新聞の記事より(3)

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 
今日は3回目です。

 
●医療ルネサンス 続・アトピー性皮膚炎 3/5
ステロイド20年、不信強く
(読売新聞  2011.4.21)
 

いくつもの病院でステロイド(副腎皮質ホルモン)の塗り薬を中心とした標準的な治療を受けても治癒に向かわず、治療を諦める患者も少なくない。
大阪府内に住む男性(29)は、9歳からアトピー性皮膚炎に悩まされ、5か所の医療機関を転々としてきた。
発症当時は肘の内側付近に軽い湿疹ができた程度。ステロイドの塗り薬は、かゆみがある時に塗るように指導された。
良くなったり、悪くなったりする状態を繰り返してきたが、そのうち炎症の範囲は広がり、大学時代には5段階あるうち、上から2番目の強さのステロイドの塗り薬を使うようになった。
男性は25歳の時に兵庫県内で消防士に採用され、2007年秋に消防隊に配属。ところが、ほどなくして症状が悪化した。消防署内で猛烈なかゆみに襲われ、全身をかきむしりたい衝動に駆られるほどだった。仕事のストレスが影響したとみられた。
08年4月に受診した近所の皮膚科診療所は「アトピー性皮膚炎が急激に悪化する『急性憎悪』の状態」と診断。それまでの、中程度のステロイドの塗り薬に加え、飲み薬も処方された。1週間ほどで赤みが薄れ、かゆみも和らいだ。引き続き、塗り薬と飲み薬を併用していたが、冬になると、全身が赤くなり、薬が効かなくなりはじめた。寝ている間にかきむしった皮膚がシーツを覆った。
10年春にはステロイドの治療への不信から、2リットルで1万円もする飲料水など、アトピーへの効用をうたう高額の飲食物や塗り薬も試した。効果はなかった。
そんな時に、ステロイドの塗り薬や皮膚の乾燥を防ぐ保湿剤を使わない治療を掲げる関西地方の病院を知り、1か月半入院した。
現在は月1回の通院。食事や運動などの生活指導が中心だが、今も体全体に赤みやかゆみが残る。起床時など1日に5~6回はかゆみが襲い、症状は良くなっていない。男性は「20年間もステロイドで治療してきたが、薬が徐々に効かなくなり悪化するだけだった。二度とステロイドは使いたくない」と話す。
男性への治療法について、九州大皮膚科教授の古江増隆さんは「アトピー性皮膚炎にステロイド剤を使う場合、飲み薬は塗り薬よりも副作用が強く、効き目も弱い。男性は急激に悪化した時点で、入院して通常の処方量よりも塗り薬を増やすなど、しっかりした治療が必要だった。それで効果が不十分な場合は免疫抑制剤の飲み薬や紫外線療法を併用すべきだ」と指摘。その上で、「生活指導だけで自然に治癒するのはごく一部にすぎない」と懸念する。

 
おそらく、医師の治療における結果の認識と、患者の治療における結果の認識が、ここでは問題なのかもしれません。
今の日本皮膚科学会では、アトピー性皮膚炎の治療の「終着点」を次のように考えて治療しています。

 
 
アトピー性皮膚炎治療の考え方
(日本医事新報 NO.4447(2009年7月18日)より)

【要旨】
アトピー性皮膚炎の治療は、「1 増悪因子の検索と除去」「2 スキンケア」「3 薬物療法」の3つの柱からなる。外用療法では、その使用法や使用量について、より具体的で分かりやすい説明を行うことが治療のコンプライアンスを高める上で重要である。

【はじめに】

(省略)
1.治療の目標

治療の目標は患者を、次のような状態に到達させることにある。

・症状はない、あるいはあっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない
・軽微ないし軽度の症状は持続するも、急性に悪化することは稀であり、悪化しても遷延することはない。

  
このように、症状がある程度、あってもコントロールできていれば良い、とする「終着点」です。
もちろん、アトピー性皮膚炎は、いったん治癒しても、原因となる体に負荷を継続する生活を繰り返せば当然、再発もあり得ます。
したがって、「コントロール」するという考え方自体は、それで良いのですが、問題はそこに至る過程、またその後のコントロールの主体が「薬物」で行おうとしていることです。
アトピー性皮膚炎は、必ずしも薬物の悪影響を受けるわけではありません。
使用期間が短ければ、特に深刻なダメージを受けることは少ないでしょう。
しかし、悪影響は使用期間が長くなればなるほど、リスクは不可逆的に増大していきます。

患者が望む「終着点」は、アトピー性皮膚炎が「治る」ことであり、そこには薬物の使用を継続することによる「リスク」が続くことを望んでいるわけではありません。
ステロイド剤がアトピー性皮膚炎を「直接治せない」以上、補助的に治療で関わっていくべきであり、主体となる「治療」も、本当は同時に行うことが大切ではないでしょうか?

 
おまけ★★★★東のつぶやき

ステロイド剤を長期連用していると、少しずつ「効かなく」なることを体験したことのある患者の方は多いと思います。
医師は、その原因を、アトピー性皮膚炎の症状が悪化したので、今までのランクのステロイド剤では症状が抑えきれなくなった、だから強いランクのステロイド剤に変えましょう、と説明することが多いようです。
しかし、ステロイド剤は、長期連用することで、皮膚が受け入れるための受容体が消失、そのために効かなくなる、という研究結果もあります。
また、長期連用したステロイド剤は、皮膚に蓄積して、影響を長期間にわたりおよぼす、というデータもあります。
その他、ステロイド剤の使用が逆にアトピー性皮膚炎の症状に関わるIgEを増強させてしまう、という研究結果もありますから、長期連用して疑問に感じる患者は、そういった情報も知っておいた方がよいかもしれません。
詳しくは、下記の特集をご覧ください。

●主治医も知らない!?「IgE」とアトピーの関係
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=health&c2=1&c3=58