【Q&A】脱保湿はアトピーに有効?(4)

今日も昨日の続きで、脱保湿の問題について考えていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

●脱保湿の問題点

1.皮脂膜を作る条件が整わない場合

これは、脱保湿を行う場合に、かなり重要なポイントじゃ。
なぜかというと、皮脂膜を作る条件が「いつまでも整わない」と、自ら行うスキンケアも望みづらい状況となる可能性があるからじゃ。
昨日、述べたように、皮脂膜とは、汗と皮脂が乳化してできる。
つまり、「汗」をある程度、かける状況でないと、皮脂膜そのものが作られづらい、ということが考えられる、ということになる。
アトピー性皮膚炎の方は、汗をかきづらい状況にある方が多い。
これは、アトピー性皮膚炎だから汗をかきづらい、というより、汗をかきづらい状況にあるから、自ら行うスキンケア(皮脂膜)が作り出せずに、皮膚の機能異常を招きやすい状況にある、と考えた方が良いじゃろう。
また、皮脂膜に関わるもう一つの要因である皮脂も、皮脂腺からでる物質じゃ。
そして、皮脂腺は汗腺の一部でもあるため、汗がかきづらい=汗をかく機能が低下している、ということで、皮脂も出にくい状況にあるケースもあるようじゃ。

では、汗をしっかりかけるようにするためには、どうすれば良いのか、というと、もっとも手っとり汗をかく「訓練」とは、運動じゃろう。
じゃが、汗をかくという運動は、ある程度、体に熱を持たせる状況を生み出す。
体が熱を持てば、その熱を放熱するために、皮膚の水分蒸散量が高まる(気化熱)。
皮膚の水分蒸散量が高まれば、一時的に、皮膚は乾燥することになる。

ある意味、矛盾が生じてくるわけじゃな。

こういった、汗をしっかりかく行為を行い、さらに「脱保湿」でスキンケアを行わないと、皮膚の乾燥から痒みを知覚する神経線維の問題も再燃するし、乾燥から痒みが生じることで、掻き壊しにより皮膚のバリア機能も失われやすい。

運動する→汗をかく→水分蒸散量が高まり皮膚が乾燥する→痒みの神経線維が表皮内に伸びたことで皮膚への直接の刺激で痒みが生じる→掻き壊す→バリア機能が低下する→異物の侵入による痒みを生じる(免疫反応による痒み)→掻き壊す→乾燥とバリア機能の低下が増える→自分の体でスキンケアを行うために運動する→(最初に戻る)

こういった悪循環に陥ると、抜け出すのは難しい。
もちろん、「運動」は一例ではあるが、脱保湿が上手くいかない方の場合、スキンケアが行えないことによるマイナス点から脱却できずにいる、つまり自ら行うスキンケアの機能がいつまでたっても回復していないと言える。
確かに、いずれ自らスキンケアを行う力が回復したなら、十分に悪循環から抜け出せるじゃろう。
じゃが、もともと汗をかきにくく、自らの力でスキンケアが行いづらい方の場合、かなり「偶然」的な要因を期待せねばならんじゃろう。

さらに、セラミドの不足状態、フィラグリンの関与、TGFβの関係など、他の要因により自ら皮膚のスキンケア機能を低下させる状況が加わっているなら、なおさら「自然に回復させる」ことは困難になってくるじゃろう。

では、先ほど運動を例にあげたが、その場合、皮膚が乾燥しないよう運動を行わなければ良いのか?というと、もともと汗をかきづらい方の場合、汗をかける要因が生まれなければ、そもそも自ら行うスキンケアの機能も高まりづらくなる。
ダメージを受けた肌に何のケアも行わず、ただ「偶然」に自ら行うスキンケアの機能が高まることを待つことは、決して得策とは言えんじゃろう。
体の機能の働きから考えれば、少し極端な例で言えば、運動選手が、訓練をせずに運動機能が高まるのを待つようなものじゃ。

したがって、まず「脱保湿」が有効に働くためには、「汗をかける状況にあること」が必要になると言えるじゃろう。
そして、汗をかけるようになるためには、何もせずに待つのではなく、能動的に汗をかけるための「訓練」(生活要因)も何らか行わなければならないということじゃな。
実際、相談で脱保湿を行っているけど症状が悪化している人に比較的共通しているのは「汗をかきづらい状況にある」ということじゃ。
体を変えていく、つまり自らスキンケアを行う機能を「育てていく」ためには、「育てる必要がある」ということじゃな。

明日は、もう一つの問題点「免疫機能の異常がある場合」について見ていきたい。

 
おまけ★★★★南のつぶやき

汗をかく、という行為は入浴でも得られますが、そもそも脱保湿を勧めている先生は、油分を失う恐れがある入浴については否定的な見解であることが多いようです。
確かに、高い温度での入浴は、入浴による油分の低下に加え、入浴後の水分蒸散量も上げるため、より乾燥状況を強くしますが、低温で半身浴で入浴するのであれば、少なくともじわっとした汗をかくという「訓練」はできて、また入浴後の水分蒸散量の低下も抑えられます。
それぞれの「機能」が何を意味し、何のために必要なのかも考える必要があるかもしれませんね。