新聞の記事より(2)

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
今日は、昨日の続きです。

 
●医療ルネサンス 続・アトピー性皮膚炎 2/5
処方薬知らずに副作用
(読売新聞  2011.4.20)
 

アトピー性皮膚炎の治療で地元の皮膚科診療所に通院してきた福島市の主婦(50)は、鼻の下にできた湿疹と赤いシミが半年間で、唇の周りからほおにまで広がっていた。ヒリヒリと痛み、夜もまともに眠ることができない。人目が気になるので、外出時にはマスクが欠かせなくなった。
2か月後、知人に紹介された福島赤十字病院(同市)を受診した。皮膚科部長の元木良和さんは、「酒さ様皮膚炎」と診断した。酒さ様皮膚炎は、ステロイド(副腎皮質ホルモン)治療の副作用の一つだ。
アトピー性皮膚炎の一般的な治療は、症状に応じてステロイドの塗り薬の量や強さを徐々に減らし、最後は保湿剤だけで皮膚の状態を維持することを目指す。
だが、この主婦のように、長期間、量も強さも減らさないなど、不適切に塗り続けることで患部の皮膚が薄くなり、毛細血管が拡張して酒さ様皮膚炎は起きる。中高年の女性に多い。
それまで治療を受けてきた地元の皮膚科診療所は、酒さ様皮膚炎の症状が出ても「顔用」とシールが貼られた容器に入った塗り薬を院内処方した。容器には薬の成分表示もなく、薬効や副作用などを記した文書も渡されなかった。主婦は「診療所は治療にステロイドを使っていることを一度も説明しなかった」と話す。
元木さんは「地元の診療所は、アトピーの治療にステロイドが必要と判断して処方し続けたのかもしれない。だが、酒さ様皮膚炎にはステロイドを中断することが必要だ」と指摘する。
主婦はステロイドの不適切な処方で酒さ様皮膚炎を招いたことや、その後の不十分な説明に納得できず、長年通院した皮膚科診療所を今年2月に訪ねた。医師は「ステロイドだけではなく、日頃の疲れやストレスも関係があると思っていた。漢方薬も併用して良くなると思った」と話した。
現在、福島赤十字病院で治療を受けている主婦は、ステロイドは使わず、入浴後に保湿クリームを患部に塗っている。顔に出ていたアトピー性皮膚炎の湿疹も治まり、赤みや痛みなどは徐々に薄らいでいる。
主婦は「薬や病気について、もっと早く、きちんと話してもらえていたなら、ここまでひどくならなかったのではないか」と悔やむ。
藤田保健衛生大学皮膚科教授の松永佳世子さんは「患者の疑問に対し、医師は症状や薬の使い方などを具体的に説明し、治療の見通しも明確に示すのが当然だ。症状が悪化して対応が難しくなったら、速やかに他の病院を紹介すべきだ」と指摘する。

 
記事中に「アトピー性皮膚炎の一般的な治療は、症状に応じてステロイドの塗り薬の量や強さを徐々に減らし、最後は保湿剤だけで皮膚の状態を維持することを目指す」とありますが、この文章を読むと、患者は、ステロイド剤を使用することで少しずつアトピー性皮膚炎がステロイド剤のおかげで「治ってきて」、やがてステロイド剤を使わなくて済むようになる、と捉えるでしょう。
ですが、昨日、博士がおまけで書いたように、ここで症状が良くなってきたとして、それがアトピー性皮膚炎そのものが軽快してきた、という意味で捉えるならば、それはステロイド剤によりもたらされたのではなく、あくまで自分の体が、炎症(痒み)を作り出さなくなった、という結果に過ぎません。
多くのアトピー性皮膚炎は、その原因が一過性であることが多く、自然軽快しやすいことは確かです。
しかし、その原因とは、体の免疫機能の低下や、皮膚の水分保持機能の低下といった、日常生活内において生じたものが中心となり、きっかけは、睡眠不足、運動不足、栄養バランスの乱れ、化学物質の摂取など、日常生活内に潜んでいます。
アトピー性皮膚炎を治す=皮膚を治す、と医師も患者も考えがちですが、本当はアトピー性皮膚炎を治す=生活、生活環境を治す、ということが大切であると言えます。

症状を抑える治療は、決して無意味ではありませんが、少なくとも症状を抑える治療が原因を抑える治療と等しくない場合においては、原因を解消できる行動が、病気の治癒には必要だと言えるでしょう。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

患者の疑問とは、自らの体験により生み出されておることが多い。
もちろん、その疑問の中には、治療の過程において生み出されてしかるべきようなものもあるのじゃが、繰り返し生じる疑問の場合には、元の治療の問題点も本来、考えていくことが必要なこともあるじゃろう。
インフォームドコンセント(説明と同意)は、今の医療においては、大切なこととされておるが、医師が考えるインフォームドコンセントと、患者が考えるインフォームドコンセントが、必ずしも同一でないことを、医師も患者も考えて欲しいと思う。