゲルマニウム半導体検出器や精密検査に対応するよう改良した県内7カ所の簡易測定器、民間検査機関の機器をフル回転させ、新基準値に対応する考え。同課は「検査範囲が曖昧な新指針への対応は、段階的に取り組んでいくしかない」話している。

 
このように、事実上、検査を行う対象そのものの全体像が、行政自体も把握しきれていない状況だ。
ちなみに、チェルノブイリ事故があったベラルーシでは、現在、1日500か所の検査施設において、3万件のサンプルを検査して、食の安全性を図っている。
日本においては、どれくらいの検査体制が整っているのか、いろいろ調べてみたが、統計的な数値は見つからなかった。
ただ、昨年の7月にNHKで報道された番組では「日本で最も検査体制が充実している茨城県で1週間に10サンプル程度」だったようだ。
それから随分状況も変わってきているとは思うが、上記の記事を見る限り、宮城県でこれまで約1年間で精密検査した農林水産物1132検体とあるように、流通する膨大な私たちの食卓に上がる「食材」を一通り調べる体制が整っていないことは確かだろう。
また、ひとつ前に紹介した記事のように、検査機器があっても使っていない状況で、はたしてどこまで今後、体制が作られるのかが心配である。

瓦礫の問題もそうだが、結局のところ、全体の中のほんのわずかな部分をもって「全体そのものが安全」となってしまうことが、消費者にとっては一番気になる部分だろう。
残念ながら、私たちも、行政が発信する情報をうのみにするのではなく、消費者が心配な要素を含む情報については求めていくような姿勢が必要な時代になっているのかもしれない。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

消費者庁の新しい基準のチラシを見て、気づいた方はおられるだろうか?
ここでは年間許容線量を暫定基準の5mシーベルトから、平時の基準の1mシーベルトに引き下げる、とあるが、ここには「外部被曝」の線量は含まれていない。
飲料水が年間0.1ミリシーベルト、食品が年間0.9ミリシーベルト、合計1ミリシーベルト、となっているだけである。
福島県内だけではなく、千葉県の一部ですら除染地域となっている現状の中、高い線量の地域では、もっと低い基準が必要なのは明らかだろう。
新しい基準値になることで、報道のされ方も変わってくるのだろうが、そこに含まれる情報と隠れている情報をしっかりと見極めることも大切かもしれない。