アトピーを考察する(ステロイド剤・1)

こんにちは。南です。

 

 

 

 

 

 

 
今日から、時々、アトピー性皮膚炎に関するさまざま事項について、考察を行ってみたいと思います。
まず、最初に今日は「ステロイド剤」について考えてみたいと思います。

先日、NHKのスペシャル番組で、アトピー性皮膚炎を取り上げていました。
アトピー性皮膚炎の主な原因は、FLGという遺伝子の欠損により「フィラグリン」が作れないことで、角質層に「ほころび」が生じ、肌のバリア機能が低下し、そこからダニなどのアレルゲンが侵入、アレルギー反応が生じるということでした。
そこで、まずは肌のバリア機能を回復させるため「ステロイド剤」を正しく使いましょう、ということでした。
また、ステロイド剤を怖がって正しく使わないことが問題であり、適切な専門医を受診することが大切である、ということでした。

あとぴナビにも、放映後、「正しくステロイド剤を使えば本当に大丈夫なのか?」という問い合わせが何件かありました。
では、本当に、アトピー性皮膚炎を治療していく上で、「ステロイド剤」は不可欠な要因なのでしょうか?

これまでブログを読んでいただいた方なら、気づかれているかもしれませんが、今回の放映の内容そのものにおかしなことがあることが分かるでしょう。

それは、仮にFLGという遺伝子の欠損が原因でフィラグリンの生成が行えず、肌のバリア機能を失っている状態が、アトピー性皮膚炎を発症する大きな要因とするなら、これを治療するためには、「フィラグリン」の生成が不可欠になる、ということです。
ステロイド剤で一時的に皮膚のバリア機能を回復させても、もともとフィラグリンが作れないならば、いつ再発してもおかしくはありません。

もちろん、FLGの欠損、という状況はアトピー性皮膚炎に大きく関わる要因かもしれませんが、実際、あとぴナビでは、再発なく長期間、治癒した状態を継続できている方は大勢います。
本来、皮膚の角質層を健全に維持させるためには、フィラグリンのみが単独で行っているわけではありません。
セラミドなども、そういった要因の一つですし、複合した要因が絡み合うことで、お互いが補完し合っていると言えるでしょう。
つまり、FLGが欠損している人は、バリア機能がいつでも低下した状態になるかというと、そうではないわけですから(少なくともステロイド剤で治療中には健全な状況を維持できているわけですし)、フィラグリンが生成できない=バリア機能が低下した状態、ではなく、バリア機能が低下した状態の人の中には、フィラグリンが生成できていない人がいる、ただし、セラミドが不足してバリア機能が低下している人もいるし、その他の要因でバリア機能が低下している人もいる、ということです。
逆に考えれば、フィラグリンの代わりとなる機能が皮膚にあっても不思議ではなく、実際、フィラグリンが生成されにくい人でも健康な肌状態を保てている「期間」があることを考えれば、「フィラグリン」が主役でないことは確かでしょう。
簡単にいえば、バリア機能を低下させる要因の一つに「フィラグリン」という要素が関わっているにすぎない、ということですね。

主客を誤って説明することで、全体の中の一部に過ぎない事象を、一部が全体と等しいと認識させてしまうことは非常に危険とも言えます。

わかりやすい例でいえば、熱は風邪をひくことで生じる症状の「一部」ですが、この熱が風邪とイコールであると説明し、解熱剤だけで風邪の治療を行おうとしている、ということです。
風邪には、咳や鼻水、倦怠感など他にも症状を伴います。
また、熱がくても風邪をひいていることもあるでしょう。
今回のNHKの放映は、病気と症状の違いを認識しづらい、一般の患者に対して、治療を正当化するために導き出したような一方通行の説明に思えてなりませんし、残念に感じます。

少し話がステロイド剤から横道にそれてしまいましたが、長くなってしまったので、本題の「ステロイド剤はアトピー性皮膚炎治療に不可欠な要因なのか?」については、明日、続きを述べたいと思います。

 
おまけ★★★★中田のつぶやき

ちなみに、フィラグリンの欠損については、あとぴナビでも以前から注目はしていました。
今年の2月に、公募で治験の募集で協力したモニターについても、TGFβとフィラグリンの関係から、ヘルパーT細胞の2型(Th2)に影響を強く与えているヘルパーT細胞の3型(Th3)をコントロールすることで症状への変化を確認することが目的でした。
フィラグリンについても、アトピー性皮膚炎の全てを形成している要因でなくても、一部に関わっている要因であることは確かですから、これからの経緯に注目したいと思っています。