「有機肥料」が「化学肥料」より危険?

月一、ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
今日は、ある化学物質に詳しい医師から情報をいただいたので、それを紹介したい。

まずは、次の新聞記事を読んでいただきたい。

 
玄米の中の「セシウム137」
「有機」が「化学肥料」の30倍  京大実験所
~1989年3月23日(毎日新聞)
   
有機農法で作った玄米には、核分裂で生じる放射能「セシウム137」が、化学肥料で育てた玄米に比べ最高30倍もの濃度で含まれていることが、京都大原子炉実験所(大阪府泉南郡熊取町)の小出裕章助手(38)=原子核工学=の22日までの研究で分かった。ソ連のチェルノブイリ原発事故などで世界的に植物の放射能汚染が進んでいることが原因という。現在の濃度では人体に影響はないが、小出助手は核実験や原発事故が続けば、「将来的に放射能の体内汚染を覚悟するか、化学肥料の危険を忍ぶかの選択を迫られることになる」と警告している。
小出助手は、セシウムがカリウムと同じアルカリ金属で、農作物に蓄積される経路などが酷似していることに着目。草木の灰や堆肥(たいひ)など有機肥料だけで作った玄米と、カリウムを主成分とする化学肥料で育てた玄米で、放射能汚染の違いを探った。
比較したのは、有機肥料で作った千葉県産の玄米 、10アール当たり20kgの塩化カリウム肥料を施した岡山県・建部町産の玄米、10アール当たり8~12kgの酸化カリウム肥料を使った同県・奥津町、上斎原村(3カ所)の計6カ所産の玄米。
いずれも、収穫の2カ月後に、セシウム137の濃度を測定、化学肥料で育てた玄米から1kg当たり1.2~4.9ピコキュリーを検出したのに対し、有機肥料を使った玄米は1kg当たり37ピコキュリーと格段に高い数値を示した。

 

22年も前の記事なので、ウェブでのリンク先がないのだが、この記事は、当時のチェルノブイリの原子力発電所事故の影響に対する調査のものだ。
これまでは一般的に、化学肥料で栽培された食物より、有機肥料で栽培された食物の方が安全とされてきた。
しかし、放射性物質は有機肥料の元となる堆肥に多く含まれやすく、そのため、福島原発事故があった、今の日本においては、今回の記事と同様に、有機肥料で栽培された食物の方が、化学肥料より「放射能」の面では危険となる可能性がある。

一般的には「有機栽培」=「無農薬栽培」、「化学肥料栽培」=「農薬栽培」というイメージが強いようだが、体に対する蓄積性、そして影響が出た際の深刻度からいうと、同じ基準値ギリギリだと考えた場合、福島原発事故前の基準値ならいざしらず、現在の放射性物質の暫定基準値と、残留農薬などの基準値では、放射性物質の方が危険だとする意見が多い。

影響の度合いは、放射性物質の方がエビデンスが少なく、不明な点が多いので、ここでは特に取り上げないが、問題となるのは、こういった情報が、これから「しっかり調査されるのか?」ということだ。

これが調査されることで「不利益」を受ける立場の人がいるため、現在の、放射性物質に対する行政の対応を見る限りにおいて、こういった情報がないがしろにされることが一番心配だ。

明確な根拠がなく基準を上げたり、数値の検査方法を「よく洗い流してから検査する」ようにしたり、こういった姿勢でいる以上、最も「利益」を受けなければならない「消費者」の立場で考えてくれるのか正直なところ不安が残る。

もちろん、有機栽培を行っている農家の人は検査結果次第では、「不利益」を受けることがあるかもしれないが、少なくとも消費する側の国民の多くは、この情報を「不要な情報」とは考えないだろう。
「被ばくには、これ以下なら安全」と言える量はないと指摘したアメリカの科学アカデミーの発表は「リスク」を、どの立場で優先して考えるべきなのかも指摘しているように思う。

 
●線量限度の被ばくで発がん 国際調査で結論
http://www.47news.jp/CN/200506/CN2005063001003768.html
 
【ワシントン30日共同】放射線被ばくは低線量でも発がんリスクがあり、職業上の被ばく線量限度である5年間で100ミリシーベルトの被ばくでも約1%の人が放射線に起因するがんになるとの報告書を、米科学アカデミーが世界の最新データを基に30日までにまとめた。報告書は「被ばくには、これ以下なら安全」と言える量はないと指摘。国際がん研究機関などが日本を含む15カ国の原発作業員を対象にした調査でも、線量限度以内の低線量被ばくで、がん死の危険が高まることが判明した。  低線量被ばくの人体への影響をめぐっては「一定量までなら害はない」との主張や「ごく低線量の被ばくは免疫を強め、健康のためになる」との説もあった。報告書はこれらの説を否定、低線量でも発がんリスクはあると結論づけた。
 

数値の検査が行われること自体が、もしかすると「風評被害」と言われるのかもしれないが、「風評被害が実は実害だった」場合には、その被害を受けるのは消費者であり、そしてその被害が「甚大」であることを忘れてはならないだろう。
もちろん、安全とされるべきものであれば恐れる必要がないことは確かである。
だが、アトピー性皮膚炎患者に対するステロイド剤やプロトピック軟膏の副作用の影響と同じく、安全とされていたものが安全でなかった場合のリスクを受けるのが「誰」なのかは常に考えておくべきだろう。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

悲しいことだが、農薬と放射性物質、どちらが安全なのか?、ということを、これからは真剣に考えなくてはならない時代が来ているのかもしれない。
ただ、一つの情報に対する「真の受益者」が「誰なのか?」よりも「誰であるべきなのか?」ということの方が大切であることを忘れないようにしたいものだ。