「保水」と「保湿」の違いとは?

こんにちは。南です。

 

 

 

 

 

 

 

 
さて、相談ダイヤルにご相談いただく中で、ときどき「保水」と「保湿」の意味合いを混同されている方がおられます。
一般的なスキンケアアイテムが「保湿剤」と呼ばれることもあるため、スキンケア=保湿、というイメージをもたれる方が多いようです。
そこで今日は、「保水」と「保湿」の違いについて少し述べてみたいと思います。

まず、一般の方がイメージする「保湿」とは、どちらかというと「スキンケア全般」として捉えているように見受けます。
文字が現わす意味で見ると、「保水」とは「水分を保持する」、「保湿」とは「湿潤を保持する」という意味合いではないでしょうか?
したがって、お肌の潤い、という観点からみると「保湿」を広義の意味で考えたスキンケアとして捉えることは特に問題はありませんが、アトピー性皮膚炎の方の場合、皮膚機能の異常状態があると、もう少し細部にスキンケアを考えていかないと、適切なスキンケアが行えていない、ということが生じてきます。

角質層の機能を考えた場合、アトピー性皮膚炎の人が考えなければならないのは、角質層内の水分の保持、というところにあります。
これは、角質層内の水分が減少すると(乾燥した状態になると)、通常、痒みを知覚する神経線維は、角質層の下にある真皮内にとどまっているはずなのに、角質層が乾燥することでこの神経線維が角質層内に伸びてくることが分かっています。
角質層内に痒みを知覚する神経線維が伸びてくると、表皮に対する少しの刺激が、直接、痒みを知覚させることにつながることがあります。
アトピー性皮膚炎の痒みをもたらす原因は、免疫反応の結果生じる痒みと(免疫機能の異常状態)、この痒みを知覚する神経線維が関わる痒み(皮膚機能の異常状態)の二つがあるとされており、前者は炎症(免疫反応により生じる)の結果、痒みを感じることになりますので、炎症を抑える薬剤であるステロイド剤が効果的に働きますが、後者は、痒みを感じて掻くことで炎症が二次的に発生するため、ステロイド剤はこの二次的な炎症には有効でも、痒みの神経線維が関わる痒みには効果的に働くことができません。

少し話が横にそれましたが、このように、アトピー性皮膚炎の乾燥した肌のケアとして必要な「要素」は、まず角質層にどのように水分を「留めるのか」ということにあります。
そこで大切なのが、まず角質層に水分を与えること、そして次に角質層に与えた水分を維持させるようにすることの二つです。
前者が「保水」、そして後者が「保湿」ということになります。

乾燥した皮膚に対して必要なのは、まず「十分な水分を与えること(保水)」を行い、次に、「水分の蒸発を抑え角質層内に水分を留めること(保湿」を行うことが大切です。
もし、「保水」を行わずに「保湿」だけを行ったらどうなるでしょうか?
例えれば、乾いた地面をシートで覆うようなもので、もとの地面に水分がなければ潤うことは難しいでしょう。
逆に、保水だけ行って保湿を行うとどうなるかと言うと、乾いた地面に水をまいただけでは、やがて水分は蒸発してしまうでしょう。
乾いた地面に水をまいて、その上からシートで覆うことで、はじめて水分を一定時間、地面に留めることが可能になる、ということです。

一般的に医師が行う治療で用いる「保湿剤」とは、親水軟膏などワセリンをベースにしたものが多く、これらは、角質層の水分を維持させる「保湿」の働きはできますが、水分そのものを与えていないことが一つの問題になります。
アトピー性皮膚炎の場合は、乾燥対策に対するスキンケアとして考える場合には、「水分を与える保水」と「水分を保持させる保湿」を上手にバランスよく行う必要があるということです。

相談の中で、多くみられるのは、「保湿」はできていても「保水」ができていないケースです。
「保水」の役割、「保湿」の役割を考え、自分の肌に「何が足りないのか」、そして「何を与えないとダメなのか」を把握してから、自分に「あった」スキンケアを行うようにして欲しいと思います。

 
おまけ★★★★中田のつぶやき

ワセリンや親水軟膏など油分をベースにしたもの(一般的に半透明のもの)は「保湿」の役割は果たせますが、水分を含まないため「保水」の役割は難しくなります。
クリームなど(特に色がついていなければ一般的に白い状況のもの)油分と水分を乳化させているため、保水と保湿がバランスよく行えます。難点は、ワセリンと比べると、保湿の力が弱いことでしょうか。
ローションや乳液(水分系のアイテム)などは、保水はできますが、油分が含まれていない、あるいは少ないため、保湿の効果が見込みづらくなります。
このようにアイテムごとの特性を把握して、自分の肌に合わせたスキンケアを行うようにしていきましょう。