アトピーを考察する(ステロイド剤・3)

こんにちは。南です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
きょうは、ステロイド剤の3回目です。

昨日は、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎に対して、「どのような役割を担っているのか」、そして「どのような利点があるのか」について考えてみました。
今日は、利点の裏に潜む問題点について考えてみましょう。

利点に対しる問題点で考えた場合、大きく分けると二つ考えられます。

その一つが、「免疫抑制作用」の部分です。

ステロイド剤がアトピー性皮膚炎に対して「有効」に働く、つまり「痒みを抑えられる」というのは、これまで述べたように、免疫を抑制する作用によります。
しかし、この免疫を抑制する作用は、アトピー性皮膚炎の痒みを生じさせる抗原抗体反応のみをターゲットに働いてくれるわけではありません。
ヒトが有する免疫機能は、ヘルパーT細胞という司令塔により管理されており、大まかに十数種類のヘルパーT細胞が見つかっています。
アトピー性皮膚炎などアレルギーに関与するといわれているヘルパーT細胞は、2型(Th2)と考えらています。
それに対して、細菌やウィルスに対応するための免疫は主に、1型(Th1)が関与しているといわれています。
そして、ステロイド剤が持つ、免疫抑制作用は、このアレルギーに関与するTh2だけを抑制するのではなく、免疫全体を抑制しますからTh1も抑制してしまうことになるのです。

では、そこでどのような問題が生じるかというと、「易感染症」の問題です。
簡単に言うと、ステロイド剤が免疫力全体を下げることで、皮膚の感染症にかかりやすくなる、ということです。

実際、アトピー性皮膚炎の方を調査したデータでは90%以上の人が、黄色ブドウ球菌、ヘルペスなど、何らかの感染症にかかっていることが分かっています。
もちろん、掻き壊しなどにより、皮膚のバリア機能が低下していることで感染症にかかりやすくなっている、という部分もあるでしょうが、ステロイド剤が持つ免疫抑制作用により、感染症を誘発している部分もあります。

ステロイド剤を使用していたとしても、その効力は永久に続くわけではなく、一定時間で効力が失われます。
当然、効力が失われる=免疫機能が回復しようとする、という体の復元力が働きますので、感染症にかかっていた場合には、その時点で、感染症に対するTh1の免疫反応が生じることになります。
免疫反応=炎症反応ですから、炎症を生じさせるために必要な化学伝達物質が、連鎖的に周囲を刺激、アトピー性皮膚炎などアレルギー反応を生じやすい方の場合は特に、痒みを伴う炎症が誘発されやすくなります。

つまり、ステロイド剤でアレルギー反応の本体そのものを抑えていた、と思っていたら、感染症を逆に誘発し、側面から新たな痒みを生じさせてしまう危険があるのです。

もう一つの問題点は「治療の目的」です。
長くなるので、続きは明日にしたいと思います。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

感染症は、長期にわたってアトピー性皮膚炎に悩んでいる人にとって、大きな問題といえよう。
現在、アトピー性皮膚炎の治療に使われる薬剤は、「ステロイド剤」と「プロトピック軟膏」の二つが中心となるが、いずれも免疫抑制作用により痒みを抑える効果を出している以上、皮膚の免疫力を低下させる問題点は受けてしまうからじゃ。
特に感染症にかかった場合、さらに強いステロイド剤の処方を受けるケースも少なくないようじゃが、これは炎症による掻き壊しそのものを抑えても、感染症そのものはさらに悪化させるリスクがあるので、十分な注意が必要じゃ。
感染症にかかっている人は、特に注意して欲しいと思う。