【Q&A】脱保湿はアトピーに有効?(5)

今日は、今回のテーマの最後じゃ。

 

 

 

 

 

 
「免疫機能の異常がある場合」の問題点と、まとめを述べたいと思う。

2.免疫機能の異常がある場合

これは、ステロイド剤の治療と同じ意味合いじゃな。
脱保湿により、皮膚の機能異常を自らの力で回復させた場合、皮膚の機能異常を原因とする「アトピー性皮膚炎」については、確かに回復させることは可能じゃろう。
じゃが、アトピー性皮膚炎の原因は、皮膚の機能異常のみにあるわけではない。
IgEが関与する免疫機能の異常状況もアトピー性皮膚炎の大きな原因の一つじゃ。
特に、年齢が低いアトピー性皮膚炎の患者の場合(小児、乳幼児)、どちらかというと、皮膚の機能異常上よりも免疫機能の異常状態の方が、原因としては強い傾向がある。

ステロイド剤が免疫を抑制することで、免疫反応により生じる炎症からくる痒みを「未然に」防ぐことができても、痒みを知覚する神経線維が直接皮膚に受けた刺激から生じる痒みに対応しづらいのと同じじゃ。
スキンケアは、皮膚の機能異常を回復させ、皮膚の機能異常から生じる痒み(バリア機能の低下から生じる異物の侵入による免疫反応、あるいは表皮の乾燥状態により表皮に侵入した痒みを知覚する神経線維による直接の痒みの刺激など)には対応できる。
じゃが、体内、それも血液内で行われておるIgE(免疫)の影響そのものに直接関与しているものではない(もちろん、バリア機能が回復することで表皮から侵入する異物との免疫反応については間接的に対応できることになるが、アトピー性皮膚炎に対するIgEの影響は皮膚からの侵入以外にも、さまざまにあるので)。

免疫機能の異常状態が全く関与していない(あるいは、皮膚の機能異常が最初の原因として存在し、から生じたバリア機能低下により、皮膚下に侵入した抗原との反応が二次的に生じている、つまり皮膚の機能異常が回復することで免疫機能の異常状態も影響しにくくなる場合)というのであれば、あるいは脱保湿を行い、自らのスキンケアの機能の回復を待ちながら、同時に、免疫機能の異常状態に対するアプローチ(自律神経や内分泌機能に対する影響=生活や生活習慣の改善)を行うのであれば、まだ良いじゃろう。

じゃが、生活、あるいは生活環境に、免疫機能の異常状態を引き起こす要因があり、その改善に着手しないでいたならば、ステロイド剤など免疫を抑制する薬剤も使用していないわけじゃから、病気の原因(睡眠や食事、運動、ストレスなどの生活要因、排気ガスやホルムアルデヒドなどの生活環境内の要因から生じる自律神経、内分泌系の異常状況により生じた免疫機能異常状態、というアトピー性皮膚炎の原因の一つ)の対処だけでなく、症状(免疫反応の結果生じた痒み)に対しても対応ができていない、ということになり、症状の悪化を防ぐことは相当に難しいことになる。
 

このように、脱保湿という方法は、「汗をかけない状況にある」あるいは「免疫機能の異常による痒みが生じている(主要因として)」というアトピー性皮膚炎の人には不向きな方法、ということじゃ。

逆に言えば、脱保湿に取り組むのであれば、「汗をかける状況にある」「免疫機能異常があまり見られない」という方であれば、その効果も出やすいじゃろうし、そうでない場合は、脱保湿という方法は失敗することがある、ということじゃし、実際、脱保湿に失敗した患者が数多く相談にきておるのを見る限り、そういった傾向は強い。

脱保湿を勧める医師は、多くが、脱保湿という方法が、「アトピー性皮膚炎に効果がある」と説明するじゃろう。
じゃが、脱保湿、という方法は、「スキンケア」という部分についてのみ対応しているのであって、逆に考えれば、スキンケアを行うことは、脱保湿が求める結果(スキンケアを皮膚に行う)を先に得ている(アトピー性皮膚炎の痒みにつながる皮膚の機能に与える影響、という点からみれば)ということでもある。
もちろん、スキンケアの成分が皮膚に対して刺激などの影響を与えている部分、あるいは外部からのスキンケアを行うことで、スキンケアを自らの力が行うことを阻害している、という点はあるじゃろう。
じゃが前者(刺激となる)については、刺激になりづらい成分のスキンケアを行うことでその影響は最低限に抑えられるし(もちろん、どのような成分も刺激となる方はスキンケアは良くないことは当然じゃが、多くのアトピー性皮膚炎の方の場合、皮膚に刺激が少なく使えるスキンケアはあるため)、後者(自らのスキンケアの力を阻害している)という部分は、まずスキンケア(手助け)で皮膚の機能の異常状態からくるアトピー性皮膚炎の原因の一つを解消し、その後、「環境的に」スキンケアを減らせるような状況下(夏場の汗をかきやすい時期など)で、スキンケアから離れれば良いのじゃ。

まあ、このスキンケアに対する考え方は、アトピー性皮膚炎に対して、どのようなアプローチを必要としているのか、考え方の違いにより異なってくるのじゃろう。
脱保湿が決して悪いわけではない。
脱保湿により、回復したアトピー性皮膚炎の人は大勢おられるじゃろう。
じゃが、脱保湿により回復できなかったアトピー性皮膚炎の人も大勢おるのじゃ。
なぜ、脱保湿が有効な場合と有効でない場合があるのかを、十分に考え、そして見極めなければならん、ということじゃな。

Uさんが、今後、脱保湿の治療を続けるのであれば、なぜ脱保湿が良いのか、そしてそのために何が必要なのか、自分は脱保湿を行える条件下にあるのかを、まずしっかりと認識した上で、取り組む必要がある、ということじゃ。

Uさんが、いち早く回復することを祈っておる。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

あとぴナビでは、脱保湿という考え方は、今回、説明したような理由により取り入れていない。
逆に、適切なスキンケアを行うことが大切じゃと考えておる。
それは、同時に、入浴により汗をかける環境を整える、そして生活や生活環境の見直しを行う、という「条件」の前提の上で、じゃ。
脱保湿を行うのであれば、今回、説明した汗がしっかりかけているのか、免疫機能の異常状態に対する治療は行えているのか、という部分以外に、脱保湿により何を得られるのか、また脱保湿が補えないところはどこか、それはどのように対処していけば良いのかも、考えていく必要はあるじゃろうの。