確率の問題?

月一、ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 
最近、ニュースで話題になっているのが、予防接種の問題だ。

 
●ワクチン同時接種後の死亡、6例目-熊本市の男児
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110310-00000000-cbn-soci

厚生労働省は3月10日、インフルエンザ菌b型(ヒブ=Hib)ワクチンとDPT(三種混合)ワクチンを同時接種した男児の死亡が9日に報告されたと発表した。ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンを含む同時接種後の死亡はこれで6例目となった。

厚労省によると、死亡したのは熊本市の1歳未満の男児。2月15日にワクチンを接種し、7日後に死亡した。男児に基礎疾患はなかった。報告医はワクチン接種と死亡の因果関係を「評価不能」としている。

厚労省が8日に開いた専門家会議では、同日までに報告された5例について、「現時点ではいずれも明確な因果関係は認められない」との意見をまとめている。厚労省は、今回報告された死亡例についても次回の専門家会議で検討する方針。

 
今回、問題となっているのは、2つのワクチンの同時接種だ。
問題となったワクチンはヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンと他のワクチンとの同時接種だが、ヒブワクチンなどの単独接種を含めると100万~150万人が摂取を受けたようで、その中で現在判明している6例の死亡例(因果関係は不明とした上で)は、0.0006%と決して高い数字ではない。

しかし、予防接種とは乳幼児のほとんどが関わってくる問題のため、これだけ慎重な対応を求められているのだろう。

 
●ワクチン同時接種:厚労省が接種見合わせ通知 県内、問い合わせ112件 /山口
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110311-00000113-mailo-l35

ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンと他のワクチンを同時接種後、乳幼児が全国で5人死亡した問題で、厚生労働省は両ワクチンの接種見合わせを自治体などに通知した。県によると、県内で接種後の副反応の報告はない。県内の医療機関でも5日から見合わせているが、各市町などに「接種したが大丈夫か」「いつ再開するのか」など問い合わせが相次ぎ、8日までに計112件にのぼった。【井上大作】
死亡したのは、兵庫県西宮市など4府県の3カ月児~2歳児。ヒブ、肺炎球菌、DPT(百日ぜき、ジフテリア、破傷風)、BCG(結核予防ワクチン)のうち2~3種類を同時接種し、1~3日後に亡くなった。厚労省の検討会は8日、「直接的な因果関係は認められないが、安全性などの情報収集が必要」と判断。接種再開を先送りした。更に10日には熊本市の男児がヒブとDPTを接種、7日後に死亡したことも判明。因果関係を調査中という。
ヒブ、肺炎球菌の両ワクチンの公費補助は1月から県内で始まり、全19市町で無料接種できる。対象は0~4歳児の約5万8000人で、12年3月まで助成が続く。
健康増進課は「状況は刻々と変わっているが、冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。一方、厚労省によると、数週間後をめどに検討会を開催予定で、少なくともその間は接種見合わせが続く。

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 <ワクチン接種見合わせの国見解(9日時点)>
Q 接種を見合わせる理由は?
A 肺炎球菌、ヒブワクチンを含む同時接種後の死亡が報告された。因果関係を評価するまで念のため一時的に見合わせることにした。
Q 子どもが最近、肺炎球菌、ヒブワクチンを接種した。大丈夫か?
A 国内で既にそれぞれ100万人から150万人に接種されたと推定され、著しい問題は生じていない。接種直後から数日以内に高熱、ぐったりしているなど、普段と異なる症状が見られる場合には医師に相談してください。
Q 見合わせはいつまで続く?
A 専門家の会議を8日に開き、現段階では接種と死亡の直接的な因果関係は認められないと評価された。外国の状況などを早急に収集し、近く改めて会議を開催する。
Q 既に1回目の接種を済ませている。次回の接種が遅れても大丈夫か?
A ワクチン接種後の免疫への効果は、接種が多少遅れたとしても一般に大きな差はないとされている。
 

今回の予防接種に対する対応を考えると、アトピー性皮膚炎でも類似の問題がある。
それが、アトピー性皮膚炎治療として使用されている免疫抑制剤の「副作用」の問題だ。
これまで、何度かブログで取り上げたように、諸外国では、発がんの関係性がいくつも論文で発表され、一昨年には厚生労働省も、因果関係は確実ではないとしながらも、国内で発がんの事例があったことを認めており、また発がんの可能性があることを使用する患者に告知、同意を得た上で処方するように通達を出している。

しかし、使用の実態を見てみると、そういった「患者への同意」は全く徹底されておらず、リスクについては、患者側が把握していないのが実情だ。
確かに、国内において、これまでそれらの免疫抑制剤を使用してきたアトピー性皮膚炎の患者数、そして発がんの疑いのある患者の数を比較した場合、相当に確率は低いかもしれない。
また、発がんが必ず死亡につながるということでもない。
だが、今回の予防接種では、現時点で因果関係が不明としながら0.0006%という非常に低い確率で使用を見合わせていることを考えると、少なくとも、発がんすれば生死に関わる問題に直結することを含めて、患者のために安全性を重視する観点から見れは、患者側にしっかり「説明と同意」を得るべきだろう。
また、そういったリスクが存在するのかどうかについても、大規模な調査を行って欲しいところだ。

調査自体を行うことで、患者側の薬剤に対する「不信感」が生じるというリスクは、医師や製薬会社にとっては「不利益」かもしれない。
しかし、その調査の結果、「問題ない」「問題があった」いずれの結果が出ても、その結果自体は患者側にとって、非常に有益性は高いはずだ。

患者は「安全な治療」を望んでいることを、忘れないで欲しいと思う。

 
おまけ★★★★大田のつぶやき

先日、ある会員の方から「先生から、プロトピック軟膏を処方します、と言われたので、発がんの問題について聞いたら、『厚生労働省の通達は知っているが、私は発がんのリスクはないと思っているから説明する必要がない』と怒られました。厚生労働省の見解は間違っているのでしょうか?それと、もしこれで私がプロトピック軟膏を使用して発がんした場合、誰が責任を取ってくれるのでしょうか?」という相談がありました。
患者側からすれば、少なくとも治療法が一種類しかないということではない、という現状を把握した上で、リスクの可能性がある治療法に疑問を抱くのは当然だと思います。
リスクを説明した場合、患者がその治療法を拒否することは、患者側が間違っているのでしょうか?
また説明すること自体が、患者側に「大きな不利益」を与えることになるのでしょうか?
考えさせられる問題です。