【Q&A】ステロイドでアトピーは治るの?

さて、今日は読者からいただいたご質問にお答えしたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 
アトピー性皮膚炎の今の医療体制では、ステロイド剤やプロトピック軟膏での治療が標準治療となっておるが、病院で「アトピーを治す治療」と説明を受け、継続的に使用するよう言われることが多い。

 
●Aさんからのご質問

5歳の子どもがアトピーと診断され、病院でステロイド剤を処方されました。
私の妹が、温泉湯治でアトピーを治したこともあり、妹からステロイド剤についていろいろ聞いていたため、先生に、ステロイド剤の治療について心配なことを尋ねると、怒られてしまいました。
今、子どもの皮膚には炎症が起きているから、まずはその炎症を抑えることが大事であり、そのためにステロイド剤以外に治療法はない、ステロイド剤はアトピーを治す薬で安全な薬だから、ということでした。
妹は10年以上、ステロイド剤治療を続け、一向に良くならなかったのですが、ステロイド剤を止めて温泉湯治を始めたら1年ほどですっかり良くなり、そのことも聞いたのですが、先生は「そんなの、たまたま良くなっただけ」と相手にしてくれません。
このままステロイド剤の治療を続けていって良いのか不安です。
アドバイスをください。

 
Aさん、こんにちは。
まず大切なのは、ブログで時々書いておるが、「ステロイド剤は何を治しているのか?」ということを知ることじゃ。
先生が言うように、確かに、今生じている炎症を抑える、という治療で考えるならば、ステロイド剤は効果的じゃ。
特に子どもの場合、免疫機能の異常状況から炎症が生じておるケースが中心となる。
そのため、免疫を抑制するステロイド剤やプロトピック軟膏は、炎症を抑える、という点では効果が見込める。
ただ、問題なのは、「炎症」とは、アトピー性皮膚炎という病気そのものではない、ということじゃ。
ブログでは良く風邪を例にとるが、風邪をひいて高熱が出た場合、解熱剤を処方されるじゃろう。
解熱剤を服用すれば、熱は一時的に下がる。
じゃが、風邪が治っていなければ、解熱剤の効果が薄れれば、再び熱は上がってくる。
つまり、熱とは風邪という病気にかかった「結果」現れた「症状」であり、症状を治す=病気を治す、ということではない、ということじゃ。

アトピー性皮膚炎も同じで、アトピー性皮膚炎という病気、つまり免疫の異常状況により、炎症が皮膚の下でおき、その炎症が痒みを「作って」おる。
したがって、ステロイド剤で炎症を抑え、痒みを治しても、アトピー性皮膚炎という病気そのものが治るわけではないのじゃ。

妹さんがステロイド剤の治療を10年続けても治らなかったのは、ステロイド剤は痒みを治す治療はできても、アトピー性皮膚炎を治す治療ではなかったからこそ、と言えるじゃろう。

もちろん、ステロイド剤の治療を受けて、アトピー性皮膚炎が「治る」人もおる。
じゃが、それは炎症をステロイド剤で抑えている間に、元のアトピー性皮膚炎の原因が軽微だったため、体が自然にそれを解消してくれただけじゃ。
本来、免疫機能は、常に抑制と亢進のバランスを保っておる。
アトピー性皮膚炎の症状、つまり炎症とは、免疫機能のバランスを調整する、特に抑制するためのサイトカイン(主にインターロイキン)の働きが乱れることで、抑制できない=亢進された状態になる、ということで生じる。
先生は妹さんがステロイド剤を止めたことで治ったことを「偶然」と表現したようじゃが、それこそステロイド剤でアトピー性皮膚炎が治った、ということこそ、炎症を抑えている間に免疫機能の異常状態が「偶然」解消されたにすぎん、ということじゃな。

「痒みを治す」だけならステロイド剤は優秀な薬剤じゃ。
じゃが、ステロイド剤は痒みを治せてもアトピー性皮膚炎を治すことはできん。
ステロイド剤を使用することで起きる、免疫を抑制した状態は、さまざまな「悪影響」を皮膚上にもたらすし、それがアトピー性皮膚炎の悪化要因となりうることもある。
なお、誤解して欲しくはないのじゃが、アトピー性皮膚炎に対して、ステロイド剤を使用することが全て良くない、というわけではない。
問題は、「使い方」ということじゃ。
残念じゃが、アトピー性皮膚炎の原因そのものが解消困難な場合には、症状が引いて、そして再燃してを繰り返し、気が付くと、長期間使用してしまった、ということが心配じゃ。
影響が万一、現れた場合、その影響によるリスクは、かなり高いものでもあるから、患者側もそのリスクを十分承知しておくことは大切なことじゃろう。

Aさんのお子さんが、いち早く回復されることを祈っておる。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

ステロイド剤の連用することによるリスクを十分に理解しておくことは、患者側の「防衛」としても、必要なことではある。
日本皮膚科学会が定める「専門医」の指示通り使用し続けて、結局、その影響を受けてしまった人は決して少ない数ではないからじゃ。
薬には利点もあれば欠点もある。
欠点を承知した上で、上手に利点を生かせるように使用することが大切、ということじゃな。