アレルギーの反応と「アレルギー」

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
アトピー性皮膚炎や花粉症、ぜんそくは、アレルギー疾患として広く認識されていますが、その病態を考えた場合、必ずしも、「アレルギー反応」を伴わない場合もあります。

先日、Webでアレルギーに関する記事を見つけました。

 
●アレルギーの名を冠されていても…
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110529-00000000-rnijugo-ent
 
食物、金属、花粉、ペットなど、僕たちの生活空間にある様々なものが原因となりうるアレルギー。例えば、セーターなんかを着た時にたまに感じるあのかゆみも、アレルギーと関係してるのでしょうか?

「衣類では、クロムという金属を使ってなめした革製品はクロムアレルギーを引き起こす可能性があります。しかし現在、衣服の材質によるアレルギーで解明されているのはそれくらいです」

そう語るのは国立成育医療研究センター免疫アレルギー研究部部長の斎藤博久氏。ではウールや合成繊維のニットを着た時にたまに感じるあのチクチクは…。

「皮膚が敏感な人は、硬い素材や毛羽立った素材を身につけた時、かゆみを感じることがあると思います。しかしこれは皮膚への直接刺激であり、免疫と関係するアレルギー反応とは別のものです。少なくとも現段階ではウールも合成繊維も、アレルゲンとは考えられていません」

ちなみになんですが…。太陽の光や雪にもアレルギー反応が起こる人がいると何かで見たことがあるんですが。それは?

「それもアレルギーではありません。日光アレルギーという言葉はよく使用されていますが、これは紫外線などによる皮膚傷害をアレルギーと思い込んでのことでしょう。雪のアレルギーというのは、おそらく寒冷刺激によるじんましんのことだと思いますが、これもやはりアレルギーではありません。紫外線や寒冷刺激によってじんましんが出る人は確かにいます。それらは薬剤の複合作用や遺伝的なものなど、人によって原因は様々ですが、免疫反応ではないかぎりアレルギーとは別のものなのです」

アレルギーの名を冠されていても、まったく別物なんてことがあるなんて。衣服のチクチクもそうだけど、かゆみを感じた時など、勝手にアレルギーと勘違いしてしまってることも、実はけっこうあるのかも?

 
アトピー性皮膚炎の場合、主症状は「痒み」ですが、アレルギー反応で考えた場合、痒みが起きる経路は、免疫反応→炎症→痒み、ということになります。
しかし、アレルギー反応以外にも、皮膚の乾燥による、痒みを知覚する神経線維が表皮内に侵入することで、皮膚表面への刺激を直接、痒みとして知覚する、という経路もあります。
前者が「免疫機能異常」、後者が「皮膚機能異常」と、それぞれ異なった経路による痒みが考えられています。

本来、痒みを生じる「出発点」は異なるわけですが、アトピー性皮膚炎の場合、実は、この二つの異常状態が複雑に絡み合うことが多くなります。

免疫機能の異常から痒みが生じた場合、皮膚を掻き壊すことで、表皮のバリア機能が失われ、同時に水分保持能力も低下することで、表皮の乾燥が生じます。
すると、表皮内に痒みを知覚する神経線維が侵入することになり、「皮膚機能異常」による痒みをもたらすことになります。

逆に、最初に皮膚機能の異常状態から痒みが生じた場合も、皮膚を掻くことで、皮膚下に炎症が生じます。これは、一種の皮膚の修復反応とでもいうべきものですが、炎症が生じることで、免疫反応を誘発、特にバリア機能が低下している場合には、異物が表皮内に侵入しやすくなりますから、結果的に、免疫反応による痒みを誘発することにつながっていきます。

このように、「アトピー性皮膚炎」という病名で事実上、診断がひとくくりにされていても、複数の原因が絡み合うことで病態を形成していきますから、本当はアトピー性皮膚炎、という単体の疾患で考えるより、「アトピー性皮膚炎症候群」ということで、類似の病態を示す疾患群という考え方をするべきなのかもしれません。

当然、免疫機能異常と皮膚機能異常は、原因が違いますので、治療法も異なるべきです。
ここに、ステロイド剤やプロトピック軟膏を長期連用してしまうことになる、大きな原因が潜んでいるように思います。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎の研究者の中には、アトピー性皮膚炎はアレルギーではない、という考え方を持っている医師もいる。
ただ、注意が必要なのは、アトピー性皮膚炎を「アレルギーか」「アレルギーでないか」の二者択一で全てを包括しようとすると無理が生じる、ということじゃな。
アレルギーのアトピー性皮膚炎、アレルギーでないアトピー性皮膚炎、両方の病態が存在しておるのじゃから、柔軟な対応が望まれるべきじゃろう。