ステロイド剤の受容体についての論文

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 
昨日のメルマガで、少し触れましたが、先日、ある先生にお会いした際に、昨年と今年に出た二つの新しい論文をいただきました。
内容はいずれも、皮膚に存在する、ステロイド剤に対する受容体に関するものでした。

ステロイド剤を皮膚に塗布した際に、抗炎症効果(痒みを抑える効果)をもたらしますが、これは、皮膚の表面のどこからでも吸収されているわけではありません。
皮膚には、ステロイド剤に限らず、皮膚に吸着した(塗布した)物質を体内に取り入れるための、受容体が存在しています。
ステロイド剤の場合には、大きく分けると二つの受容体があることが分かっています。
それぞれの受容体を、A、Bと仮定すると、Aの受容体は、直接ステロイド剤を吸収する働きを持っており、Bの受容体はAの受容体の働きを抑制する働きを持っているそうです。

一つの論文は、ステロイド剤の長期塗布により、Aの受容体が少なくなってくることが示されていました。
これについては、以前、同様の論文がすでに発表されており(受容体の特定は行われていませんでしたが)、あとぴナビでも紹介しておりますので、興味のある方はご覧ください。

 
●ステロイド剤でアトピーは治せない
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=health&c2=1&c3=47

 
もう片方の論文は、同じくステロイド剤の長期塗布により、Bの受容体が活性化する、つまりAの受容体を抑制する=ステロイド剤の吸収を、間接的に阻害することを示している内容でした。

いずれにせよ、ステロイド剤の長期連用により、ステロイド剤の「働き」を、抑制する可能性を示していることになります。

アトピー性皮膚炎の治療において、ステロイド剤で症状が抑えられなくなってきたときに、医師から、「症状が悪くなったのは、アトピー性皮膚炎が悪化したので、弱いステロイド剤では抑えきれなくなったからです。一時的に、強いステロイド剤に変えましょう」といわれたことのある方は、多いと思います。
しかし、このように受容体に影響を与えた結果、ステロイド剤の「効き目」を、悪くしているのであれば、副作用など影響が大きい強いステロイド剤に変えることは、リスクも相応に大きいと考えられます。
また、医師の説明においては、「強いステロイド剤に変えるのは症状が落ち着くまで、一時的の間だけ」ということなのですが、実際には、受容体に影響を与えていた場合、受容体の回復には長期間かかることが多いため、強いステロイド剤で症状を抑られたとして、その後、元の強さのステロイド剤に戻した場合には、元のステロイド剤を体が「受け付けない状態」であることに変わりはなく、症状は再び悪化しやすいと考えられます。

もちろん、ステロイド剤の受容体とは関係なく、本当にアトピー性皮膚炎の症状が悪化しているケースもあると思いますが、こういった受容体が関係している場合に、ステロイド剤の治療をそのまま続けることのリスクは高まることも知っておいた方が良いでしょう。

  
おまけ★★★★東のつぶやき


今回の、ステロイド剤の受容体とアトピー性皮膚炎の関係については、専門の先生、あるいは論文を発表された先生を取材して、いずれあとぴナビの特集で紹介したいと考えています。
ただ、現在、ステロイド剤を使用中の方で、「効き目がなくなってきた」と感じた場合、この受容体の問題が関係している可能性があることも忘れないようにしましょう。