アトピーを考察する(ステロイド剤・2)

こんにちは。南です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
今日は、昨日の続きです。

ステロイド剤が、アトピー性皮膚炎の治療に不可欠な要因かどうかについて考える前に、まず、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎に対して、「どのような役割を担っているのか」について考える必要があります。

ステロイド剤は、体内の副腎皮質から放出される「糖質代謝ホルモン」「塩類代謝ホルモン」「性ホルモン」の中の「糖質代謝ホルモン」を化学的に合成した薬剤です。
糖質代謝ホルモンの働きは、生理作用として「糖質の代謝」そして「ストレスへの対応」という主な役割があり、二次的な作用として「抗免疫作用」、つまり「免疫抑制作用」を有しています。
ステロイド剤は、この「免疫抑制作用」を期待して作られた薬剤です。

アトピー性皮膚炎の主な症状は「痒み」ですが、この痒みの一部は皮膚下で生じた免疫反応による炎症から生み出されています。
そこで、皮膚下で生じる免疫反応そのものをステロイド剤が持つ、免疫抑制作用で抑え込むことで、炎症を生じさせないようにする=痒みが生じない、ということにつながっていくわけです。

皮膚は強い復元作用を持っています。

先日、宇宙飛行士・古川聡さんが、元気に地球に帰還しました。
古川さんは前職が医師でしたので、宇宙ステーションでさまざまな医学的な研究も行っていました。
その中に、「足の裏」の研究がありました。

宇宙では、無重力ですので、地面に足を常につけているという行為が必要ありません。
そのため、足の裏の固くなった角層が剥けて、柔らかい状況に戻っていく、というのを映像で撮っていました。
古川さんは「赤ちゃんのような皮膚」と表現されていたようです。
皮膚の本来の姿は、柔らかい弾力を持った状態が普通であり、それは「足の裏」であっても柔らかい状態が普通で、私たちは、常に足を地面につけて生活しているため、体重を支えて圧力を受ける足の裏の皮膚が損傷しないよう固く厚くなっている、ということです。
そして、今回の映像を見る限り、皮膚自体は、常に「柔らかい状態」に復元しようとしている、といえるでしょう。

掻き壊した状態の皮膚も同じで、掻き壊しを復元しようと常に皮膚は働いていますが、復元する速度よりも掻き壊す速度の方が早いため、アトピー性皮膚炎の炎症が生じた状態が継続している間は、肌の異常状態が続くことになるわけです。

何が言いたいのかというと、ステロイド剤は、炎症を抑えることで痒みを抑える、という治療自体は、掻かないことで皮膚の復元力が最大限に働き、元のバリア機能を保った肌に戻すことができる、という最大の利点を持っている、ということです。

古川さんの足の裏が、何日で赤ちゃんのような肌に戻ったのか、日数までは触れていませんでしたが、さほど長い日数ではなかったのでしょう。
傷を作っても、かさぶたになって元の状態に戻るまで数日から一週間ほどであることを考えると、ステロイド剤を使用することで、痒みを抑え、皮膚の復元力を最大限に生かす状態にできれば、短期間で「元の状態に見える」肌にすることは簡単でしょう。

このようにステロイド剤には「掻かないことで皮膚の再生力を生かす」という大きな利点があります。
もう一つの利点は、同じように「痒みがないことで、生活の支障がなくなる」ということもあります。
例えば、夜、痒くて眠れなかった人が、ステロイド剤を使用することで痒みを抑えられれば、夜の睡眠がしっかりとれることになり、内分泌や自律神経の働きにも良い影響を与えることができます。

このようにステロイド剤には、「痒みを抑える」ことで、いくつかの大きな利点がありますし、アトピー性皮膚炎の治療に不可欠な要因のように思えるでしょう。
でも、ステロイド剤には、利点ばかりがあるわけではありません。

続きは明日にしたいと思います。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

昨日のフィラグリンの話じゃが、ステロイド剤を使うことで肌がきれいになっていくのは、南君が今日書いたように、皮膚自体が持つ再生力のおかげであって、ステロイド剤の働きではない。
もしフィラグリンが皮膚を健全に構成するための「最大要因」とするならば、ステロイド剤で痒みを抑えても、皮膚の再生そのものに支障が生じた状態になるわけじゃから、きれいな肌に戻るのは困難じゃろう。
そういった面でも、フィラグリンがアトピー性皮膚炎を決定づけている最大要因でないことは分かってもらえるじゃろう。
おそらく、こういった報道があると、フィラグリンを重視した「治療法」が、いくつも出てくると思うが、その治療は「アトピー性皮膚炎患者」の全てに有効とはなりえないことを(フィラグリンが関与していない人には影響を与えない)知っておいた方がよいじゃろうの。