【Q&A】アトピーは薬で治るの?(1)

今日は、ブログの読者の方からメールで寄せられたご質問にお答えしたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 
●Oさんからのご質問

ブログを読んでます。
小学校5年生の娘がアトピーです。
生後間もなく発症し、その後、ステロイド剤を中心に治療を行ってきました。
幼稚園の年中から年長さんにかけての頃は、症状が一時引いて、薬もしばらく使っていなかったのですが、小学校に入学後、再発しました。
その後は、ステロイド剤も効かなくなって、強いランクのものに代わっていきました。
小学校に入学後は、3回入院しており、2年ほど前から大学病院に通っています。
今年に入ってから、主治医の先生からプロトピック軟膏への切り替えを勧められていますが、副作用の情報を得て、今のところはステロイド剤で治療を続けています。
主治医の先生は、プロトピック軟膏に変えればアトピーは治りますよ、と言いますが、看護婦さんの説明では、どうやらプロトピック軟膏に変えるとステロイド剤で抑え切れていない症状も抑えられますよ、という意味合いで言っているようです。
そこで博士にお聞きしたいのですが、私は娘にアトピーと一生付き合って言って欲しくはありませんが、薬で症状は一生抑え続けることが可能なのでしょうか?その場合、皮膚は普通の肌で維持できるのでしょうか?(薬を長期間使用していると肌が黒ずんだり、厚くなったりするようなので)
また、アトピー性皮膚炎は治ることがない病気なのでしょうか?
教えてください。

 
Oさん、こんにちは。
ご質問じゃが一つずつお答えしたいと思う。

 

1.ステロイド剤やプロトピック軟膏で、皮膚を普通の状態に保ったまま、症状を一生抑え続けることが可能なのか?

 
まず、結論から言うと、肌を普通の状態に保ったまま、薬を使い続けて症状を抑え続けることは、かなり難しいと言えるじゃろう。
その理由としては二つある。

まず一つが、ステロイド剤を皮膚に塗布した場合、それが表皮から真皮に到達し、薬剤としての効果(免疫抑制作用)をもたらすためには、皮膚の受容体から吸収される必要がある。
皮膚に点在するステロイド剤の成分を吸収することに関与するための受容体は大きく分けると二つあるのじゃが、その二つの受容体はそれぞれ、ステロイド剤を長期連用することで、影響を受けることが論文で発表されておる。

まず、ステロイド剤を直接吸収する受容体は、ステロイド剤の塗布期間に比例して、受容体そのものが喪失していくのじゃ。

また、もう一つの受容体は、前述したステロイド剤を吸収するための受容体を抑制する働きを持っておるのじゃが、この受容体は、ステロイド剤を長期連用することで、逆に増えていくことが分かっておる。

つまり、ステロイド剤を吸収するための受容体は、ステロイド剤を連用してくことでその数を減らし、またステロイド剤の吸収を抑制するための受容体は、ステロイド剤を連用していくことで、その数を増やす=ステロイド剤の吸収をより抑制させてしまう、ということになるわけじゃ。

ステロイド剤を使えば使うほど、ステロイド剤を皮膚から吸収するための受容体が減り、ステロイド剤を吸収させない受容体が増える=ステロイド剤を使えば使うほど、ステロイド剤が効かなくなる、ということが起こるわけじゃな。

ステロイド剤を長期連用していくと、症状が抑えきれなくなる経験は多くの人がしておると思うが、この場合、医師は、アトピー性皮膚炎が悪化しているから弱いステロイド剤では症状が抑えきれない、と説明することが多い。
そのため、ステロイド剤を強いランクのものに変えましょう、となるわけじゃが、実は、ステロイド剤の「使い過ぎ」で、ステロイド剤が吸収できない皮膚になったからステロイド剤が効かなくなった、というケースも多い、ということじゃ。
ステロイド剤は強さのランクが変わると、成分そのものが違うことになり、構造も変わるから、皮膚から吸収するための受容体も、違う受容体が関与することになるからの。
じゃから、ステロイド剤のランクを変えることで、再びステロイド剤が効いた、と感じることがあっても、それは単に、ステロイド剤の種類が変わった=構造が変わった=皮膚から受け入れるための受容体が異なるため、ということもあり得るわけじゃ。

もちろん、実際、アトピー性皮膚炎の症状が悪化することで、使用しているランクのステロイド剤では、免疫抑制効果が十分でなくなる、ということもあるかもしれん。
じゃが、受容体が失われていることでステロイド剤が効かなくなっている場合、アトピー性皮膚炎に関与している抗原抗体反応そのものが、一定レベルのステロイド剤の免疫抑制効果で抑えきれない、と言うことではないわけじゃから、強いランクのものに変えることは、副作用と言うリスクを増やすだけに過ぎなくなる。

また、強いランクのステロイド剤に対する受容体もなくなってきた場合、どうするのじゃろうか?
また、変更した強いランクのステロイド剤の構造が元のランクのステロイド剤に似ていた場合、受け入れる受容体も同じことが考えられ、せっかく強いランクに変えても、吸収されない=免疫抑制効果を発揮できない=症状が抑えられない、ということになり、さらに強いランクの薬に・・・・というように行きかねない。

このように、ステロイド剤は、皮膚の構造上、受け入れるための受容体に影響を与えるため、長期間連用することで効かなくなることがあり得る、ということじゃな。

もう一つの理由については、長くなるので、続きは明日じゃ。

 
おまけ★★★★東のつぶやき

ステロイド剤の長期連用により、皮膚の受容体に影響を与えることは、かなり昔から分かっていました。
あとぴナビの特集でも取り上げていますので、ご覧ください。

●ステロイド剤でアトピーは治せない
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=health&c2=1&c3=47