医師によって違う投薬状況(1)

西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
今月は3回目となるが、考えさせられる記事があったので紹介したい。
記事自体が長いため、2回に分けたいと思う。
今日はまず1回目の記事だ。

 
●名医求めてさまよう うつ病患者 (1/4)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120322-00000301-wedge-soci
 
「うつ100万人時代」のいま、企業に加えて、精神医療界の対応も急務だ。だが、クリニックが次々と開業し、新たな抗うつ剤も開発されているのに、患者数は減らない。なぜか。ある患者の治療ケースから、その理由を探った。

■いい精神科医に出会うのは難しい

都内在住で大手印刷会社勤務の斉藤誠一さん(50代、仮名)は4年前、職場の人間関係で悩み、朝起きるのが辛い日々が続いていた。ある日、妻に促されて地元の駅前クリニックを受診したところ、A医師にうつ病だと診断され、薬物療法中心の生活になった。

クリニックには月2回通院した。帰宅途中に寄れる便利さもあったが、診察まで4時間待たされることもしばしば。しかも、「さんざん待ったのに診察時間はわずか5分で、聞かれることは『薬が効いたか効かないか』ばかり。『効かない』と答えると、どんどん薬が足された。別の医師の診察となることもあり、薬が変わることもあった。医師によってなぜこんなに言うことが違うのかと、疑問に思った」(斉藤さん)。

なかなか治らないことに不安を感じた斉藤さんは都内にある病院に入院治療を考え、A医師に相談したら「あなたはそこまでじゃない」と言われ、結局5分診療と薬物療法の日々が続いた。

「もうどうしていいか分からない」

途方に暮れていた斉藤さん。心配した義姉が知り合いの医師を紹介してくれて、その縁で田島治・杏林大学保健学部教授に出会う。気がつけば、A医師の診察を受けてから約1年が経ち、6つの病院を渡り歩いていた。

「A医師と違い、日常生活に関する質問が多く、私のことを理解してくれているという安心感があった。そして何より、減薬治療してくれたことで、自分が回復に向かっていることを日々、実感できた」(同)。半年後、念願の職場復帰を果たし、現在のところ、再発もしていない。斉藤さんは最後にぽつりと、こんな言葉を漏らした。

「いい精神科医に出会うことがこれほど難しいとは思ってもみなかった」

日本には精神科医が8000~1万人いるといわれる。だが、うつ病治療に関しては、斉藤さんのように「名医を求めてさまよう患者」が少なくない。

病気の境界を広げる“疾患喧伝”という、製薬会社の販売戦略の関係性も指摘される。グラフのように副作用はあるが従来の抗うつ剤よりも安全性が高いとされるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が日本でも承認された1999年以降、市場規模拡大とともに患者数は急増中だ。SSRIは現在、うつ病治療で重宝されるが、服用の仕方次第で、他人への攻撃性を高めるといった副作用の問題がある。2009年5月には厚生労働省が医師や患者に注意喚起を行っている。

本稿では抗うつ薬が直ちに悪いと主張するつもりはない。「薬が必要な患者は確かにいる。多剤であっても合理的であれば問題ない」(田島氏)し、「医師が適切な知識のもとで使えば、過度に副作用に脅える必要はない」(宮岡等・北里大学医学部精神科教授)からである。だが、精神科医によって処方の仕方に“ばらつき”があるのも事実。宮岡氏は「うつ病の症状だけでなく、生活環境やもともとの性格など、詳しく尋ねてはじめてそのうつ病に薬物療法がどの程度必要かが分かる。精神科医にはその能力が不可欠」と強調する。

※つづく

  

記事は、うつ病についてのものだが、アトピー性皮膚炎の治療の実態と非常に似通っているように感じる。

「さんざん待ったのに診察時間はわずか5分で、聞かれることは『薬が効いたか効かないか』ばかり。『効かない』と答えると、どんどん薬が足された。別の医師の診察となることもあり、薬が変わることもあった。医師によってなぜこんなに言うことが違うのかと、疑問に思った」

 
アトピー性皮膚炎でも症状が悪くなると「アトピー性皮膚炎が悪化したから薬を変えましょう」と、強いステロイド剤、あるいはプロトピック軟膏に変わることは多い。
ただ、その診療の中で、今回の記事のように、アトピー性皮膚炎という病気そのものを治すためのアプローチ(生活状況、生活環境など)についてこと細かく改善の指導をされることは少ない。

 
「A医師と違い、日常生活に関する質問が多く、私のことを理解してくれているという安心感があった。そして何より、減薬治療してくれたことで、自分が回復に向かっていることを日々、実感できた」(同)。半年後、念願の職場復帰を果たし、現在のところ、再発もしていない。

 
結局のところ、薬剤は体に現れている症状を抑えることはできても、その症状を現わすことになった原因そのものは治療してくれない。
アトピー性皮膚炎の場合も、ステロイド剤で治せる範疇を「アトピー性皮膚炎という病気」と考えると、本来の原因が薬剤の治療で届かないところにあった場合、さらにその原因の自然に改善することが望めない場合には、「症状は薬剤で抑えることができる」かもしれないが、当然ながら、「アトピー性皮膚炎という病気は悪化する」ことになり、結果的に症状は少しずつ悪化することになる。

 
本稿では抗うつ薬が直ちに悪いと主張するつもりはない。「薬が必要な患者は確かにいる。多剤であっても合理的であれば問題ない」(田島氏)し、「医師が適切な知識のもとで使えば、過度に副作用に脅える必要はない」(宮岡等・北里大学医学部精神科教授)からである。

 
その通りであろう。
アトピー性皮膚炎の場合も、「ステロイド剤」「プロトピック軟膏」という薬剤そのものが悪いのではなく、その「使い方」が「適切」かどうかが問題、ということだ。

 
「いい精神科医に出会うことがこれほど難しいとは思ってもみなかった」

 

記事中の言葉を、アトピー性皮膚炎に関わる言葉に置き換えてみると、治療の実態は、うつ病もアトピー性皮膚炎も、抱える問題は似ていることが分かるだろう。

「病気の治療」「症状の治療」、この二つの違いを患者側も、できる限り把握するようにして欲しいところだ。

明日は、続きを紹介したい。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

残念ではあるが、患者にとって受ける投薬の意味合いと、医師が行う投薬の意味合いは必ずしも一致しない。
もちろん、医師も患者のことを「考えて」投薬を行っているわけだが、病院そのものが成り立たない状況が生まれるようでは元も子もない。
医療=投薬という図式が少なからず強い構図になってしまっている現状は残念だが、治療を受けるための「選択」は、患者側にもあることを忘れない方が良いだろう。