【Q&A】脱保湿はアトピーに有効?(2)

今日は、昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
昨日は「バリア機能の問題」について考えてみたが、今日は「痒みを知覚する神経線維の問題」について述べてみたい。
 

●痒みを知覚する神経線維の問題

ヒトが痒みを知覚する場合、昔は、痛みを感じる「痛点」がその役割を担っていると考えられていた時期がある。
そのため、痛みと痒みはヒトにとって「近似した感覚」であるとも考えられていたのじゃが、最近では、痒みは痒みで近くするための神経が別にあることが分かっておる。

通常、痒みを知覚する神経は、その神経線維が「真皮」内にとどまり、角質層に受けた刺激をそのまま痒みとして感じることはあまりない。
じゃが、一定の条件が整うと、この神経線維が真皮から、その上にある表皮内に伸びてくることが分かっておる。

その条件が何かというと「乾燥」じゃ。

つまり、角質層内(表皮)の水分が減少することで、真皮内にとどまっていたはずの痒みを知覚する神経線維が、表皮内に侵入し、角質層がダメージを受けたいた場合、直接、皮膚に受けた刺激が、その神経線維を通して「痒み」として認識されることがある、ということじゃ。

アトピー性皮膚炎の場合、昔は、Ⅰ型(即時型)のアレルギーとして考えられていたことがある。
卵や牛乳、ダニやほこりが主な原因として考えられていた時期じゃな。
ところが、その後、Ⅰ型だけでは説明がつかない症状が増え、その後、Ⅳ型(遅延型)のアレルギーではないか、あるいはその両方が混じった状態ではないか、などいろいろな説が出ておった。

そして、最近では、アトピー性皮膚炎の病態の中に、アレルギーだけでは説明出来ないことが確認されたことで、この皮膚の機能の異常状態からくる原因が新たにクローズアップされてきた、ということがある。

最近では、TGFβやフィラグリンなど、さまざまな素因が最近では研究されておるが、いずれにせよ、皮膚の何らかの異常状態が「アトピー性皮膚炎」として認識されておることは確かじゃろう。

ここで一つ勘違いしてはいけないのが、アトピー性皮膚炎という病態自体を考えた場合、「アレルギーが原因(厳密には、アレルギーというよりIgE抗体による炎症)」や「皮膚の機能異常が原因」など、単一の原因のみで考えないことじゃ。
多くのアトピー性皮膚炎の病態は、その両方を混合して現わしていることが多い。
もっとも、アレルギー反応の結果、掻き壊しが生じ、その結果、角質層に異常をきたしたことをきっかけに、皮膚の機能異常が加わる、ということも多いように感じる(特に、子どもの場合は、この傾向が強いようじゃ)。
いずれにせよ、痒みの神経線維を表皮内に侵入させてしまうような条件が整うことが、アトピー性皮膚炎として要因を形成しておることは確かじゃろう。

では、この痒みを知覚する神経線維を元の真皮まで戻すにはどうすればよいのか?というと、角質層内の水分を保持した状態、つまり皮膚の乾燥状態をなくすことが必要になる。

少し話が横にそれるが、アトピー性皮膚炎の治療として用いられておる「ステロイド剤」「プロトピック軟膏」などの薬剤は、元々、痒みを抑える薬剤ではなく、炎症を抑える薬剤じゃ。
IgEによる免疫反応の結果生じた炎症を抑えることで、炎症から生じる痒みが抑えられる、ということなのじゃが、逆に考えると、炎症が生じていなければ、「痒みを抑える」という効果も得られにくい、ということになる。

この痒みの神経線維が関わる「痒み」も、炎症から生じる痒み、というものではなく、痒みを知覚する神経線維が受けた刺激により痒みが生じた結果、「掻く」ということで「炎症が生じる」ということじゃ。
当然、炎症に対してステロイド剤は効果を有するため、二次的に生じた痒みは抑えられるが、大元も痒みを知覚する神経線維そのものに直接作用しておるわけはないから、皮膚の乾燥が主要因となるアトピー性皮膚炎の人には、あまり効果がみられにくい、あるいは、最初はIgEによる炎症から生じた痒みが強い人で、その後、掻き壊しによる皮膚機能の異常状態を招いた方の場合、前者(免疫反応による炎症)には効果的に作用しても、後者(痒みの神経線維が刺激を受ける)には効果的ではなく、最初はステロイド剤が良く聞いていたが、やがて効かなくなってきた、という一因にもつながってくることがある。

そして、「痒みの神経線維の問題」を解決するため何が必要かと言うと、痒みを知覚する神経線維を真皮内に留められるように角質層内の水分保持をしっかりと行うことが必要、ということじゃ。

では、昨日とりあげた「バリア機能の異常状態」そして今日書いた「痒みの神経線維の問題」に、どのように対処しなければならないのか、というとそれが「スキンケア」になる。

明日は、このスキンケアの必要性と、脱保湿との関わりを述べたい。

 
おまけ★★★★東のつぶやき

今日、博士が取り上げた痒みの神経繊維の問題については、あとぴナビの特集でも取り上げていますので、詳しくはそちらをご覧ください。

●かゆみのメカニズムとアトピー
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=chishiki&c2=2&c3=1