アトピーを考察する(ステロイド剤・4)

こんにちは。南です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
今日は、昨日に続いて、ステロイド剤治療の問題点を考えていきたいと思います。

昨日は、「免疫抑制作用の問題点」を取り上げました。
今日はもう一つの問題点「治療の目的」について述べます。

一昨日に書いたステロイド剤の利点を見た場合、一般の人は、「ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎の治療ができている」と感じるのではないでしょうか?
当然、アトピー性皮膚炎で最も辛いのは、痒みによる皮膚の掻き壊しですので、それが改善される=アトピー性皮膚炎が治療できている、と感じることになるでしょう。

しかし、治療の目的からみた場合、治療しているのは、アトピー性皮膚炎という病気ではなく、アトピー性皮膚炎により生じた「痒みという症状」を治療しているにすぎません。
両者のどこが違うのかわかりづらいかもしれませんので、よく例にとる「風邪」で考えてみましょう。

「風邪のウィルス」という病気の原因により、風邪を罹患し、「高熱」という症状が出たと仮定しましょう。
この際、熱が病気の原因ではなく、熱はあくまで風邪により引き起こされた症状で、病気の原因は風邪のウィルスに感染したこと、ということは理解いただけると思います。
では、この「高熱」という症状を「解熱剤」で下げた場合、これは、「風邪」という病気の治療でしょうか?
そう、解熱剤で熱を下げる、という治療は「症状」の治療で「病気」の治療とは異なることが分かると思います。
「風邪」を治療するためには、解熱剤の治療だけでは不十分であることは理解いただけるでしょう。

アトピー性皮膚炎の場合も全く同じです。

アトピー性皮膚炎という「病気」がまずあって、アトピー性皮膚炎により生じた体の異常状態が「痒み」という「症状」です。
いくらステロイド剤で、「痒み」という症状を治療しても、それがイコールアトピー性皮膚炎という病気そのものを治療しているわけではありませんので(仮に、発症の原因が先日のNHKで言っていたFLGという遺伝子の欠損にあるとしても、ステロイド剤が遺伝子を治療してくれるわけではありません)、大元の病気の原因を解消させない限り、いつでもその病気によって生じる「痒み」という症状は再燃することになるでしょう。

解熱剤で「治せる」のは「高熱」という「症状」だけで、「風邪」という「病気」を治せるわけではないのと同じで、ステロイド剤で「治せる」のは「痒み」という「症状」だけで、「アトピー性皮膚炎」という「病気」を直接治すことはできないのです。

もちろん、解熱剤を使っている間に、自分の治癒力で風邪が治った、というケースがあるように、ステロイド剤で痒みを抑えている間に、自然とアトピー性皮膚炎が治った、というケースもあるでしょう。
でも、ステロイド剤は、間接的に良い影響を与えることはできても、直接病気そのものを治す力は持っていないのです。

なぜ、この「治療の目的」を強調するのかというと、これを理解していないと、ステロイド剤の「長期連用」という、最もステロイド剤のマイナス点を受けやすい状況に陥りやすいからです。

では、どのようなマイナス点があるのでしょうか?
続きは、明日、述べたいと思います。

 
おまけ★★★★南のつぶやき

ステロイド剤の治療を最大限に生かすことを考えた場合には、本当なら、アトピー性皮膚炎という病気そのものの治療を並行して行うことが大切でしょう。
ただ、残念ながらステロイド剤を使用して痒みが落ち着くと、病気そのものが治ったと「勘違い」してしまい、それまで続けていた生活の負荷(睡眠不足、代謝不足など)の改善に目を向けにくくなることがあります。
風邪の例でいえば、薬で熱や咳、だるさを抑えて楽になって、無理に仕事をしたらどうなるでしょうか?
風邪そのものが治癒していなければ、さらに悪化することになるでしょう。
症状の治療と病気の治療を分けて考えなければならないのは、こういったところにもあるのです。