母乳とミルクとアトピーの発症率

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
さて、乳児のアトピー性皮膚炎の発症に対して、母乳の方がミルク(人工乳)よりも、発症率が高くなる、という報告が厚生労働省から発表されていました。

  

●アトピー性皮膚炎(小児) 疫学調査の結果にもとづく、わが国での発症・悪化因子の検討
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-04.pdf

  
ところが今回、千葉大の方で、全く逆の発症率に差がないという発表がありました。
 

●乳児アトピーリスク、母乳も混合栄養も同じ 千葉大調査
http://www.asahi.com/national/update/0128/TKY201101270528.html
 
母乳でも、人工乳(ミルク)との混合栄養で育てても、赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になるリスクは変わらない――。そんな結果が千葉大学などの追跡調査で分かった。母乳がアトピーの発症につながるかどうか、国内ではっきりした結論が出ていなかったが、母乳は発症リスクを高めないことを裏付ける結果になった。

調査は千葉、東京、岐阜、福岡の4都県の五つの医療施設で、2007~09年に生まれた赤ちゃん計1088人を対象にした。母親のおなかの中にいる時から家族の生活習慣やアレルギー性の病歴などを調べた。出生後は1カ月、4カ月、半年の時点で授乳の状況や、アトピー性皮膚炎の有無を追跡した。

一般に乳児の1割はアトピーになるとされる。今回の調査でも各施設の発症率は9~19%だった。いずれの施設でも、母乳だけと、人工乳との混合栄養の赤ちゃんを比べても発症率に統計的な差はなかった。

これまでの国内の研究は発症後にアンケートなどで原因を推測する手法。今回の追跡調査は、事前にさまざまな条件を調べ誤差がないよう比較でき科学的裏付けのレベルが高い。海外の追跡調査でも母乳がリスクを高める恐れはないとする結果が出ている。

調査チームの千葉大学大学院の下条直樹准教授は「今後は母親の食生活によってアトピーと母乳とに関係があるかどうか調べたい」と話す。(小坪遊)

 
母乳と人工乳の違いによるアトピー性皮膚炎の発症率の有意差がない、というのは世界的な傾向だったことからみても、かなり信憑性は高いように思います。
ここから何が導き出されるのかと言うと、「なぜ乳児のアトピー性皮膚炎の発症率が高いのか?」ということに対する、次の研究の方向性、という部分でしょう。
記事の最後に「母親の食生活とアトピーと母乳の関係の調査」というのが今後の課題として挙げられていましたが、いわゆる経口摂取による栄養の違いがないのであれば、経口以外の研究をぜひ行って欲しいところです。

アトピー性皮膚炎は、現在、間違いなく増加の傾向にあります。
あとぴナビでは、その原因の一つに「環境」が強く関わっていると考えていますが、現在、行われているエコチル調査(詳しくは1月27日のブログを参照ください)も、今後の原因究明につながる調査として期待しています。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

現在、アトピー性皮膚炎で大きな問題となっているのは、発症率の問題だけではなく、ステロイド剤など薬物治療も問題の一つと言える。
研究機関が本格的に調査を行えば、ステロイド剤治療、プロトピック軟膏治療、そして薬物を使用しない治療における、治癒率、もしくは悪化率の有意差は、比較的早期に分かるはずだ。
現在の、医療機関や製薬会社にとっては「後ろ向き」な研究なのかもしれないが、治療を受けている患者にとっては「前向きな研究」となるはずだ。
患者にとって、何が必要なのか、何が大切なのかをもう一度、考えて取り組んで欲しいところだ。