アトピーを考察する(ステロイド剤・5)

こんにちは。南です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
昨日までで、ステロイド剤の利点、そして問題点を述べてきました。
今日は、その問題点により生じるマイナス点と、ステロイド剤の治療に対してどのように考えていけば良いのか、まとめたいと思います。

ステロイド剤により生じるマイナス点は、

1.免疫抑制作用により感染症を誘発する
2.IgEの受容体とIL4の関係などで、ステロイド剤がIgEそのものを増強する
3.内分泌への影響

などがあります。
特に1と2については、アトピー性皮膚炎の症状である「痒み」を直接、悪化させる要因でもあり、ステロイド剤を使えば使うほど、アトピー性皮膚炎が悪化した状態に陥ることにもなりかねません。

ただ、これらのマイナス点は、短期使用では、ほとんど見られません。
問題になるのは、「長期連用」です。
しかし、残念ながら、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎そのものを治療していないため、病気の原因そのものを抱えたままの方の場合、症状が現れるたびに、ステロイド剤の治療を繰り返し、気が付くと、年単位で長期に連用していた、というケースは決して少なくありません。

グラフでイメージすると、ステロイド剤による「マイナスの影響」の発現率は、使用期間が長くなればなるほど、使用者に対する影響を受ける人の割合が増加してくる傾向があります。
数か月の使用者の場合は、1~2%に過ぎなくても、1年を越えると5%に、5年を過ぎると20%に、20年を越えると90%以上の人に影響がみられる、といったように使用期間と共に、影響の上昇率は増加していきます(割合は例です)。

そして、今の医師が、上手にステロイド剤をコントロールできているのかと、というと、事実上は、コントロールできているように見せかけているにすぎません。
なぜなら、病院を受診している患者ならわかると思いますが、医師の治療の基本が「ステロイド剤」もしくは「プロトピック軟膏」など、痒みを治療する薬剤に頼っているからです。
もちろん、アトピー性皮膚炎の原因がまだ全て解明されていない以上、根本的な治療、それも病院の経営の観点から言えば、「保険適用」が可能な治療が望めない、ということもあるでしょう。
でも、結局のところ、現在のステロイド剤でアトピー性皮膚炎が「治っている」と患者が感じるのは、例であげた風邪に対して解熱剤だけで、風邪そのものが治っている、少し極端な言い方をすれば、「偶然」に頼っているにすぎない点は多々あるのです。

今回のNHKの放映で、質問をいただいた「正しくステロイド剤を使えば本当に大丈夫なのか?」という答えは、もうおわかりいただけたいと思います。

痒みの治療で考えた場合、ステロイド剤は優秀な薬ですし、またステロイド剤を使用することで生活面から間接的にプラス面を生むことはあるでしょう。
そういった点で考えれば、短期治療に限って言えば、ステロイド剤の治療は、有効な面もあると言えるかもしれません。
ただし、繰り返し再発する痒みに対する治療としては、継続期間が長くなればなるほど、「治療のリスク」は増大しますし、何より、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎という病気そのものを治療しているわけではない以上、「アトピー性皮膚炎を治す」ことを目的に考えた場合、ステロイド剤の治療はその目的を十分に達成できる治療ではないと言えるでしょう。

ステロイド剤治療の過程における、その有効率と、マイナスの影響面を総合的に考えた臨床、そして研究がおこなわれることを望みたいところです。

 
おまけ★★★★東のつぶやき

IgEの受容体の関係は、少々、難しい話ですが、あとぴナビで専門医にうかがって特集していますので、興味のある方はご覧ください。
 
●主治医も知らない!?「IgE」とアトピーの関係
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=health&c2=1&c3=58
 
IgEの受容体が主に三つあり、ステロイド剤が、IgEそのものを増強させる恐れがあることは、免疫を研究している医師にとっては「常識」ですが、アトピー性皮膚炎の専門医は、IgEの受容体とステロイド剤の関係についてまで知らないことも多いそうです。
分野の違い、臨床(診療)と基礎(研究)の違いもあるでしょうが、こういった関係性も含めて、総合的に考えてもらうことが患者のためになるように感じます。