インフルエンザとアトピーの注意点

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 
さて、インフルエンザが本格的に流行しています。
学校などでの集団生活、通勤・通学で人ごみに出た場合など、日常生活内で感染する機会は多く、十分に注意が必要です。

特にアトピー性皮膚炎の方が発症した場合の注意点を述べておきたいと思います。

まず、インフルエンザウィルスに感染しても必ず発病するわけではありません。
一定量のウィルスが侵入、あるいは増殖して一定量を越えると、発病することになり、多くは、その発病に対する体の防衛反応、くしゃみや咳(呼吸器のウィルスを外に排出しようとする働き)、熱(ウィルスの増殖を抑える働き)、倦怠感(ウィルスに対応するため休息を体に要求する働き)などにより、自覚することになります。
体の免疫力がインフルエンザウィルスに対抗するためには、主にヘルパーT細胞のⅠ型(Th1)の働きにより行われますが、Th1の活動が活発になると、サイトカインの働きにより、アレルギーに主に関わるヘルパーT細胞Ⅱ型(Th2)を抑制します。
そのため、アトピー性皮膚炎の方がインフルエンザを発病した場合、特に免疫機能の異常から症状が現れている方であれば、Th2の働きがTh1が高まることで抑制されることでアトピー性皮膚炎の症状そのものが一時的に消失することがあります。

ただし、Th1とTh2のバランスには、サイトカイン(主にインターロイキン)のみが関わるのではなく、Th3も関わるため、全員がこのような傾向を示すとは限りませんが、インフルエンザにかかるとアトピーの症状がなくなる、ということは、割と多くの方が経験しているようです。

もっとも、アトピー性皮膚炎の症状そのものを抑えているのが、Th1の働きによりますから、インフルエンザが治る=Th1の働きが低下する、という状況になると、抑えられていたTh2の活動が再び活発になり、炎症が生じて、痒みが現れることになります。

ここまでは、インフルエンザを中心とした免疫機能の働きにより生じる症状ですが、インフルエンザの場合、アトピー性皮膚炎にもう一つ関わる要因があります。

それが「高熱」です。

インフルエンザは風邪よりも高熱が出やすいといわれていますが、高熱が出る理由は、インフルエンザウィルスは体内温度で40度以上になると、増殖のスピードが落ちるからです。
特に、体内を守るためにもっとも有効な、ヘルパーT細胞の指示により作られるグロブリン抗体(免疫)は、体内のウィルスを一掃できるまでの量を作るためには一定時間が必要です。
そのため、その準備ができるまでの間、体は熱を上げ、少しでもウィルスが増殖しないようにするわけです。
インフルエンザで最初、寒気がして高熱が上がり、やがて汗をかき始めると思いますが、これは最初の寒気がしている段階は体が熱を上げ続けている状態です。
しかし、高熱は体にとって決してよい状態ではなく、ある意味「決死の覚悟」でウィルスに立ち向かっている状態ですから、免疫機能の準備が整った段階で、本格的な戦いはヘルパーT細胞の活動に任せ、熱を下げ始めるわけです。
この熱を下げる行為は、汗をかくことによる気化熱で皮膚表面から熱をとっているのですが、ウィルスの活動がまだ活発な段階では、免疫機能を助けるため、高熱の状態を維持します。
この状況下においては、常に汗をかき続ける状況ですので、皮膚の水分蒸散量が高まっていても、水分自体の「補給」は行われていますから、体力を消耗しない程度に、水分補給を心がけることが大切でしょう。

そして、ポイントは、治りかけの状態、つまりウィルスに免疫が勝って、熱を本格的に下げようと働き始めた状態の時です。
体のサインとしては、39度以上あった熱が37度台近くまで下がったときでしょう。
このとき、猛烈な汗は出なくなりますが、皮膚は熱を下げるために、水分蒸散量を高めていますから、皮膚が乾燥しやすくなります。
ちょうど、この頃、治りかけ=免疫機能のTh1の活動が低下し始める=Th2の活動が高まり始める、という図式になりますので、免疫機能が関与する炎症や痒みも復活し始めます。
皮膚が乾燥し、痒みに関わる免疫活動も活発になる、ということはアトピー性皮膚炎の症状が再燃しやすい時期とも言えます。
そこで、インフルエンザが落ち着いて治り始めて熱が下がりだしたときには、保水と保湿(特に保水)を速やかに行うようにして欲しいと思います。
適切なスキンケアを行うことで、皮膚機能の異常状態による痒みが緩和され、インフルエンザ後のアトピー性皮膚炎の症状の再燃を少しでも低く抑えられる可能性があります。

もちろん、他の要因も関わりますから、一概には言えませんが、悪化要因という部分で考えると、こういった治りかけのときのスキンケアを忘れないようにすることは、一つの手助けにはなりますから、インフルエンザに万一、かかった際には注意するようにしましょう。

 
おまけ★★★★南のつぶやき

今日、大田君が書いた状況は、インフルエンザに限ったものではなく、高熱が出る疾患であれば同様の状況は多かれ少なかれみられます。
ただ、インフルエンザの場合、熱が高く上がりやすいので、回復後の皮膚の乾燥もその分、目立つことがあります。
インフルエンザから回復直後は、まだ倦怠感も強いと思いますが、それまで症状が現れた部位だけでもスキンケアを行うように注意しましょう。